
広域強盗事件 山口 岩国の未遂事件で“連絡役”の被告 初公判
全国で相次いでいる一連の広域強盗事件のうち、去年11月に山口県岩国市の住宅で起きた強盗未遂事件で、連絡役などとみられる被告の裁判が始まり、検察は「引っ越し費用などを工面しようと、『即金5万円』というSNSの誘いに応募した」などと主張しました。
全国で相次いでいる一連の広域強盗事件では、SNSの「闇バイト」でメンバーを集め、実行役を入れ替えながら犯行を繰り返すグループの存在が分かっていて、去年11月に岩国市の住宅で、住人をカッターナイフで脅して手首を結束バンドで縛り、金品を奪おうとした事件も、このグループが関与したとみられています。
岩国市の事件では、5人が強盗未遂と住居侵入の罪で起訴され、31日は、このうち連絡役や運転手役とみられる東京 港区の無職、上野晴生被告(23)の裁判が山口地方裁判所で始まり、被告は「間違いありません」と述べて、起訴された内容を認めました。
冒頭陳述で、検察は「被告はアイドルグループの一員として活動していたが、去年10月末ごろに引っ越し費用などを工面しようと、SNSで『即金5万円』という誘いを見つけて応募し、その後、『運びの仕事がある』『報酬が30万円』などと紹介され、金欲しさに引き受けた」と主張しました。
そして、犯行当日には、「被告は共犯者4人を乗せた車を運転して被害者の住宅まで向かい、氏名不詳の人物と連絡を取りながら、見張りを担当した。強盗事件が未遂で終わり、車で逃走していた際に物損事故を起こして逮捕された」と述べました。
また、検察は、上野被告が事件前日に岡山県内で指示を受け、総社市で警察官になりすまして、89歳の住人からキャッシュカード3枚を盗んで合計120万円を引き出す事件を起こしていたと主張しました。
次回の裁判は、3月6日に開かれる予定です。
山口 岩国 強盗未遂事件の詳細
去年11月、山口県岩国市の住宅で住人をカッターナイフで脅し、結束バンドで縛るなどして金品を奪おうとした事件では、一連の広域強盗事件の中でも裁判が先行しています。
逮捕・起訴された5人の実行役などのうち、これまでに2人の裁判が開かれ、検察は冒頭陳述などで、グループが役割分担をして事件を起こしたと主張していました。
5人の住所は、東京、栃木、愛知、それに北海道で、SNSで募集された「闇バイト」に応募したとみられています。
検察の冒頭陳述などによりますと、5人のうちの1人で、東京 江戸川区の会社員、渡邉翼被告(26)は、借金の返済に苦しむ中、インターネット上で「日当100万円」と記された求人を見つけて応募しました。
求人の担当者と連絡を取ると、「報酬が100万円のタタキの仕事」と説明されます。
「タタキ」とは、「強盗」を意味する隠語で、被告はインターネットで調べて初めて意味を知りましたが、高額の報酬欲しさから引き受けることを決めたといいます。
そして、指示に従って事件の2日前に広島県内の指定された飲食店に向かい、店の近くに止められた車で別の共犯者2人と合流して、事件に使うための手袋などを受け取ります。
事件前日の11月6日未明に岩国市内の公園に到着し、別の共犯者が車に乗り込み、打ち合わせを行います。
ここで、「上位者との連絡役」とされる2人から、被害者の自宅の写真を示され、
▽家には金庫が2つあり、合計1億円があることや、
▽人がいたら縛ること、
▽金庫の番号が分からなければ、カッターで脅して聞き出すことが、
説明されました。
そのまま被害者の自宅に向かい、午前4時ごろ、住宅の窓をバールでたたいたものの割れなかったため、この日の犯行は断念します。
しかし、「連絡役」が「上位者」に報告した結果、翌日に改めて犯行を行うことが決まり、渡邉被告は、いったん岡山県倉敷市の漫画喫茶で指示を待つことになりました。
その後、指示を受けて、広島県内でレンタカーを借り、7日午前2時ごろ、再び岩国市の被害者の自宅の前に到着しました。
渡邉被告らは、鍵のかかっていない窓から侵入し、カッターナイフで脅して、住人を結束バンドで縛ったり、「殺す」などと言ったりしましたが、別の住人が抵抗したことで未遂に終わりました。
検察は、5人の役割分担について、「実行役」「運転手役」「上位者との連絡役」「見張り役」などに分かれ、現場にはいない「上位者」が、犯行を行うかや、レンタカーを借り換えるなど、具体的な指示を出していたとみています。
逮捕・起訴された5人の実行役などのうち、これまでに2人の裁判が開かれ、検察は冒頭陳述などで、グループが役割分担をして事件を起こしたと主張していました。
5人の住所は、東京、栃木、愛知、それに北海道で、SNSで募集された「闇バイト」に応募したとみられています。
検察の冒頭陳述などによりますと、5人のうちの1人で、東京 江戸川区の会社員、渡邉翼被告(26)は、借金の返済に苦しむ中、インターネット上で「日当100万円」と記された求人を見つけて応募しました。
