パラオ ペリリュー島で発掘の戦車から骨 旧日本兵の遺骨か

太平洋戦争の激戦地となったパラオのペリリュー島で、島に埋もれたままになっている旧日本軍の戦車の発掘調査が初めて行われ、掘り出された戦車から骨の一部が見つかりました。国から委託を受けて調査を行った団体は、旧日本兵の遺骨とみてDNA鑑定に向けて検討を進めています。

太平洋の島国パラオのペリリュー島では、1944年、旧日本軍とアメリカ軍との間で激しい戦闘が行われ、日本側だけで1万人以上が亡くなり、今も多くの遺骨が残されているとみられています。

厚生労働省から委託を受けた日本戦没者遺骨収集推進協会は、戦後、地中に埋もれたままになっている旧日本軍の戦車の初めてとなる発掘調査を、去年9月から行っていて、先月、掘り出した戦車の中から骨を見つけました。

長さは、およそ30センチで、人の大腿骨の一部とみられ、旧日本兵の遺骨の可能性が高いということです。

骨の一部は欠けているということですが、身元を特定するため、DNA鑑定に向けて検討を進めています。

一方、別の戦車からも骨のかけらが複数見つかりましたが、焼損が激しいため、DNA鑑定は難しいということです。

協会によりますと、ほかにも複数の戦車が埋もれているということで、来月も発掘調査を行うことにしています。

日本戦没者遺骨収集推進協会は「戦車の中から骨が見つかったことで、身元の特定につながる遺骨が残されている可能性が、改めて明らかになった」としています。

遺族 “少しでも多くの遺骨 日本や遺族のもとに”

今回の発掘調査に参加した遺族の1人は、少しでも多くの遺骨を見つけて、日本や遺族のもとに戻れるようにしたいと話しています。

福岡市に住む城戸利子さん(52)は、ペリリュー島に展開した旧日本軍の戦車隊の隊長を務めた天野国臣さんの孫で、遺族会の代表として今回の調査に参加しました。
天野さんの部隊は、1944年9月に行われたアメリカ軍との戦闘によって、およそ130人全員が戦死し、天野さんも34歳で命を落としました。

戦車は、アメリカ軍によって地中に埋められ、遺骨の多くは今も見つかっていませんが、去年9月に、土地の所有者などから許可が得られたことで、戦車の発掘調査が初めて実現しました。
今回の調査で、遺骨とみられる骨の一部が見つかったことについて、城戸さんは「私たちが連れて帰ってくれるという思いで、ずっと待っていたと思うので、この活動をやってよかった。少しでも多くの遺骨を見つけて、日本や遺族のもとに帰っていただくための手助けをしていきたいです」と話しています。

そのうえで、天野さんの遺骨については、「祖父は戦車の砲塔の上に顔を出した状態で指揮をとりながら出陣したようなので、攻撃を受けたときに戦車の外に投げ出された可能性が高く、遺骨を特定して持って帰るのは難しいと思いますが、見つかったら、祖母が1人で入っているお墓に納めてあげたいです」と話しています。