通常国会召集 “防衛力”めぐり冒頭から激しい論戦も

ことしの通常国会が23日召集され、岸田総理大臣は防衛力の抜本的な強化の実現や、少子化対策に取り組む考えを示しました。一方、立憲民主党の泉代表は防衛予算の確保に向けた政府・与党の増税方針を追及する方針を示しました。

第211通常国会が23日召集され、参議院では、午前10時から本会議が開かれ、特別委員会の設置などの手続きが行われました。

国会では、このあと、天皇陛下をお迎えして開会式が行われた後、衆参両院の本会議で、岸田総理大臣の施政方針演説など、政府4演説が行われます。

これに先立って岸田総理大臣は23日午前、自民党の両院議員総会で「防衛力の抜本的強化など、昨年末に行った決断を実現していくために、与党が力を合わせて努力する国会だ。わが国の最大の構造問題で、最も重要である少子化問題にも本格的に取り組み、激しい論戦に臨んでいく。自公政権こそが日本の未来を切りひらいていけるという強い確信を持って臨んでいく」と述べました。

公明 山口代表「物価高や少子化対策を推進」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「4月の統一地方選挙を前に、物価高など国民生活を脅かす課題に対応するほか、少子化対策もしっかり前に進めていかなければならない。国会議員だけでなく、地方議員のネットワークを生かして推進していく以外に道は開けず、それができるのは公明党しかないとの確信を持って、国会に挑みたい」と述べました。

立憲 泉代表「堂々と論戦を挑んで違いを明確にする」

一方、立憲民主党の泉代表は、党の参議院議員総会で「安全保障は、現実的に強化すべきものは強化しながら平和と専守防衛を守っていくが『復興特別所得税』を防衛費に流用するのはありえない。国会改革や歳出改革も必要で、政府・与党の法案や予算案をたたけばたたくほど鍛錬され、よいものが仕上がるので、堂々と論戦を挑んで違いを明確にし、国民に訴えていきたい」と述べました。

通常国会の会期は、6月21日までの150日間で、統一地方選挙を4月に控え、冒頭から与野党の激しい論戦が展開される見通しです。

維新 馬場代表「自民と立民 両党と協調し成果を」

日本維新の会の馬場代表は、党の代議士会で「政治を前に動かしていくという観点で、自民党と立憲民主党の両党と『是々非々』で協調していく方針を通常国会でも進めていく。『維新が存在したから』と言われるぐらいの成果を上げていきたい」と述べました。

共産 志位委員長「大軍拡は許さない」

共産党の志位委員長は党の国会議員団総会で「岸田政権が進めている『敵基地攻撃能力』の保有と大軍拡は、戦後日本の安全保障政策を大転換させ、戦争国家づくりを進めるもので、大軍拡を中止すれば財源探しは無用になる。大軍拡は許さないという国会論戦にあらゆる知恵と力を尽くして取り組もう」と述べました。

国民 玉木代表「賃上げこそが最大の経済対策」

国民民主党の玉木代表は、党の両院議員総会で「賃上げこそが最大の経済対策だという認識で賃上げをサポートできる国会にしていきたい。賃金や給料が上がる経済を取り戻し、すべての子どもたちに、ひとしく優れた教育や子育てのサービスや支援が行き届くことを実現する国会にしていきたい」と述べました。

マスクなしでの論戦は3年ぶり

通常国会では、衆参両院の本会議でマスクを着用せずに登壇することを認めることになりました。

衆参両院は、新型コロナ対策として、2020年4月に、本会議場でのマスクの着用を申し合わせていて、マスクなしでの論戦は3年ぶりとなります。

衆議院では、感染対策として、演壇の前にアクリル板が設置されました。

参議院では、速記を行う職員が離れた場所で作業にあたるため、設置されていません。

一方、登壇者以外の出席者は、引き続き、マスクを着用することになります。

特別委員会 1つ減り8つに

通常国会の召集に伴い、衆議院では、8つの特別委員会が設置されました。

衆議院では国会改革の一環として、通常国会では特別委員会の数を1つ減らすことで与野党が合意していました。

そして、23日の本会議で、科学技術などを議論する特別委員会の設置は見送り、8つの特別委員会を設置することを決めました。

これに伴い、設置が見送られた委員会の委員長を務めていた立憲民主党の下条みつ氏が北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員長に新たに就任しました。

また、地方創生に関する特別委員会は、地域の活性化に加え、こども政策なども議論できるように、名称が変更されました。

一方、災害対策特別委員会など5つの特別委員会は、それぞれ委員の数を5人減らすことも決まりました。