主な要因は食料品の相次ぐ値上げで、「生鮮食品を除く食料」は前の年の同じ月より7.4%上昇し、1976年8月以来、46年4か月ぶりの水準です。
具体的には、▼「食用油」は33.6%、▼「ポテトチップス」が18%、▼外食の「ハンバーガー」が17.9%、▼「炭酸飲料」が15.9%、▼「あんパン」が14.1%、▼「牛乳」が9.9%、▼国産の「豚肉」が9.4%、▼「卵」が7.8%それぞれ上昇しました。
エネルギーをみると、▼「ガス代」が23.3%、▼「電気代」が21.3%上がりました。
総務省は「4%の上昇率になったのは食料品の値上げの動きがさらに広がったことがあり、足もとでは肉類や鳥インフルエンザの感染拡大の影響を受けた卵の上昇率の拡大が目立っている。今後も多くの食料品で値上げが予定され、電力会社からは電気代の値上げが申請されているので引き続き物価の動向を注視していきたい」と話しています。

消費者物価指数 41年ぶり高水準 厳しい家計 物価上昇どこまで
家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる先月12月の消費者物価指数は天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が前の年の同じ月より4.0%上昇しました。
4.0%の上昇率は、第2次オイルショックの影響が続いていた1981年12月以来、41年ぶりの水準となります。
食料品や電気代、ガス代などの値上がりが主な要因で、物価の上昇が続いています。
12月の消費者物価指数 前年の12月より4.0%上昇 要因は

子育て世帯 電気代が1.5倍 ガス代が1.2倍

記録的な物価高騰は子育て世帯の家計にも影響を与えています。
埼玉県北本市にすむ33歳の女性は、38歳の夫と共働きで5歳になる娘を育てています。
これまで細かく家計の管理はしてこなかったということですが、最近は物価高による支出の増加が気になり、ノートやアプリを使って記録をつけるようになりました。
埼玉県北本市にすむ33歳の女性は、38歳の夫と共働きで5歳になる娘を育てています。
これまで細かく家計の管理はしてこなかったということですが、最近は物価高による支出の増加が気になり、ノートやアプリを使って記録をつけるようになりました。

支出を確認してみると特に上がっているのが光熱費です。12月は前の年の同じ月に比べて電気代が1.5倍、ガス代が1.2倍ほど増えていました。さらに、食費やガソリン代も年間でそれぞれ2万円ほど支出が増えているといいます。
今後、娘に習い事をさせてあげたいと考えていますが、検討している習い事の月謝も値上げされていることから、二の足を踏んでいるということです。
今後、娘に習い事をさせてあげたいと考えていますが、検討している習い事の月謝も値上げされていることから、二の足を踏んでいるということです。

そこで去年から細かな節約に取り組んでいます。そのひとつが職場にマイボトルを持って行くことです。これまでは仕事の合間にコーヒーやジュースを買って休憩をとっていましたが、いまは毎日夫婦で家からお茶やコーヒーを持って行くようになりました。
さらに日々の買い物でも肉などの食材をまとめ買いして、安く購入することを心がけています。今後はさらに自炊を増やして外食を減らしたり、資産運用にも挑戦したりして、この物価高をなんとか乗り切っていきたいとしています。
女性は「このままどんどん物価が上がり続けるのではと不安があります。我慢していくことも増やさないとと思っています。物価が明らかに上がるのであれば、収入も明らかに上がってもらわないと本当に厳しいです」と話しています。
さらに日々の買い物でも肉などの食材をまとめ買いして、安く購入することを心がけています。今後はさらに自炊を増やして外食を減らしたり、資産運用にも挑戦したりして、この物価高をなんとか乗り切っていきたいとしています。
女性は「このままどんどん物価が上がり続けるのではと不安があります。我慢していくことも増やさないとと思っています。物価が明らかに上がるのであれば、収入も明らかに上がってもらわないと本当に厳しいです」と話しています。
値上げしないとしていた菓子メーカーも…

