中国 「春節」前に日本大使館でビザ発給手続き 訪日は大幅減か

中国で旧正月の「春節」にあわせた大型連休が21日から始まるのを前に、北京にある日本大使館では、日本を訪問するためのビザの発給手続きが行われています。ただ、中国政府が海外旅行の制限を続けていることなどから、連休中、日本を訪れる中国人は、新型コロナウイルスの感染拡大前より大幅に少なくなるとみられます。

新年を旧暦で祝う中国では、21日から旧正月の「春節」にあわせた1週間の大型連休が始まります。

これを前に、北京の日本大使館には日本を訪問するためのビザの手続きを代行する旅行会社の担当者が訪れ、顧客のパスポートを受け取っていました。

日本政府は、中国人に対して観光やビジネスなどを目的としたビザの申請を受け付けています。

しかし、これまで訪日する人の多くが取得していた観光ビザについては、中国政府が、国内の旅行会社に対して日本を含む海外旅行の受け付けを禁止するなど制限を続けているため、事実上、申請できない状況となっています。

また日本と中国を結ぶ航空便は、新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年と比べて5%程度にまで減少していて、連休中、日本を訪れる中国人は、感染拡大前より大幅に少なくなるとみられます。

中国の旅行会社の担当者は、「ビジネスのビザばかりで、観光ビザはありません。観光客が増えることを期待します」と話していました。

日本大使館の岡田勝総務部長は、「日本としては、国際的な往来を止めないように水際対策を行っており、中国の感染状況や情報開示を踏まえながら適切に対応していきたい」と話していました。

出稼ぎ労働者の帰省ラッシュがピーク

旧正月の春節にあわせた大型連休を前に、南部の広東省ではオートバイに乗ってふるさとを目指す出稼ぎ労働者の帰省ラッシュがピークを迎えています。

このうち、隣接する広西チワン族自治区に向かう国道では、炊飯器や衣類など家族へのお土産などが入った大きな荷物を載せてオートバイに乗る人たちの姿がみられました。

地元メディアによりますと、オートバイでの帰省は。2000年代から増え始め、広東省では最も多い時で延べ100万台以上にのぼったということで、多くの人がオートバイに乗って帰省する様子は、旧正月を前にした風物詩の1つともなってきました。

ただ、ここ数年は、自動車の普及や高速鉄道の整備などが進んだことで、オートバイで帰省する人は大幅に減ったということです。

およそ6時間かけて、夫とともにふるさとに帰るという女性は、「新型コロナウイルスの感染状況が心配だが、ふるさとではそれほど深刻ではないと聞いている。出稼ぎで会えない子どもや両親と一緒に年を越したい」と話していました。

帰省先の中国南部の駅では…

中国南部の広西チワン族自治区の中心都市、南寧にある駅では、スーツケースや大きな荷物を持って、出稼ぎ先などから帰省する人の姿が見られました。

このうち、出稼ぎ先から戻ってきたという50代の男性は、「感染拡大は心配していません。対策が緩和され、以前よりも便利になりました。家に戻って、年越しができます」と、うれしそうに話していました。

一方、20代の女性は、「新型コロナのために帰省もできず、気がふさぐようなことが以前はありましたが、今年は帰省できるのでうれしいです。ただ、感染には注意したいと思います」と話していました。

さらに、内陸部の貴州省の出稼ぎ先から数年ぶりに帰省するという50代の男性は、異なった場所で働いている高齢の両親は今回、移動に伴う感染リスクを避けて帰省しないことにしたということで、「妻や子どもには会えますが、家族全員で今も年越しができないことは残念です」と話していました。

南部の村でも感染広がる

中国南部の広西チワン族自治区の南寧の中心部から30キロほど離れたところにある村に今月16日、NHKの取材班が村を訪れてみると、多くの人はマスクはつけていませんでした。

この村に住む30代の女性は、夫と4人の子どもがいますが、すでに全員が感染したということで、村の中でもすでに多くの人が感染したと話していました。

この女性は、「感染が広がった当時、家から出る人の姿は見られませんでした。春節の連休で人が移動し、感染が再び広がる可能性があるのは怖いですが、どうすることもできません」と話していました。

また、この女性の家族が住む家は現在、建て直しているところだということですが、資金が不足し、外装工事などが終わっていないということです。

この女性の40代の夫は、「ここ2年ほどは、新型コロナウイルスの感染対策で移動ができなかったため仕事を見つけるのも難しく、お金を稼げず、大きなプレッシャーを感じてきました。新たな1年では、いい仕事を見つけられるよう願っています」と話していました。