【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

バルト三国外相が一斉にドイツに戦車供与求める

ドイツがドイツ製戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与について判断を先延ばしにするなか、バルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアの外相は21日、ツイッターでドイツに対しただちに供与するよう一斉に求めました。

3か国の外相が同じ内容の文章をほぼ同じ時刻にツイッターに投稿する形で「ロシアの侵略を止め、ウクライナを支援し、ヨーロッパに早く平和を取り戻すために必要だ」と指摘し、ドイツに供与を求めています。

“3つの前線で一進一退の激しい攻防” イギリス国防省

イギリス国防省は21日、ウクライナの主に3つの前線で一進一退の激しい攻防が続き、全体として戦況はこう着状態にあるという分析を示しました。

このうち東部ルハンシク州のロシア側が支配するクレミンナでは、ウクライナ軍が奪還に向けて前進する動きがみられ、南部ザポリージャ州では双方が部隊を集結させ、砲撃が行われたとしています。

一方、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点のひとつバフムトの攻防については「ロシア軍と民間軍事会社ワグネルは近郊の町ソレダールを掌握したあと部隊を再編していて、バフムト周辺ではロシア側が前進する可能性がある」と指摘しています。

“北朝鮮がロシアの軍事会社に兵器を提供” 米ホワイトハウス

アメリカ・ホワイトハウスは20日、北朝鮮がロシアの民間軍事会社、ワグネルにウクライナで使用する兵器を提供していると非難したうえで、兵器を積んだとする貨物列車を捉えた衛星写真を公開しました。

公開されたのは去年11月18日に撮影された2枚の写真で、ロシアの貨物列車だとする5両編成の車両が写っています。

このうち1枚は両国の国境のロシア側、もう1枚は北朝鮮側を撮影したものだとしています。

ホワイトハウスは去年12月、ワグネルが北朝鮮から歩兵用のロケット弾やミサイルを調達していると非難していて、ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は20日の会見で、写真に写っている列車にこうした武器が積まれているという見解を示しています。

そのうえで、現時点では輸出された武器は戦況を大きく変える規模ではないとしています。

また、ワグネルがウクライナなどで残虐行為や人権侵害を続けているとして、国際的な犯罪組織に指定し、制裁を科すことも明らかにしました。

ドイツに避難 ウクライナ人がデモ “ドイツ政府は戦車の供与を”

ウクライナへの軍事支援についての会合に合わせ、ドイツの首相官邸の前では20日夜、ドイツに避難している数十人のウクライナ人や支援者などが集まり、ドイツ政府に戦車の供与を決断するよう求めました。

多くの参加者がウクライナ国旗を身につけ、ドイツ製戦車の「レオパルト2を提供しろ」と声をあげたり「ロシアをウクライナから追い出せ」などと書かれたプラカードを掲げたりしていました。

デモに参加したドイツ人の女性は「戦争で勝つため、ひどい戦争を終わらせるためにウクライナが必要な武器をまだ入手できないことに失望している。もっと戦車が必要だ」と話していました。

ゼレンスキー大統領 「戦車を供与以外の選択肢ない」

欧米各国によるウクライナへの軍事支援の会合についてウクライナのゼレンスキー大統領は20日、公開した動画で「今回話し合われたことが、われわれの力を強化すると結論づけることができる。われわれの勝利のために必要なかぎりウクライナを支援するというパートナーたちの姿勢は確固たるものだ」と一定の評価を示しました。

一方で「最新の戦車を供与してもらうために、われわれはまだ闘わなければならないが、戦車に関する決断を下す以外の選択肢がないことは日々、明らかになっている」と述べ、会合でドイツ製戦車の供与について結論が出なかったことを踏まえ、改めて戦車の供与の重要性を強調しました。

米軍制服組トップ「ことし中にロシア軍を追い出すことは困難」

アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長は20日、ドイツでの会合のあと記者会見し、ウクライナ国内で激しい戦闘が続いているとしたうえで「ロシアが占拠したウクライナの地域には多くのロシア軍が残っている。ことし中にウクライナからロシア軍を軍事的に完全に追い出すことは非常に困難だ」と指摘しました。

そして、ミリー氏は「前線で安定した防衛を続けることはできる。ウクライナが領土をできるだけ多く解放するため大規模な攻撃作戦を展開することも可能だ」と述べました。

また、ミリー氏はロシア側の死傷者数は10万人を大幅に超える一方、ウクライナ側も市民が多く犠牲になっていると指摘し「遅かれ早かれ、どこかの時点で事態を収束させるため交渉を行う必要がある」と述べて最終的に外交を通じた解決が必要になるという認識を示しました。

ロシア国内でウクライナの犠牲者を追悼する動き

ウクライナ東部のドニプロで今月14日、9階建てのアパートがロシア軍によるミサイル攻撃を受け、子どもを含む40人以上が亡くなったことを受けて、犠牲者を追悼する動きがロシア国内でも出ています。

このうちロシア第2の都市で、プーチン大統領の出身地サンクトペテルブルクでは、ウクライナの国民的な詩人シェフチェンコの像に多くの花やぬいぐるみが手向けられ、ロイター通信が配信した映像では、リボンにロシア語で「ごめんなさい」と書かれています。
追悼に訪れた男性は「犠牲者はごく普通の人たちだった。大統領に聞きたい。なぜこのようなことが起きるのか」と述べ、プーチン大統領への怒りをあらわにしていました。

首都モスクワでも市民が追悼する姿が見られましたが、ロシアの人権団体は、警察がこうした人たちを拘束したと伝えていて、国内で反戦の動きが広がることに政権側が神経をとがらせている様子もうかがえます。

ドニプロで起きた惨事について地元の州知事は19日、亡くなった人が46人に増えたほか、11人の行方が依然として分かっていないとSNSで明らかにしました。

IAEA ウクライナ国内の全原発に専門家が常駐へ

IAEA=国際原子力機関は20日、グロッシ事務局長が19日にウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領やシュミハリ首相と会談したと発表しました。

IAEAは去年9月以降、ロシア軍が占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所に専門家を常駐させていますが、IAEAによりますと、今週、さらにリウネ、南ウクライナ、そして廃炉作業が続くチョルノービリの原発でそれぞれ2人の専門家の常駐が始まったと明らかにしました。

また、西部にあるフメリニツキー原発にも数日以内に専門家が派遣され、これでウクライナ国内のすべての原発に専門家が常駐されるとしていて、グロッシ事務局長は「ウクライナ全域で深刻な核事故を防ぐためのIAEAの現場支援が大幅に拡大した。重要な一歩を踏み出した」と強調しました。
一方、戦闘が続き、安全性への懸念が広がっているザポリージャ原発をめぐり、IAEAは原発周辺を安全が確保された区域に設定するため、ウクライナとロシアの双方と協議を続けていますが、グロッシ事務局長は「非常に複雑な交渉だ。実現するまで、ウクライナとロシアと集中的な協議を続けていく」としています。

これについて、ロシア大統領府は20日「プーチン大統領がグロッシ事務局長と会う予定は現時点でない。外交官や原子力企業ロスアトムが対応する」としています。