ことし3月まで値上げは行わないとしていた菓子メーカーも、原材料価格の高騰などを理由にことし4月から必要に応じて商品の値上げを順次行っていくことを決めました。
山梨県甲府市に本社を置く菓子の製造や販売を手がけるこの会社では、去年5月、ことし3月までは商品を値上げせず、価格を維持すると発表しました。
これに伴い会社では、コスト削減のためのさまざまな取り組みを進めてきました。その1つが、社員からコスト削減のアイデアを募集し、特に優れたものには報奨金を支払うという取り組みです。
実際に取り入れられたアイデアの1つが、工場で製造したプリンとコーヒーゼリーを店舗にまとめて輸送する際に使う入れ物の見直しです。それまでは輸送の際の揺れを軽減するため入れ物の底にくぼみのついた緩衝材を敷いていました。
山梨県甲府市に本社を置く菓子の製造や販売を手がけるこの会社では、去年5月、ことし3月までは商品を値上げせず、価格を維持すると発表しました。
これに伴い会社では、コスト削減のためのさまざまな取り組みを進めてきました。その1つが、社員からコスト削減のアイデアを募集し、特に優れたものには報奨金を支払うという取り組みです。
実際に取り入れられたアイデアの1つが、工場で製造したプリンとコーヒーゼリーを店舗にまとめて輸送する際に使う入れ物の見直しです。それまでは輸送の際の揺れを軽減するため入れ物の底にくぼみのついた緩衝材を敷いていました。

しかしあらかじめ底にくぼみのついた専用の入れ物を開発したことで、輸送の度に緩衝材を使う必要がなくなり、1年間で1000万円ほどのコスト削減につながったということです。
会社ではこのほかにも、製造ラインの機械化など生産効率を上げる取り組みを進め、この1年間でおよそ10億円のコストを削減できたということです。
会社ではこのほかにも、製造ラインの機械化など生産効率を上げる取り組みを進め、この1年間でおよそ10億円のコストを削減できたということです。

しかし菓子の原料である▼植物油脂は去年3月に比べて50%、▼小麦粉は20%値上がりした上、直近では、鳥インフルエンザの影響などで卵の価格も上昇し、このまま商品の価格を維持するのは難しいと判断したということです。
会社では4月以降、どの商品を値上げするかについては、今後検討していくとしています。
会社では4月以降、どの商品を値上げするかについては、今後検討していくとしています。

「シャトレーゼ」の齊藤寛会長は「どうしても採算が厳しく、我慢をしながら売ってきた商品については理由を丁寧に説明しながら値上げを順次、行っていく。おいしいものを安価に提供していくため、これからも製造工程の効率化を進めていきたい」と話していました。
物価高の影響 中古品の売買に関心集まる

記録的な物価高の影響で、中古品の売買に関心が集まっています。
名古屋市に本社があり、中古のブランド品の買い取り・販売を手がける「コメ兵」は、高級バッグや宝飾品を中心におよそ2400点を取り扱う店舗を東京・銀座でオープンしました。
オープン初日の19日は、感染対策で入店者数を制限する中でも、開店前から100人余りが並ぶなど多くの人でにぎわいました。
会社によりますと、去年1年間で、新規の買い取り客数は前の年のおよそ1.6倍に増え、買い取り点数も前の年を25%上回ったということです。会社では、物価高が続く中で、家庭で使われずに保管されていた高級ブランド品を売って現金に換えようという客が増えているとみています。
一方、物価高で節約志向が強まって新品より手ごろな価格の中古品を買いたい人や、高値での転売を見越してブランド品を買っておく人などもいて、中古品の需要も根強いとしています。
店を訪れた40代の経営者は、「昔買ったブランド品にいい価格がつけば売りたいと思います。全く使わなくなっているものに思わぬ高値がつくときがあって助かっていますね」と話していました。
また、50代の会社員は、「定価に近い値段で買って、数年後に跳ね上がるという夢のある商品を買うようにしています」と話していました。
名古屋市に本社があり、中古のブランド品の買い取り・販売を手がける「コメ兵」は、高級バッグや宝飾品を中心におよそ2400点を取り扱う店舗を東京・銀座でオープンしました。
オープン初日の19日は、感染対策で入店者数を制限する中でも、開店前から100人余りが並ぶなど多くの人でにぎわいました。
会社によりますと、去年1年間で、新規の買い取り客数は前の年のおよそ1.6倍に増え、買い取り点数も前の年を25%上回ったということです。会社では、物価高が続く中で、家庭で使われずに保管されていた高級ブランド品を売って現金に換えようという客が増えているとみています。
一方、物価高で節約志向が強まって新品より手ごろな価格の中古品を買いたい人や、高値での転売を見越してブランド品を買っておく人などもいて、中古品の需要も根強いとしています。
店を訪れた40代の経営者は、「昔買ったブランド品にいい価格がつけば売りたいと思います。全く使わなくなっているものに思わぬ高値がつくときがあって助かっていますね」と話していました。
また、50代の会社員は、「定価に近い値段で買って、数年後に跳ね上がるという夢のある商品を買うようにしています」と話していました。

石原卓児社長は、環境意識の高まりもリユース市場の拡大を後押ししているとした上で、「お値打ちに買えるリユース品は、物価高のときでも比較的強いビジネスだ。家に眠らせておくよりも現金化することで、そのお金でまた違うことを楽しもうという段階になっている」と話しています。
都内スーパーは 客の来店頻度も減少

