有害性指摘のPFAS 血液検査で国調査の3倍余検出 国は対策検討

有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)などをめぐり、専門家が市民団体と行った東京・多摩地域の住民を対象にした血液検査で、国が行った調査の3倍余りの血中濃度のPFOSなどが検出されたとする結果が公表されました。
「PFOS」などを含む化学物質の「PFAS」(ピーファス)について、国は対応策とその情報発信のあり方について方向性をとりまとめる方針です。

PFASの検出相次ぐ 米軍基地周辺や都内各地など

「PFAS」には4700種類余りが存在するとされ、有害性が指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」や「PFOA」(ピーフォア)は、沖縄県や神奈川県などのアメリカ軍基地周辺の河川や地下水などから、国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出されていて、都内各地の井戸水や地下水からも暫定的な目標値を超える値が検出されています。

ただ、「PFAS」全体の有害性などはいまだ解明されていません。

血液検査でPFOSなど検出 国調査の3倍余

京都大学の原田浩二准教授らは、市民団体と共同で、アメリカ軍横田基地のある多摩地域の住民を対象にした血液検査を行っていて、これまでに検査を受けたおよそ280人のうち、87人の結果を30日に公表しました。

その結果、国が2021年に全国の3地点で行った調査の平均値の3倍余りの血中濃度の「PFOS」と「PFOA」が検出されたということです。
原田准教授は「直ちに健康に影響があるわけではないが、今後の影響の調査や、汚染源の特定、対策の効果の検証なども含め国や自治体がしっかり対応するべきだ」と指摘しました。

市民団体は、ことし3月末まで血液検査を続けて、最終的には600人ほどの調査結果を分析したいとしています。

環境省は対応策を検討 情報発信へ

「PFOS」などについて、アメリカは飲料水にわずかでも検出されないような厳しい指針を示す一方、日本は暫定的な目標値しかなく、環境省は30日、最新の科学的な知見や国内の検出状況を把握し総合的な対策を進めるための専門家による初めての会合を開きました。

会合では、WHO=世界保健機関が飲料水に含まれるPFASの量を測定する新たな方法を提案しているなど国際的な動向が報告されました。

会議では科学的根拠に基づいた対応策とその情報発信のあり方について方向性をとりまとめる方針です。