求人の担当者と連絡を取ると、「報酬が100万円のタタキの仕事」と説明されます。
「タタキ」とは、「強盗」を意味する隠語で、被告はインターネットで調べて初めて意味を知りましたが、高額の報酬欲しさから引き受けることを決めたといいます。
そして、指示に従って事件の2日前に広島県内の指定された飲食店に向かい、店の近くに止められた車で別の共犯者2人と合流して、事件に使うための手袋などを受け取ります。
事件前日の11月6日未明に岩国市内の公園に到着し、別の共犯者が車に乗り込み、打ち合わせを行います。
ここで、「上位者との連絡役」とされる2人から、被害者の自宅の写真を示され、
▽家には金庫が2つあり、合計1億円があることや、
▽人がいたら縛ること、
▽金庫の番号が分からなければ、カッターで脅して聞き出すことが、
説明されました。
そのまま被害者の自宅に向かい、午前4時ごろ、住宅の窓をバールでたたいたものの割れなかったため、この日の犯行は断念します。
しかし、「連絡役」が「上位者」に報告した結果、翌日に改めて犯行を行うことが決まり、渡邉被告は、いったん岡山県倉敷市の漫画喫茶で指示を待つことになりました。
その後、指示を受けて、広島県内でレンタカーを借り、7日午前2時ごろ、再び岩国市の被害者の自宅の前に到着しました。
渡邉被告らは、鍵のかかっていない窓から侵入し、カッターナイフで脅して、住人を結束バンドで縛ったり、「殺す」などと言ったりしましたが、別の住人が抵抗したことで未遂に終わりました。
検察は、5人の役割分担について、「実行役」「運転手役」「上位者との連絡役」「見張り役」などに分かれ、現場にはいない「上位者」が、犯行を行うかや、レンタカーを借り換えるなど、具体的な指示を出していたとみています。
「闇バイト」に応募 「ルフィ」に会い指示受ける
31日に初公判が行われた上野晴生被告(23)の弁護士によりますと、被告は、ツイッターで「闇バイト」に応募して事件に関わったということです。
去年10月から11月にかけて、特殊詐欺の現金などの受け取り役である「受け子」を打診され、紹介役の指示で、一定時間が過ぎるとメッセージが消えるなど、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を携帯電話にダウンロードします。
そして、「テレグラム」で「桃太郎」と名乗る人物から、免許証に加え、住民票などの写真を撮って送るよう指示され、従ったといいます。
その後、上野被告は、別の名前を名乗る人物から呼び出され、東京 東村山市の久米川駅近くのコンビニエンスストアの前で、「ルフィ」と名乗る人物に直接会いました。
この際に会った「ルフィ」は、30代から40代の中肉中背の男で、関西なまりがあったということで、簡単な犯行指示と準備資金を受け取ったということです。
その後、「ルフィ」からは、すべて「テレグラム」で指示があり、岡山県総社市で「運びの仕事」として、特殊詐欺に「受け子」として関与します。
その後、再び「ルフィ」の指示で、岡山県内で大人数が乗れるレンタカーを借りて、岩国市の事件の犯行グループを乗せて、被害者の自宅に向かったということです。
去年10月から11月にかけて、特殊詐欺の現金などの受け取り役である「受け子」を打診され、紹介役の指示で、一定時間が過ぎるとメッセージが消えるなど、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を携帯電話にダウンロードします。
そして、「テレグラム」で「桃太郎」と名乗る人物から、免許証に加え、住民票などの写真を撮って送るよう指示され、従ったといいます。
その後、上野被告は、別の名前を名乗る人物から呼び出され、東京 東村山市の久米川駅近くのコンビニエンスストアの前で、「ルフィ」と名乗る人物に直接会いました。
この際に会った「ルフィ」は、30代から40代の中肉中背の男で、関西なまりがあったということで、簡単な犯行指示と準備資金を受け取ったということです。
その後、「ルフィ」からは、すべて「テレグラム」で指示があり、岡山県総社市で「運びの仕事」として、特殊詐欺に「受け子」として関与します。
その後、再び「ルフィ」の指示で、岡山県内で大人数が乗れるレンタカーを借りて、岩国市の事件の犯行グループを乗せて、被害者の自宅に向かったということです。
渡邉被告 当時の状況など 接見で証言
岩国市で起きた事件で起訴された5人のうち、実行犯の1人の渡邉翼被告(26)がNHKの記者の接見に応じ、当時の状況などを証言しました。
きっかけは闇バイト
きっかけは「闇バイト」の募集でした。
去年11月初め、100万円以上の借金を抱えていた被告は、SNSで「仕事」と検索。
「日当100万円以上」という投稿を見つけて連絡しました。
仕事の詳細を尋ねると、相手からは、一定時間が経過するとメッセージが消える「テレグラム」というアプリで伝えると返信がありました。