東京都内のスーパーでは、買い物客から家計の負担が増すことへの懸念の声が聞かれました。
東京・足立区のスーパーでは、仕入れ先のメーカーの値上げを受けて、今月からツナ缶の価格をおよそ10%引き上げるなど、一部の商品を値上げしています。
この店では、値上げの幅を抑えようと、ペットボトル飲料の冷蔵庫の電源を切って電気代を抑えるなど、コストの削減に努めています。
しかし、値上げに伴って、客が1回の買い物で購入する商品の数が減る傾向にあるほか、来店の頻度も減っているということです。
買い物をしていた50代の女性は「物の値段だけでなく、お給料も40年ぶりの水準で上がってくれればいいのにと感じている。最近は買う量を減らして、食材を余らせないことを心がけています」と話していました。
東京・足立区のスーパーでは、仕入れ先のメーカーの値上げを受けて、今月からツナ缶の価格をおよそ10%引き上げるなど、一部の商品を値上げしています。
この店では、値上げの幅を抑えようと、ペットボトル飲料の冷蔵庫の電源を切って電気代を抑えるなど、コストの削減に努めています。
しかし、値上げに伴って、客が1回の買い物で購入する商品の数が減る傾向にあるほか、来店の頻度も減っているということです。
買い物をしていた50代の女性は「物の値段だけでなく、お給料も40年ぶりの水準で上がってくれればいいのにと感じている。最近は買う量を減らして、食材を余らせないことを心がけています」と話していました。

ベニースーパーの赤津友弥本部長は「来月も値上がりは続いていくが、お客様のニーズにあわせて少ない量の商品を増やすなどして、できるだけ影響がないようにしていきたい」と話しています。
41年ぶりでも 賃金をめぐる状況は異なる

先月の消費者物価指数の上昇率は、1981年12月以来41年ぶりの水準となりましたが、賃金をめぐる状況は当時と異なっています。
総務省によりますと、1981年当時は第2次オイルショックの影響が続いていて、原油価格の高騰を要因とした光熱費の値上がりなどが続いていました。
ただ、物価が上昇しても働く人の賃上げの水準はそれを上回っていました。
厚生労働省によりますと、1981年の平均の実質賃金は、従業員30人以上の事業所を対象にした調査で前の年と比べてプラス0.6%でした。
一方で、去年11月の実質賃金は従業員5人以上の事業所が対象となり調査の方法は異なりますが、速報値で前の年の11月を3.8%下回り8か月連続でマイナスとなっています。
実質賃金のマイナスが続くと消費マインドが冷え込み個人消費などへの悪影響が懸念されます。
ことしの春闘は来週から事実上スタートしますが、賃上げの動きがどこまで広がるのかが焦点となっています。
総務省によりますと、1981年当時は第2次オイルショックの影響が続いていて、原油価格の高騰を要因とした光熱費の値上がりなどが続いていました。
ただ、物価が上昇しても働く人の賃上げの水準はそれを上回っていました。
厚生労働省によりますと、1981年の平均の実質賃金は、従業員30人以上の事業所を対象にした調査で前の年と比べてプラス0.6%でした。
一方で、去年11月の実質賃金は従業員5人以上の事業所が対象となり調査の方法は異なりますが、速報値で前の年の11月を3.8%下回り8か月連続でマイナスとなっています。
実質賃金のマイナスが続くと消費マインドが冷え込み個人消費などへの悪影響が懸念されます。
ことしの春闘は来週から事実上スタートしますが、賃上げの動きがどこまで広がるのかが焦点となっています。
民間のシンクタンク調査 2月は値上げラッシュ
民間のシンクタンクの調査では2月に値上げが予定される食品や飲料は4000品目を超えて、再び値上げラッシュとなる見込みです。
「帝国データバンク」の調査によりますと、来月に値上げが予定されている食品や飲料は、4283品目と、去年10月に次ぐ多さとなっていて、再び値上げラッシュになるとしています。
また、今月から4月までに値上げする品目をあわせると、再値上げや価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」を含めて累計で7390品目となっています。
これは去年の同じ時期と比べておよそ1.6倍増えています。シンクタンクでは、価格転嫁が十分に進んでいるとは言えず、去年分のコスト増加を持ち越すかたちで値上げの動きは続くと分析しています。
「帝国データバンク」の調査によりますと、来月に値上げが予定されている食品や飲料は、4283品目と、去年10月に次ぐ多さとなっていて、再び値上げラッシュになるとしています。
また、今月から4月までに値上げする品目をあわせると、再値上げや価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」を含めて累計で7390品目となっています。
これは去年の同じ時期と比べておよそ1.6倍増えています。シンクタンクでは、価格転嫁が十分に進んでいるとは言えず、去年分のコスト増加を持ち越すかたちで値上げの動きは続くと分析しています。
物価はどこまで上がる?専門家は

