豊田氏は66歳。
トヨタの前身の「トヨタ自動車工業」を創業した豊田喜一郎氏の孫にあたり、昭和59年にトヨタ自動車に入社したあと、副社長などを経て、平成21年6月から創業家出身の社長として13年あまり経営を担ってきました。
社長就任当初からリーマンショックによる世界経済の悪化や、アメリカでの大規模なリコール問題、それに東日本大震災など厳しい経営環境に直面しましたが、「もっといいクルマづくり」を掲げ、マツダやスズキと相次いで資本提携するなど、日本の自動車業界をけん引してきました。
トヨタ自動車 豊田章男社長が会長に 後任は佐藤恒治執行役員
トヨタ自動車は、13年余り経営の舵取りを担ってきた豊田章男社長が4月1日付けで代表権のある会長に就任すると発表しました。後任の社長には佐藤恒治執行役員が就任します。


また、自動車業界が変革を迫られる中、脱炭素化に向けてEV=電気自動車だけでなくハイブリッド車や燃料電池車などを含めたいわゆる「全方位の戦略」を打ち出し、最近では水素エンジン車の開発にも力を入れてきました。
豊田社長は引き続き、代表権のある会長として、経営を担うものとみられます。
豊田社長は引き続き、代表権のある会長として、経営を担うものとみられます。

一方、後任の社長には53歳の佐藤恒治執行役員が就任します。
佐藤氏は、平成4年にトヨタに入社して主に技術畑を歩み、カローラやプリウスなどの部品開発に携わってきました。
現在は執行役員のほか、社内のカンパニーのレクサスインターナショナルのトップなどを務めていて、取り扱う車のブランド戦略を担当しているほか、スポーツカーの開発などを責任者として統括しています。
佐藤氏は、平成4年にトヨタに入社して主に技術畑を歩み、カローラやプリウスなどの部品開発に携わってきました。
現在は執行役員のほか、社内のカンパニーのレクサスインターナショナルのトップなどを務めていて、取り扱う車のブランド戦略を担当しているほか、スポーツカーの開発などを責任者として統括しています。
豊田社長 オンラインの緊急配信で会見

豊田章男社長はオンライン配信で、今回の人事を決定した背景について、「トリガーとなったのは内山田会長が退任されること。トヨタの変革をさらに進めるために、私が会長となり、新社長をサポートする形が一番よいと考え今回の結論に至った。内山田会長は常にかげになりひなたになって私をサポートしてくれた。この場をお借りして改めて感謝申し上げます」と述べました。
また、豊田社長はこれまでを振り返り、「社長に就任したのはリーマンショックによる赤字転落の直後のことだった。その後も世界規模でのリコール問題、東日本大震災など会社存亡の危機の連続だった。この13年間を振り返るととにかく必死に一日一日を生き抜いてきた。それが私の正直な気持ちだ」と述べました。
そのうえで、「時間はかかったが、グローバルトヨタ37万人が、それぞれの町のそれぞれの現場でもっといい車づくりに取り組んできた。この13年間でバトンタッチのための土台は作れた、私はそう思っている」と述べました。
さらに後任の社長に佐藤氏を選んだ理由について、「1つはトヨタの思想や所作を身につけようと車作りの現場で必死に努力をしてきた人だからです。そして、もう1つは車が大好きだからです。さらにつけ加えるとすれば若さです。正解が分からない時代に変革を進めていくには、トップみずからが現場に立ち続けることが必要になり、それには体力と気力と情熱が欠かせません。新チームのミッションは、トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすることです」と述べました。
また、豊田社長はこれまでを振り返り、「社長に就任したのはリーマンショックによる赤字転落の直後のことだった。その後も世界規模でのリコール問題、東日本大震災など会社存亡の危機の連続だった。この13年間を振り返るととにかく必死に一日一日を生き抜いてきた。それが私の正直な気持ちだ」と述べました。
そのうえで、「時間はかかったが、グローバルトヨタ37万人が、それぞれの町のそれぞれの現場でもっといい車づくりに取り組んできた。この13年間でバトンタッチのための土台は作れた、私はそう思っている」と述べました。
さらに後任の社長に佐藤氏を選んだ理由について、「1つはトヨタの思想や所作を身につけようと車作りの現場で必死に努力をしてきた人だからです。そして、もう1つは車が大好きだからです。さらにつけ加えるとすれば若さです。正解が分からない時代に変革を進めていくには、トップみずからが現場に立ち続けることが必要になり、それには体力と気力と情熱が欠かせません。新チームのミッションは、トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすることです」と述べました。
後任の佐藤恒治氏「身の引き締まる思い」