このあと被告は、テレグラムで4つのハンドルネームの相手とやりとりすることになりました。
去年11月初め、100万円以上の借金を抱えていた被告は、SNSで「仕事」と検索。
「日当100万円以上」という投稿を見つけて連絡しました。
仕事の詳細を尋ねると、相手からは、一定時間が経過するとメッセージが消える「テレグラム」というアプリで伝えると返信がありました。
このあと被告は、テレグラムで4つのハンドルネームの相手とやりとりすることになりました。
SNSでのやりとり
まず、1番目の相手から「家に行って通帳を受け取るだけ」などというメッセージを受け取ります。
その後、2番目の相手から「新幹線代を渡しても持ち逃げが多い」という理由で、身分証明書を送るよう指示があり、被告は免許証に加えて顔写真も送信しました。
これについて、被告は「個人情報を握られて逃げづらくなった」と話しました。
さらに、3番目の相手から、振り込み用の口座を聞かれた際、勤務先がわかるような写真も送るよう指示がありましたが、被告は「会社に迷惑がかかるのではないか」と考えて、送信しなかったといいます。
そして、4番目は「キム」と名乗る相手からで、隠語で「強盗」を意味する「タタキ」の仕事があり、報酬は100万円だとして、東京から広島県に行くように指示を受けます。
この際に振り込まれた交通費は、片道分のおよそ2万円だけ。
被告は「成功するまでは東京に帰れないという心理状態に陥った」と振り返っています。
その後、2番目の相手から「新幹線代を渡しても持ち逃げが多い」という理由で、身分証明書を送るよう指示があり、被告は免許証に加えて顔写真も送信しました。
これについて、被告は「個人情報を握られて逃げづらくなった」と話しました。
さらに、3番目の相手から、振り込み用の口座を聞かれた際、勤務先がわかるような写真も送るよう指示がありましたが、被告は「会社に迷惑がかかるのではないか」と考えて、送信しなかったといいます。
そして、4番目は「キム」と名乗る相手からで、隠語で「強盗」を意味する「タタキ」の仕事があり、報酬は100万円だとして、東京から広島県に行くように指示を受けます。
この際に振り込まれた交通費は、片道分のおよそ2万円だけ。
被告は「成功するまでは東京に帰れないという心理状態に陥った」と振り返っています。
指示は誰から?
広島に到着後に、ほかの実行犯と合流し、犯行現場の岩国市の住宅に向かいました。
ほかのメンバーの詳しい素性は分からず、本名は逮捕されたあとに知ったといいます。
ただ、それぞれ指示のあった相手を確認すると、渡邉被告を含む3人が「キム」から、あとの2人は「ルフィ」からでした。
また、渡邉被告と上野晴生被告を除く3人は、犯行の手つきが慣れていて、「東京で強盗のようなことをした」と話していたということで、3人が去年10月に東京 稲城市で起きた強盗事件に関与した疑いで逮捕されたと伝えると、「今思うと納得がいく」と語りました。
ほかのメンバーの詳しい素性は分からず、本名は逮捕されたあとに知ったといいます。
ただ、それぞれ指示のあった相手を確認すると、渡邉被告を含む3人が「キム」から、あとの2人は「ルフィ」からでした。
また、渡邉被告と上野晴生被告を除く3人は、犯行の手つきが慣れていて、「東京で強盗のようなことをした」と話していたということで、3人が去年10月に東京 稲城市で起きた強盗事件に関与した疑いで逮捕されたと伝えると、「今思うと納得がいく」と語りました。
現場では
岩国市の事件については、事前の情報では、「おじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる」というものでしたが、実際には別の住人もいたため、「話が違う」と感じたということです。
現場では、石栗一樹被告が耳にイヤホンを付けて、「キム」と連絡を取りながら、渡邉被告に「手をしばれ」などと指示を出していたといいます。
今回の事件では住人が抵抗して、渡邉被告は逮捕されました。
現場では、石栗一樹被告が耳にイヤホンを付けて、「キム」と連絡を取りながら、渡邉被告に「手をしばれ」などと指示を出していたといいます。
今回の事件では住人が抵抗して、渡邉被告は逮捕されました。
渡邉被告 事件を振り返り
渡邉被告は、指示役を含め、事件に何人が関わっているのか想像がつかなかったといいます。
そのうえで「報酬につられて事件に関わってしまい、被害者の方には申し訳ないと反省している。フィリピンの組織のことは一切分からないが、組織ごとなくなってもらいたい。高額の報酬を呼びかける闇バイトのアカウントに、自分のようにひっかからないようにしてほしい」と話していました。
そのうえで「報酬につられて事件に関わってしまい、被害者の方には申し訳ないと反省している。フィリピンの組織のことは一切分からないが、組織ごとなくなってもらいたい。高額の報酬を呼びかける闇バイトのアカウントに、自分のようにひっかからないようにしてほしい」と話していました。