ロシアのプーチン大統領は2日、第2次世界大戦で旧ソビエト軍がナチス・ドイツ軍と激戦を交わした南部の都市を訪れ、戦勝80年を記念する式典に出席する予定です。
ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権は、アメリカやドイツなどが主力戦車の供与を相次いで表明するなどウクライナへの軍事支援を一層、強めていることに激しく反発するとともに、欧米側からロシアを守るための戦いになっていると強調し国民に結束を求めています。
プーチン大統領が第2次世界大戦の祖国防衛の象徴ともなっている歴史的な場所でウクライナ侵攻を、めぐってどのような演説を行うかに関心が集まっています。

【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2月2日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
プーチン大統領 戦勝80年記念式典出席 演説の内容に関心高まる
ロシア軍がミサイル攻撃 集合住宅が被害 3人死亡
ウクライナ東部、ドネツク州の集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、これまでに3人が死亡、20人以上がけがをしました。
ドネツク州の警察当局は、ウクライナ側の拠点の1つ、クラマトルシクで1日の午後10時前、ロシア軍が短距離弾道ミサイル「イスカンデル」で集合住宅を攻撃し、市民3人が死亡、20人がけがをしたと発表しました。
現場では、がれきの下に人が残されている可能性があることから懸命の救助活動が続けられています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSに建物が倒壊した現場で救助活動が行われている映像も投稿しながら「これが、われわれの国で日々起きている現実だ」と書き込み、ロシアを強く非難しました。
ドネツク州の警察当局は、ウクライナ側の拠点の1つ、クラマトルシクで1日の午後10時前、ロシア軍が短距離弾道ミサイル「イスカンデル」で集合住宅を攻撃し、市民3人が死亡、20人がけがをしたと発表しました。
現場では、がれきの下に人が残されている可能性があることから懸命の救助活動が続けられています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSに建物が倒壊した現場で救助活動が行われている映像も投稿しながら「これが、われわれの国で日々起きている現実だ」と書き込み、ロシアを強く非難しました。
フランス ウクライナにレーダー供与へ

フランスのルコルニュ国防相は1日、ウクライナのレズニコフ国防相とともにパリ近郊にある軍事関連の企業を訪れ、ウクライナに対して、ミサイルや無人機などを探知できるレーダーを供与すると表明しました。
フランスがウクライナに供与するのは「グランド・マスター200」と呼ばれるレーダーで、広範囲でミサイルや無人機などを探知することができ、ロシア軍の攻撃に対するウクライナの迎撃能力の向上に役立つということです。
両国防相は、企業の担当者から機能などについて説明を受けたあと、レーダーの供与に合意する文書に署名しました。
レーダーの供与についてフランスのルコルニュ国防相は「このレーダーは、無人機による攻撃をいかに防ぐかというウクライナの緊急的な課題に対応できる。250キロの範囲をカバーできるので、1基だけで首都キーウと、その周辺を守ることができる」と述べました。
フランスがウクライナに供与するのは「グランド・マスター200」と呼ばれるレーダーで、広範囲でミサイルや無人機などを探知することができ、ロシア軍の攻撃に対するウクライナの迎撃能力の向上に役立つということです。
両国防相は、企業の担当者から機能などについて説明を受けたあと、レーダーの供与に合意する文書に署名しました。
レーダーの供与についてフランスのルコルニュ国防相は「このレーダーは、無人機による攻撃をいかに防ぐかというウクライナの緊急的な課題に対応できる。250キロの範囲をカバーできるので、1基だけで首都キーウと、その周辺を守ることができる」と述べました。

また、ウクライナのレズニコフ国防相は「皆さんの支援のおかげでウクライナの人々の命が守られる」と感謝の意を伝えました。
ロシア民間軍事会社「ワグネル」の元指揮官が証言