豊田章男氏の後任として新たに社長に就任する佐藤恒治氏は、オンライン配信で、「豊田章男社長の思いを受け継ぐという大役を拝命し、身の引き締まる思いです。新チームでは継承と進化をテーマに、創業の理念を大切にしながら商品と地域を軸にした経営を実践し、モビリティーカンパニーへのフルモデルチェンジに取り組んでいく」と述べました。
豊田章男社長の経営戦略とは

会長に就任する豊田氏は、社長を務めた13年余りの間に「仲間作り」ということばを使いながら国内の自動車業界の再編にも積極的に動いてきました。
2017年にはマツダと、2019年にはスズキと相次いで資本提携を結びました。
同じ年には、資本提携しているSUBARUへの出資比率を20%に引き上げて関連会社とし、関係を一段と強化しました。
2017年にはマツダと、2019年にはスズキと相次いで資本提携を結びました。
同じ年には、資本提携しているSUBARUへの出資比率を20%に引き上げて関連会社とし、関係を一段と強化しました。

2020年には、通信大手のNTTと資本提携するなど、異業種も巻き込んで次世代の技術開発を加速させ、トヨタを自動車をつくる会社からモビリティーカンパニーに変えることを目標に新しいビジネスモデルの構築に取り組みました。
また日本自動車工業会の会長や、経団連のモビリティ委員会の共同委員長も務めているほか、カーレースでは、「モリゾウ」と名乗り、自らハンドルを握ることで、モータースポーツの振興にも力を入れています。
また日本自動車工業会の会長や、経団連のモビリティ委員会の共同委員長も務めているほか、カーレースでは、「モリゾウ」と名乗り、自らハンドルを握ることで、モータースポーツの振興にも力を入れています。

世界的なEVシフトに対しては、EV=電気自動車だけでなく、地域の需要にあわせてハイブリッド車などの電動車にも力を入れる、「全方位戦略」という独自の戦略を貫いています。
新社長に就任する佐藤恒治氏とは

トヨタ自動車の新たな社長に就任する佐藤恒治氏は53歳。
平成4年に入社して、主に技術畑を歩み、エンジニアとしてカローラやプリウスの部品開発に携わってきました。
現在は、執行役員のほかに、社内のカンパニーのレクサスインターナショナルのトップなどを務めていて、取り扱う車のブランド戦略を担当しています。
また、スポーツカーの開発などを責任者として統括し、モータースポーツのレース会場の現場にも足を運んでいます。
豊田氏は、佐藤氏を後任に選んだ理由の1つとして“若さ”をあげ、「正解が分からない時代に変革を進めていくには体力と気力と情熱が欠かせない」と述べました。
また佐藤氏は、「車の電動化を加速することや地域のニーズに寄り添い多様な価値観に応える車作りなど、具体的な行動と商品を示し続け、車にしか作れないモビリティーの未来に1歩でも近づけるようがむしゃらに取り組む」と意気込みを述べました。
平成4年に入社して、主に技術畑を歩み、エンジニアとしてカローラやプリウスの部品開発に携わってきました。
現在は、執行役員のほかに、社内のカンパニーのレクサスインターナショナルのトップなどを務めていて、取り扱う車のブランド戦略を担当しています。
また、スポーツカーの開発などを責任者として統括し、モータースポーツのレース会場の現場にも足を運んでいます。
豊田氏は、佐藤氏を後任に選んだ理由の1つとして“若さ”をあげ、「正解が分からない時代に変革を進めていくには体力と気力と情熱が欠かせない」と述べました。
また佐藤氏は、「車の電動化を加速することや地域のニーズに寄り添い多様な価値観に応える車作りなど、具体的な行動と商品を示し続け、車にしか作れないモビリティーの未来に1歩でも近づけるようがむしゃらに取り組む」と意気込みを述べました。
なぜこのタイミング?

