ウクライナへのドイツ製戦車供与めぐり 関係国の駆け引き激化

ウクライナへの軍事支援で焦点となっていたドイツ製戦車の供与についてドイツ政府が判断を先延ばしにしたことに対し、ウクライナやヨーロッパの国からは一刻も早い供与を促す声が出ています。一方、ロシア側はこうした動きを批判していて、戦車の支援をめぐり今後も関係国の駆け引きが激しくなるとみられます。

ロシアが侵攻を続けるウクライナへの軍事支援をめぐりドイツ政府は20日、ウクライナが供与を求め、焦点となっていたドイツ製戦車「レオパルト2」について供与するかどうかの判断を先延ばしにしました。

これに対し、21日、ウクライナのポドリャク大統領府顧問がツイッターで「優柔不断さは、より多くの人々の殺害につながる」と投稿し一刻も早く戦車の供与に踏み切るよう促しました。

また、バルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアの3か国の外相は21日、同じ内容の文章をほぼ同じ時刻にツイッターに投稿する形で「ロシアの侵略を止め、ウクライナを支援し、ヨーロッパに早く平和を取り戻すために必要だ」と指摘し、ドイツに供与を求めています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、欧米側のウクライナへの軍事支援はさらなる緊張の拡大を招くと批判したうえで、戦車の供与については「ロシアが軍事作戦の目標を達成するうえで何の変化ももたらさない」と主張しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は20日「クレムリンは緊張の拡大を持ち出して軍事支援について欧米側の意欲を弱体化させようとしている」として、戦車の供与を議論する欧米諸国に対し、今後も情報戦を仕掛けていくとの見方を示していて、関係国の駆け引きが激しくなるとみられます。