北欧のノルウェーに亡命を申請しているロシアの民間軍事会社「ワグネル」の元指揮官が地元の公共放送NRKのインタビューに応じ、ロシア側の部隊の状況について証言しました。
証言したのは、去年7月から4か月間、ワグネルと契約しウクライナでの戦闘に加わっていたというアンドレイ・メドベージェフ氏(26)で、先月、ロシアからノルウェーに陸路で越境したところを拘束され現在、亡命を申請しています。
インタビューでメドベージェフ氏は、指揮していた部隊には多いときで受刑者を含め30人ほどいたものの、毎日のように兵士が戦死したり新たに加わったりしていたと説明しました。
また、実際に目撃した出来事として「戦闘を拒否したロシア兵2人が多くの兵士の前でワグネルに射殺された」と、自分も含めて命令に背くことができない実態を明らかにしました。
そして、みずからがワグネルと契約した理由を聞かれると「孤児として育つ中で、ロシアが正しいというプロパガンダを本当に信じていた。しかし戦場で起きていることを見て、逃げようと思った。ウクライナの人たちに謝罪したい」などと述べ、今後、戦争犯罪の捜査に協力したいという意向を示しました。
証言したのは、去年7月から4か月間、ワグネルと契約しウクライナでの戦闘に加わっていたというアンドレイ・メドベージェフ氏(26)で、先月、ロシアからノルウェーに陸路で越境したところを拘束され現在、亡命を申請しています。
インタビューでメドベージェフ氏は、指揮していた部隊には多いときで受刑者を含め30人ほどいたものの、毎日のように兵士が戦死したり新たに加わったりしていたと説明しました。
また、実際に目撃した出来事として「戦闘を拒否したロシア兵2人が多くの兵士の前でワグネルに射殺された」と、自分も含めて命令に背くことができない実態を明らかにしました。
そして、みずからがワグネルと契約した理由を聞かれると「孤児として育つ中で、ロシアが正しいというプロパガンダを本当に信じていた。しかし戦場で起きていることを見て、逃げようと思った。ウクライナの人たちに謝罪したい」などと述べ、今後、戦争犯罪の捜査に協力したいという意向を示しました。
ロシア裁判所 軍事進攻批判の記者に禁錮8年の実刑判決
ウクライナへの軍事侵攻を批判している著名な記者に対し、ロシアの首都モスクワにある裁判所は1日、ロシア軍に関して「うその情報」を広めたとして、禁錮8年の実刑判決を言い渡しました。
実刑判決を言い渡されたアレクサンドル・ネブゾロフ氏は、ロシア国外からユーチューブなどを使って情報発信を続け、プーチン政権に対して批判的な記者だとして知られています。
ロシアの国営通信社などによりますと、ネブゾロフ氏は去年、ロシア軍がウクライナ東部のマリウポリの病院を意図的に攻撃したとユーチューブなどで非難し、ロシア当局がこれを「うその情報」だとして起訴したということです。
裁判所は、ネブゾロフ氏はロシアに帰国した場合、収監されるとしていますが、ネブゾロフ氏は1日、SNSに「ロシアに戻るつもりは全くない」と投稿し、今後も国外で活動する考えを示しています。
ロシアの独立系メディアによりますと、ロシア軍に関して「うその情報」を広めたとする刑事事件は、去年12月1日までに180件にのぼり、ロシア当局が批判的な言論に神経をとがらせていることがうかがえます。
実刑判決を言い渡されたアレクサンドル・ネブゾロフ氏は、ロシア国外からユーチューブなどを使って情報発信を続け、プーチン政権に対して批判的な記者だとして知られています。
ロシアの国営通信社などによりますと、ネブゾロフ氏は去年、ロシア軍がウクライナ東部のマリウポリの病院を意図的に攻撃したとユーチューブなどで非難し、ロシア当局がこれを「うその情報」だとして起訴したということです。
裁判所は、ネブゾロフ氏はロシアに帰国した場合、収監されるとしていますが、ネブゾロフ氏は1日、SNSに「ロシアに戻るつもりは全くない」と投稿し、今後も国外で活動する考えを示しています。
ロシアの独立系メディアによりますと、ロシア軍に関して「うその情報」を広めたとする刑事事件は、去年12月1日までに180件にのぼり、ロシア当局が批判的な言論に神経をとがらせていることがうかがえます。
ドイツ国防相 ウクライナへ届ける戦車を視察

