【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウ市内で爆発音のような音 市長「1人死亡2人けが」

ウクライナでは25日、複数回にわたり全土に防空警報が出され、26日の朝になっても断続的に鳴り響いています。

ウクライナの首都キーウでは26日午前、日本時間の26日午後、爆発音のような音が聞こえました。

NHKの取材班が滞在しているホテルでは現地時間の26日午前10時ごろ、日本時間の26日午後5時ごろ、少なくとも1回「ドーン」という音が聞こえました。

キーウのクリチコ市長はその直後SNSで「市内で爆発があった。これまでに1人が死亡、2人がけがをした」と投稿し、市民に対しシェルターにとどまるように呼びかけました。

ウクライナでは今月14日にもキーウなど各地でロシア軍による大規模なミサイル攻撃があり、東部の都市ドニプロでは9階建てのアパートにミサイルが着弾して、子どもを含む46人が死亡しました。

IOC ロシアとベラルーシ選手の国際大会への復帰を検討

IOCは、25日、理事会を開いて、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと同盟関係にあるベラルーシの選手について、去年2月、両国の選手や役員を国際大会に招待したり参加を許可したりしないよう、大会主催者などに勧告した対応について協議しました。

IOCは理事会のあとに声明を発表し、「オリンピック憲章ではいかなるアスリートも差別なく扱われる権利を有する。パスポートを理由に競技に参加することが妨げられてはならない」などとして、国際大会への復帰を検討することを明らかにしました。

そして両国の選手の復帰については国を代表しない中立の立場とすることや、ウクライナへの軍事侵攻を積極的に支持するなど平和に反する行動を取っていないこと、それにドーピング規程を順守し、すべての選手が検査を受けることを条件としています。

またIOCは去年12月、オリンピックサミットでアジアオリンピック評議会がアジアで行われる国際大会にロシアとベラルーシの選手の参加を促す提案をしたことについて、「歓迎し、評価する」としました。

ウクライナ南部 オデーサの歴史地区 世界遺産に登録決定

ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会は25日、ウクライナ南部のオデーサの歴史地区について世界遺産に登録することを決めました。

オデーサは帝政ロシアの時代から港湾都市として発展し、多様な文化や民族が交わる海上貿易の要衝として栄え、「黒海の真珠」とも呼ばれています。
ウクライナに軍事侵攻したロシアによる攻撃で去年7月には歴史地区にある建物の一部が壊れる被害が出ていて、今回、危機遺産にも登録されました。

世界遺産条約では締約国は世界遺産に損害をもたらす行為をしてはならないことになっています。

ユネスコのアズレ事務局長は声明で「戦争が続く中、オデーサをこれ以上の破壊から守る私たちの決意を示すものだ」とコメントしています。

アメリカ 主力戦車「エイブラムス」31両 ウクライナに供与へ

バイデン大統領は25日、ホワイトハウスで演説し、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対してアメリカの主力戦車「エイブラムス」31両を供与すると発表しました。

バイデン大統領は「エイブラムスは世界でもっとも有能な戦車であり、ウクライナの防衛力や戦略的な目標を達成する力を高める」と述べてその意義を強調しました。
バイデン政権の高官は戦車は新たに調達する必要があるため、実際にウクライナに届くのは数か月後になるとしていて、それまでの間、ウクライナ側に対し戦車の運用や維持のための訓練などを行うとしています。

ウクライナに対してはドイツ政府がドイツ製の戦車「レオパルト2」の供与を決めるなど、各国による戦車の供与の表明が相次いでいます。

バイデン大統領は演説の中で「きょうの発表はウクライナの主権と領土の一体性を守るためのアメリカと各国の多大な努力と取り組みの結果だ」と強調しています。

一方で、バイデン大統領は「戦車の供与はウクライナの防衛を助けるものであり、ロシアへの攻撃の脅威ではない」と述べ、ロシア国内を攻撃するものではないと訴えました。

「エイブラムス」供与の経緯は

「エイブラムス」のウクライナへの供与をめぐっては、アメリカのバイデン政権は当初、慎重な姿勢を示していました。

その理由についてアメリカ国防総省のシン副報道官は今月19日の記者会見で、ドイツ製の戦車「レオパルト2」などと比べて維持管理が簡単ではないと説明した上で「現時点で供与するのは理にかなっていない」と述べました。

またロシアを過度に刺激し戦闘がエスカレートするのを避けたい思惑もあったと見られます。

ところがドイツ製の戦車「レオパルト2」の供与をめぐって、ドイツが慎重な姿勢を崩さない一方、ポーランドが自国の保有分の供与の許可をドイツに求めるなど、ヨーロッパの同盟国内で足並みが乱れ始めました。
アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は25日、政府高官の話としてオースティン国防長官やサリバン大統領補佐官など安全保障政策を担当する高官がドイツ側と協議を重ね、「レオパルト2」を供与するよう求めたものの、ドイツ側は「アメリカがエイブラムスを供与しなければ、提供しない」として応じなかったと伝えています。

このためバイデン大統領が最終的に「エイブラムス」の供与を決断したとしています。

バイデン大統領としては「エイブラムス」の供与を決めることで、ドイツの決定を後押しするとともに、同盟国の結束を図る狙いがあったものと見られます。

ノルウェーも「レオパルト2」を供与へ

ドイツ政府がドイツ製の戦車「レオパルト2」を保有している国に対してウクライナへの供与を認める方針を示したことを受け、北欧のノルウェーは、自国が保有する「レオパルト2」をウクライナに供与することを決めました。