2月には、食品の値上げラッシュも控え、物価はどこまで上がるのでしょうか。
大和総研のシニアエコノミスト久後翔太郎さんに聞きました。
Q4%台の物価上昇をどう見る。
A4%という数字自体は予想されていたので驚きはないが、インパクトは非常に大きい。海外ではより高いインフレが進んでいるが、日本にもインフレの波が及んでいる状況だ。
Q今月の物価高の特徴は?
A価格転嫁の動きが広まった。先月に続き、食品が非常に値上がりした。外食の上昇率も高まっている。いずれも生活に直結する財やサービスなので、家計に与える影響が大きい。
Q物価上昇はいつまで続くとみているか?
A政府によるエネルギー高対策が始まるので、短期的には、物価の上昇は徐々に鈍化していくと見ている。ただ、食料品を中心に、ことしも値上げを計画している企業が多く、コストプッシュ型のインフレはもう少し継続すると見ている。先日、大規模な金融緩和策の維持を決めた日銀が今後も緩和的な政策を行っていくことを踏まえると、基調としては物価上昇の動きが続いていくだろう。
Q物価上昇の中で、求められることは?
Aやはり春闘での賃上げ率が重要になる。ここで高い賃上げ率を実現することができれば、これまで日本で見られなかった「賃金」と「物価」の循環的な上昇が始まるきっかけになりうる。足もとの悪いインフレを良いインフレに変えていくためには、春闘での高い賃上げ率が必要になってくる。
大和総研のシニアエコノミスト久後翔太郎さんに聞きました。
Q4%台の物価上昇をどう見る。
A4%という数字自体は予想されていたので驚きはないが、インパクトは非常に大きい。海外ではより高いインフレが進んでいるが、日本にもインフレの波が及んでいる状況だ。
Q今月の物価高の特徴は?
A価格転嫁の動きが広まった。先月に続き、食品が非常に値上がりした。外食の上昇率も高まっている。いずれも生活に直結する財やサービスなので、家計に与える影響が大きい。
Q物価上昇はいつまで続くとみているか?
A政府によるエネルギー高対策が始まるので、短期的には、物価の上昇は徐々に鈍化していくと見ている。ただ、食料品を中心に、ことしも値上げを計画している企業が多く、コストプッシュ型のインフレはもう少し継続すると見ている。先日、大規模な金融緩和策の維持を決めた日銀が今後も緩和的な政策を行っていくことを踏まえると、基調としては物価上昇の動きが続いていくだろう。
Q物価上昇の中で、求められることは?
Aやはり春闘での賃上げ率が重要になる。ここで高い賃上げ率を実現することができれば、これまで日本で見られなかった「賃金」と「物価」の循環的な上昇が始まるきっかけになりうる。足もとの悪いインフレを良いインフレに変えていくためには、春闘での高い賃上げ率が必要になってくる。
海外の消費者物価指数の上昇率は

海外の消費者物価指数の上昇率は、欧米で鈍化の動きがみられるものの、依然として高い水準が続いています。
▼アメリカの12月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて6.5%上昇しました。ただ上昇率はおよそ1年ぶりに6%台まで下がるなど6か月連続で前の月を下回り、鈍化の動きも見られます。
▼また、ユーロ圏19か国の先月の消費者物価指数も、前の年の同じ月と比べて9.2%上昇しましたが、上昇率は3か月ぶりに10%を下回りました。
▼このほか、イギリスの先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて10.5%上昇し4か月連続でふた桁の高い伸びとなっています。
▼さらに、アジアではタイの先月の消費者物価指数が、前の年の同じ月と比べて5.89%上昇し、前の月と比べて4か月ぶりに上昇率が増加しています。
▼アメリカの12月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて6.5%上昇しました。ただ上昇率はおよそ1年ぶりに6%台まで下がるなど6か月連続で前の月を下回り、鈍化の動きも見られます。
▼また、ユーロ圏19か国の先月の消費者物価指数も、前の年の同じ月と比べて9.2%上昇しましたが、上昇率は3か月ぶりに10%を下回りました。
▼このほか、イギリスの先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて10.5%上昇し4か月連続でふた桁の高い伸びとなっています。
▼さらに、アジアではタイの先月の消費者物価指数が、前の年の同じ月と比べて5.89%上昇し、前の月と比べて4か月ぶりに上昇率が増加しています。