ドイツのピストリウス国防相は1日、西部アウグストドルフを拠点にする戦車部隊の視察に訪れ、演習場でウクライナに供与する戦車「レオパルト2」の性能をみずから確認しました。
この部隊には現在、およそ20両の「レオパルト2」が配備されているということで、このうち14両が3月末にもウクライナに届く予定です。
この部隊には現在、およそ20両の「レオパルト2」が配備されているということで、このうち14両が3月末にもウクライナに届く予定です。

ピストリウス国防相が戦車の性能を確認する様子は報道陣にも公開され、2両の「レオパルト2」が広大な演習場でスピードを出して走行し、空砲を使った射撃をしたり、敵の視界を遮るための煙幕を出したりしていました。
ドイツ政府はこの部隊の戦車を国内の別の軍の施設に移し、近くウクライナ軍の兵士への訓練を始める予定です。
視察を終えたピストリウス国防相はウクライナ側と戦車の運用について協議を行っているとした上で、ほかの国が供与する「レオパルト2」と戦車部隊を編成するための調整を急いでいると説明しました。
その上でこれまでの慎重な姿勢を転換して供与を決めたことについて「ウクライナが生き残るためにあらゆることをするのがドイツの務めだ。反対意見は尊重するが供与しない方が悪い結果を生むので判断を受け入れてほしい」と述べ、国民に理解を求めました。
ドイツ政府はこの部隊の戦車を国内の別の軍の施設に移し、近くウクライナ軍の兵士への訓練を始める予定です。
視察を終えたピストリウス国防相はウクライナ側と戦車の運用について協議を行っているとした上で、ほかの国が供与する「レオパルト2」と戦車部隊を編成するための調整を急いでいると説明しました。
その上でこれまでの慎重な姿勢を転換して供与を決めたことについて「ウクライナが生き残るためにあらゆることをするのがドイツの務めだ。反対意見は尊重するが供与しない方が悪い結果を生むので判断を受け入れてほしい」と述べ、国民に理解を求めました。
ベラルーシ国防省 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」配備

