「次元の異なる少子化対策」首相“社会の雰囲気変えれば評価”

岸田総理大臣は衆議院予算委員会で、みずからが掲げる「次元の異なる少子化対策」について「関与が薄いとされてきた男性や企業、高齢者なども巻き込み、社会の雰囲気を変えるところまでいけば、評価されるのではないか」と強調しました。

国会は、衆議院予算委員会で2日目の基本的質疑が行われました。

維新 岩谷氏

日本維新の会の岩谷良平氏は、教育の無償化について「大阪では不完全ながらも、0歳から大学院まで無償で教育が受けられる道が開かれようとしている。これぐらいやって初めて異次元の少子化対策だ。国でも取り入れて国全体で一緒にやろうという考えはないか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「子どもたち誰もが家庭の経済事情などにかかわらず、質の高い教育を受けるチャンスを平等に得ることは社会の活力にもつながる。国として教育費の負担軽減に向けて努力することは大事で、ぜひ政策を具体化し、政府として大いに盛り上げていきたい」と述べました。

また、「次元の異なる少子化対策」とはどのようなものか問われたのに対し、「個別の対策を用意するだけでは結果につながらないことはこれまでの歩みが示している。従来、関与が薄いとされてきた男性や企業、高齢者や独身の人なども巻き込んで政策を進めていく。社会の雰囲気を変えるところまで持っていけば、次元の違う対策と評価されるのではないか」と述べました。

また、国会議員に毎月100万円支給されている「調査研究広報滞在費」の使いみちの範囲や公開の在り方などをめぐる与野党協議について「国民から理解いただける合意に至るよう、自民党もこの議論に貢献したい」と述べました。

維新 藤田幹事長

日本維新の会の藤田幹事長は、憲法改正について「岸田総理は『自民党の総裁の任期中に』と言っているが、憲法改正の発議から国民投票まで60日から180日が必要であることを考えると、具体的なスケジュールを決めるべきではないか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「先送りできない課題だという考え方にいささかも変わりはない。この国会でも、ぜひ、初の発議に向けた議論の中で、スケジュール感も共有しながら、前に進めてもらう前向きな取り組みを期待したい」と述べました。

国民 浅野国対委員長代理

国民民主党の浅野国会対策委員長代理は、児童手当などの所得制限をめぐり、「きょう国民民主党は所得制限の撤廃を盛りこんだ法案を参議院に提出した。与党2党の幹事長からも撤廃の声が上がっている重みをどのように受け止めているか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「児童手当の見直しが行われて10年の間に経済・社会は大きく変化し、子ども・子育て政策に関してさまざまな経済的な支援を求める声が強まっている。時代の変化とこうした多くの声について政府として大きな関心を持って注視したうえで、政府の方針を決定していきたい」と述べました。

共産 志位委員長

共産党の志位委員長は、防衛力の抜本的強化をめぐり「総理は敵基地攻撃兵器の配備先を明らかにしていないが南西地域の防衛体制を強化することを強調している。最前線に立たされようとしている沖縄では、『万一有事となったら甚大な犠牲をこうむる』と強い批判の声が上がっている」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「防衛力の強化は国民の保護にもつながるものだが、さまざまな意見は丁寧に伺っていかなければならない。南西地域の防衛体制を強化することは今回の柱の1つで、沖縄県をはじめ地域の皆様にも丁寧に説明を続けていきたい」と述べました。

れいわ 櫛渕共同代表

れいわ新選組の櫛渕共同代表は、核兵器廃絶に向けた日本の行動計画について「ミサイル軍拡競争になれば、その先にあるのは核抑止力の強化や核共有、場合によっては核武装という議論にもなりかねない。『ヒロシマ・アクション・プラン』はいつまでにどのように実現していくのか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「国民の命を守るため、日米同盟における核抑止力を含めたさまざまな抑止力は現状、重要な存在だと認識している。しかし、この厳しい現状を『核兵器のない世界』という理想に結び付けるロードマップが『ヒロシマ・アクション・プラン』で、現実と理想をどう両立させるかが政治の役割であり、このプランを現実にしていきたい」と述べました。