豊田章男社長は、世代交代と会社の変革の必要性を示しました。
豊田社長はオンライン配信の中で「私自身は、どこまでいっても車屋です。車屋だからこそトヨタの変革を進めることができたと思う。しかし、車屋を超えられない。それが私の限界でもあると思う。次世代へのバトンタッチの土台ができあがってきた」と述べました。
そして、デジタル化や電動化、それにコネクティッドと呼ばれる車とインターネットを結ぶサービスの開発など100年に1度の大変革期を迎えていることを挙げた上で、「私はもうちょっと古い人間だと思う。未来のモビリティーとはどうあるべきかという新しい章に入るためには、私自身が1歩引くことが今必要だと思う。若さを武器に私ができなかったモビリティーカンパニーへの変革を推進してほしい」と述べました。
豊田社長はオンライン配信の中で「私自身は、どこまでいっても車屋です。車屋だからこそトヨタの変革を進めることができたと思う。しかし、車屋を超えられない。それが私の限界でもあると思う。次世代へのバトンタッチの土台ができあがってきた」と述べました。
そして、デジタル化や電動化、それにコネクティッドと呼ばれる車とインターネットを結ぶサービスの開発など100年に1度の大変革期を迎えていることを挙げた上で、「私はもうちょっと古い人間だと思う。未来のモビリティーとはどうあるべきかという新しい章に入るためには、私自身が1歩引くことが今必要だと思う。若さを武器に私ができなかったモビリティーカンパニーへの変革を推進してほしい」と述べました。
スズキ 鈴木俊宏社長「私もびっくりした」

トヨタ自動車の豊田章男社長がことし4月に代表権のある会長に就任すると発表されたことを受けて、資本提携を結んでいるスズキの鈴木俊宏社長は午後4時半から都内で行われた会見で、「私もこの会見が始まる1時間前に知ったがびっくりした。豊田社長は、日本の自動車業界の立場から熱い思いを持って発言されてきていたので、今後もわれわれを指導してもらいたい」と述べました。
問われる“生き残り戦略”

自動車業界では、異業種も参入してEV=電気自動車や自動運転の開発などで激しい競争が行われ、100年に一度の変革期を迎えています。
特に、脱炭素の機運の高まりを受けて、欧州メーカーや新興のEV専業メーカーが大胆なEVシフトを進めていますが、トヨタはこうした戦略とは一線を画し、独自の戦略を貫いています。
トヨタは、インフラの整備の度合いや経済状況など、国や地域の実情に応じてさまざまなタイプの車を投入する全方位戦略を掲げ、EVだけでなく得意とするハイブリッド車や水素で走る燃料電池車などにも、引き続き力を入れています。
しかし、世界のEV市場では、アメリカの「テスラ」や中国の「BYD」など、新興のメーカーが販売を伸ばし、ITなどの異業種からの参入も相次いでいて日本メーカーの存在感は大きくないのが実情です。
特にEVへの転換が進む海外市場で引き続き存在感を高めていけるかが大きな焦点です。
また、トヨタは「CASE」と呼ばれる通信や自動運転などの次世代の技術に対応するため、車を作る会社からさまざまな移動サービスも含めた「モビリティカンパニー」への変革を打ち出しています。
ただ、自動運転の実用化に向けたソフトウエアなどの開発や、配車や物流といった移動サービスの分野でも、既存の自動車メーカーに加えて、世界の大手IT企業などとの競争が加速しています。
新たな社長のもとで、激しい競争を勝ち抜くビジネスモデルを構築していけるか、世界一の自動車メーカーのトヨタも生き残りに向けた戦略が問われています。
特に、脱炭素の機運の高まりを受けて、欧州メーカーや新興のEV専業メーカーが大胆なEVシフトを進めていますが、トヨタはこうした戦略とは一線を画し、独自の戦略を貫いています。
トヨタは、インフラの整備の度合いや経済状況など、国や地域の実情に応じてさまざまなタイプの車を投入する全方位戦略を掲げ、EVだけでなく得意とするハイブリッド車や水素で走る燃料電池車などにも、引き続き力を入れています。
しかし、世界のEV市場では、アメリカの「テスラ」や中国の「BYD」など、新興のメーカーが販売を伸ばし、ITなどの異業種からの参入も相次いでいて日本メーカーの存在感は大きくないのが実情です。
特にEVへの転換が進む海外市場で引き続き存在感を高めていけるかが大きな焦点です。
また、トヨタは「CASE」と呼ばれる通信や自動運転などの次世代の技術に対応するため、車を作る会社からさまざまな移動サービスも含めた「モビリティカンパニー」への変革を打ち出しています。
ただ、自動運転の実用化に向けたソフトウエアなどの開発や、配車や物流といった移動サービスの分野でも、既存の自動車メーカーに加えて、世界の大手IT企業などとの競争が加速しています。
新たな社長のもとで、激しい競争を勝ち抜くビジネスモデルを構築していけるか、世界一の自動車メーカーのトヨタも生き残りに向けた戦略が問われています。