ロシアと同盟関係にあるベラルーシの国防省は1日、ロシアから購入していた短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を配備したと発表しました。
「イスカンデル」は、ロシアが開発した核弾頭の搭載も可能なミサイルでプーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻後の去年6月、ベラルーシのルカシェンコ大統領との首脳会談で、ベラルーシへの配備を急ぐ考えを示していました。
ベラルーシ国防省は「ベラルーシの兵士がロシア国内で訓練を受けた後、ベラルーシの演習場でも実戦的な訓練が行われた。最大で500キロの射程であらゆる標的を攻撃できる」として、攻撃能力を誇示しています。
ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでは、1月16日から2月1日の日程でロシアとベラルーシの空軍による合同演習も行われ、ウクライナに対する軍事的な揺さぶりを続けています。
両国としては、「イスカンデル」の配備を表明し核戦力を誇示することで、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米側をけん制するねらいもあるとみられます。
「イスカンデル」は、ロシアが開発した核弾頭の搭載も可能なミサイルでプーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻後の去年6月、ベラルーシのルカシェンコ大統領との首脳会談で、ベラルーシへの配備を急ぐ考えを示していました。
ベラルーシ国防省は「ベラルーシの兵士がロシア国内で訓練を受けた後、ベラルーシの演習場でも実戦的な訓練が行われた。最大で500キロの射程であらゆる標的を攻撃できる」として、攻撃能力を誇示しています。
ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでは、1月16日から2月1日の日程でロシアとベラルーシの空軍による合同演習も行われ、ウクライナに対する軍事的な揺さぶりを続けています。
両国としては、「イスカンデル」の配備を表明し核戦力を誇示することで、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米側をけん制するねらいもあるとみられます。
ウクライナ国防省 情報総局トップ“クリミア奪還を果たしたい”
ウクライナ国防省の情報総局トップ、ブダノフ局長は31日、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストの電子版に掲載されたインタビューで「クリミアが夏までに確実に戻ってくるようにするため、私たちは何でもすべきだ」と述べ、欧米側の軍事支援を受けるなどしてクリミアの奪還を果たしたいと強調しました。
2014年にクリミアの併合に踏み切ったロシアのプーチン大統領は、去年9月に行った演説で「ロシアの領土保全に対する脅威が生じた場合、国家と国民を守るためにあらゆる手段を行使する」と述べ、戦況によっては核戦力の使用も辞さない構えを示しています。
ブダノフ局長は、ウクライナ軍がクリミアに攻め込むことがプーチン大統領が核兵器を使用するきっかけになるのではないかという質問に対しては「ロシアは完全に愚かな国ではない。核攻撃を行えば、ロシアは軍事的に敗北するだけでなく国家そのものが崩壊することになる。彼らはそれをよく分かっている」と述べました。
ブダノフ局長としては、欧米側が強く懸念するロシアによる核兵器使用の可能性を否定することでクリミア奪還に向けた一層の軍事支援を求めたい思惑もあるとみられます。
2014年にクリミアの併合に踏み切ったロシアのプーチン大統領は、去年9月に行った演説で「ロシアの領土保全に対する脅威が生じた場合、国家と国民を守るためにあらゆる手段を行使する」と述べ、戦況によっては核戦力の使用も辞さない構えを示しています。
ブダノフ局長は、ウクライナ軍がクリミアに攻め込むことがプーチン大統領が核兵器を使用するきっかけになるのではないかという質問に対しては「ロシアは完全に愚かな国ではない。核攻撃を行えば、ロシアは軍事的に敗北するだけでなく国家そのものが崩壊することになる。彼らはそれをよく分かっている」と述べました。
ブダノフ局長としては、欧米側が強く懸念するロシアによる核兵器使用の可能性を否定することでクリミア奪還に向けた一層の軍事支援を求めたい思惑もあるとみられます。
“ウクライナ軍が対人地雷使用の可能性” 人権団体が調査求める
アメリカに本部がある国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は31日、ウクライナ軍が、国際条約で使用が禁止されている対人地雷を使った可能性があると発表し、ウクライナに調査を求めました。
それによりますと、ウクライナ東部のハルキウ州イジュームで、市民や医師など100人以上に聞き取りを行うなどして調査した結果、イジュームの一帯がロシア軍に占領されていた去年9月までの期間に、ウクライナ軍が空中散布式の対人地雷を使用した可能性があるということです。
イジュームやその周辺の9つの地域で使われ、11人の市民がけがをしたことが確認されたとしています。
対人地雷については、1999年に発効した対人地雷禁止条約で、使用や製造などが全面的に禁止されていて、これまでにウクライナを含む160以上の国と地域が加盟しています。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の担当者は、ウクライナではこれまでにロシアが対人地雷を繰り返し使用していることが確認されているとしてロシアを非難したうえで「だからといって、ウクライナがこうした武器を使用することが正当化されるわけではない」と指摘し、ウクライナに調査を求めました。
これに対し、ウクライナ外務省は31日、声明を発表し「担当部局による調査が行われる予定だ」としています。
それによりますと、ウクライナ東部のハルキウ州イジュームで、市民や医師など100人以上に聞き取りを行うなどして調査した結果、イジュームの一帯がロシア軍に占領されていた去年9月までの期間に、ウクライナ軍が空中散布式の対人地雷を使用した可能性があるということです。
イジュームやその周辺の9つの地域で使われ、11人の市民がけがをしたことが確認されたとしています。
対人地雷については、1999年に発効した対人地雷禁止条約で、使用や製造などが全面的に禁止されていて、これまでにウクライナを含む160以上の国と地域が加盟しています。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の担当者は、ウクライナではこれまでにロシアが対人地雷を繰り返し使用していることが確認されているとしてロシアを非難したうえで「だからといって、ウクライナがこうした武器を使用することが正当化されるわけではない」と指摘し、ウクライナに調査を求めました。
これに対し、ウクライナ外務省は31日、声明を発表し「担当部局による調査が行われる予定だ」としています。