東京 渋谷では、この10年余りにわたって渋谷駅の周辺を中心に、100年に一度といわれる再開発が進められています。
この背景には、2013年の東急東横線と東京メトロ副都心線の直通運転の開始があり、地上にあったホームが地下に移ることで、跡地を含めた周辺の開発の動きが加速していきました。
まず、
▽2012年4月には、渋谷駅前に大型複合施設「渋谷ヒカリエ」が開業。地上34階、地下4階建てで、ミュージカル劇場やイベントホールも備え、買い物や仕事だけでなく、新たな文化を発信するねらいもありました。
▽5年後の2017年には、「渋谷ヒカリエ」の北側に「渋谷キャスト」がオープン。複数の会社が共同で使うシェアオフィスや、ビジネスなどで訪れる外国人も想定した住居フロアなどがあり、さまざまな価値観を持った人たちが交流し、新たな文化やビジネスを創造する拠点を目指しています。
その後も、
▽2018年9月には、渋谷駅南側の地域に「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」という2つの施設が同時に開業。
▽2019年には、今度は西側の地域で、オフィスビルの「渋谷ソラスタ」と、1階部分にバスターミナルを備えた「渋谷フクラス」が開業しました。
この年の11月には、複合ビルの「渋谷スクランブルスクエア」の東棟がオープン。地下7階、地上47階建てと渋谷駅周辺では最も高いビルで、展望施設も設けられました。第2期となる中央棟と西棟は、東急百貨店本店の跡地と同じ2027年度の開業を目指して開発が進められています。
このほかにも、
▽ことし11月には渋谷駅の桜丘口地区に、
▽2024年度中には駅の東側で再開発ビルが、
相次いで竣工(しゅんこう)する計画です。
渋谷駅周辺の人の流れの改善に向けた取り組みも進んでいます。
4つの鉄道が乗り入れる渋谷駅は、構造が複雑で地上への出入り口があちこちにあるうえ、周辺の道路も入り組んでいて「迷宮」と呼ばれることもあります。
そうした中、おととし7月には「渋谷ヒカリエ」の3階と4階に接続する空中の歩行者デッキが完成し、宮益坂上から渋谷駅までの移動がスムーズにできるようになりました。
2027年度には、さらに道玄坂上まで全長およそ800メートルをデッキでつなぐ計画で、渋谷の街は大きく変貌を遂げようとしています。

東急百貨店本店 きょう閉店 再開発で 跡地に36階建て複合施設
東京 渋谷で半世紀余りにわたって営業を続けてきたデパート、東急百貨店本店が、街の再開発事業に伴い、31日、閉店します。跡地には地上36階建ての複合施設が建設される予定で、渋谷の街の姿がまたひとつ変わります。
東急百貨店本店は、高度経済成長期の昭和42年11月に開業しました。
高級衣料品などの品ぞろえで周辺の富裕層などのニーズに対応し、平成元年に隣にオープンした複合文化施設の「Bunkamura」と共に、最先端の文化や流行を発信する渋谷の街のシンボルとして営業を続けてきました。
しかし、開業から半世紀以上が経過し、建物の老朽化が進む中、親会社の東急などとともに渋谷の再開発を進める一環として31日で閉店し、55年余りの歴史に幕を閉じます。
店の跡地には、2027年度の完成予定で高さ164メートル、地上36階、地下4階建ての複合施設が建設され、
▽低層階には商業施設、
▽中層階にはアジアで展開する高級ホテルなどが入るほか、
▽上層階には賃貸住宅が整備される計画です。
一方、閉店後の売り場の機能について、東急百貨店は、渋谷駅近くのグループの店舗で時計や宝飾品などの取り扱いを増やすほか、オンラインなども活用して販売を強化していきたいとしています。