25日、ノルウェーの公共放送NRKの番組に出演したグラム国防相は戦車の供与はウクライナの強い要望に応えるためだとした上で「ウクライナの自衛のための戦いに早い段階から貢献してきたが、今後もそれを続ける。ノルウェーはウクライナとともにある」と述べました。

供与する台数は明らかにしませんでした。

ロシア 裁判所が人権団体に再び解散命令

ロシアで40年以上にわたって人権活動に取り組んできた団体「モスクワ・ヘルシンキ・グループ」に対して首都モスクワの裁判所は25日、解散を命じる判決を言い渡しました。

「モスクワ・ヘルシンキ・グループ」は1976年にノーベル平和賞受賞者のサハロフ博士などが立ち上げたロシアで活動する最も古いとされる人権団体で、近年はプーチン政権の圧力を受けながらも人権侵害の状況を訴える活動を続けてきましたが、先月、ロシア法務省が裁判所に解散を申し立てていました。

団体幹部のボルシチョフ氏はNHKの取材に対して、裁判所が「規則に違反してモスクワ以外でも活動した」などとする法務省側の主張を認める形で解散を命じたと説明したうえで「ただ政権の指示に従った、結論ありきの愚かな決定だ」と非難し、最高裁判所に上訴する考えを示しました。

ロシアの人権団体をめぐっては去年ノーベル平和賞を受賞した「メモリアル」も裁判所から解散を命じられていて、プーチン政権のもとで政権に批判的な人権団体への圧力がいっそう強まっています。

アメリカも主力戦車をウクライナに供与へ

アメリカのバイデン政権の高官は25日、アメリカの主力戦車「エイブラムス」31両をウクライナに供与すると明らかにしました。ドイツ政府がドイツ製の戦車「レオパルト2」の供与を決めたのに続いて、欧米各国によるウクライナへの戦車の供与の表明が相次いでいます。

ゼレンスキー大統領「勝利への重要な1歩」

アメリカのバイデン大統領がウクライナに主力戦車「エイブラムス」を供与すると発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、SNSで「勝利への重要な1歩だ」と述べ謝意を示しました。

そして欧米各国によるウクライナへの戦車の供与の表明が相次ぐなかで「きょう、世界はウクライナの解放という共通の目標に向けてかつてないほど団結している。われわれは前進している」と述べ、戦車の供与の重要性を強調しました。

ロシアの専門家「ロシアにとって極めて深刻」

欧米からの戦車の供与について、安全保障に詳しいロシアの専門家 ドミトリー・ソロンニコフ氏は25日、NHKのオンライン取材に応じ「ロシアにとって極めて深刻で、かなり真剣に対応する必要がある。ロシア軍にとっては困難な挑戦で、最大限集中して対応すべき課題となる」と述べ、これまで同じ旧ソビエト製の戦車を相手にしてきたロシア軍は厳しい戦いを強いられるという見方を示しました。

そのうえで戦車の供与が戦況に与える影響については「ウクライナ軍は明らかに、春の終わりから初夏にかけて、攻撃に打って出ようとしている。南部の都市メリトポリやクリミアの方面に向かうことが目標だ」として、ウクライナ軍が戦車を活用し、ロシア軍が掌握している南部の都市の奪還などに向け、反転攻勢を強めようとすると分析しました。

また、今後のロシア側の対応については「ウクライナへの兵器の供与を止めるため、作戦を変える必要がある。ロシアはこれまでのところ、ウクライナの輸送インフラを破壊できていない」として、欧米からの戦車の供与を妨害するため、ロシア軍がウクライナ国内の鉄道など戦車の輸送ルートへの攻撃を強めていく可能性があると指摘しました。

ドイツ政府 ウクライナに戦車「レオパルト2」供与と発表

ドイツ政府は25日に声明を発表し、ウクライナに対してドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表しました。

それによりますと、ドイツ政府はウクライナに向けた「レオパルト2」の2個大隊を速やかに編成することを目標にしていて、その第1段階としてまず、ドイツ軍から14両をウクライナに供与するとしています。
また、「レオパルト2」は攻撃力が高い戦車としてポーランドやフィンランドなどヨーロッパ各国が保有していて、「ヨーロッパのパートナー国からも順次、引き渡される」として「レオパルト2」を保有している国がウクライナへ供与することを認める方針も示しました。

そのうえで声明ではウクライナ軍の兵士に対する訓練をドイツ国内で速やかに行うとしています。
ドイツのショルツ首相は25日に議会で演説し、今回の決定に関して多くの国民が懸念を抱いているとしたうえで「私とドイツ政府に信頼を寄せてほしい。われわれは国際社会と連携していて、戦車の供与がドイツにとってリスクにはならないよう行動している」と国民に呼びかけました。

イギリスのシンクタンク国際戦略研究所は戦闘で大きな効果を得るにはおよそ100両は必要だと分析していて、今後、各国が連携し、まとまった数が供与されるかどうかが焦点になります。

ゼレンスキー大統領「心から感謝」

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、SNSで、ドイツのショルツ首相と電話で会談したと明らかにし「ドイツの主力戦車や防衛支援と訓練のさらなる拡大、それに同様の兵器の供与をパートナーに許可するといった重要な決定について話があった。ショルツ首相やドイツの友人には心から感謝している」として謝意を示しました。