「お母さん世代とは全然違う」コロナ禍のスマホ 子供の本音は

今月16日、静岡県で40代の母親が殺害された事件。
中学1年生の娘は警察に対し「母親からSNSを使いすぎていると注意され、口論になった」と話しています。

子どもたちにスマホをどう使わせればいいか、親にとっては悩ましい問題です。
スマホの使い方、今はどうなっているのでしょうか。

(大阪放送局 記者 谷井健吾 秋吉香奈 ディレクター 熊谷正迪)

「お母さんたちの世代とは違う」

大阪で、子どもたちにスマホについての本音を聞いてみると…

高校3年生女子
「ラインとかインスタグラムとか結構な頻度で見ています。友達との会話とか、ストーリーとか。あまり時間を気にしたことがないですね」

高校3年生女子
「中学生の時はあまり使いすぎないように制限をかけられていたので、約束を守って使っていました。夜10時以降は使えなかったり、家の中だけでしか使えない設定にされていましたが、正直いっぱい友達と連絡を取りたかったなと思います」

一緒にいた、親子にも話を聞きました。
高校2年生の娘
「多い日は半日とかずっと触っています。友達と電話したり、学校でもスマホをもとに『こんなことがあったよね』と話したり。スマホがないと生活に影響が」


「連絡手段としては必要なんだろうけど、親としてはちょっと心配だなあと」

スマホの使い方をめぐってケンカになることもたびたびあるそうです。


「怒ってスマホ取り上げるじゃん。友達と夜電話とか約束あるし、ドタキャンしたら後からグチグチ言われるのは私だし」

「お母さんたちの世代の高校生の過ごし方って、スマホが普及していなかったから、今と全然違うじゃないですか。考え方を押しつけられても理解はできないし」


「難しいですね。親の思いと今の子どものスマホとの付き合い方は違っていて。それでもやっぱり心配で、安全に使ってほしいです」

親子の悩みはなかなか深いようです…

自分のスマホ持つ子どもは急増中

スマートフォンを利用している割合は、2021年度の調査で、
▼小学生が38.6%▼中学生が72.6%▼高校生が97.7%にのぼります。
そのうち、親とスマホを共用するのではなく、自分専用のスマートフォンを持っている子どもは小学生の63.3%、中学生は91.1%と、近年、大きく増加しています。

ネット依存の子ども3割 コロナ禍も影響

一方で、気になるデータもあります。

大阪府内の小中高校生を対象に行った調査で、ネット利用について
「時間を短くしようとするとイライラする」
「熱中を隠すため家族や先生にうそをついたことがある」
などインターネット依存の尺度で、ネット依存傾向にあるとされたのは
▼中学生は29.2%▼高校生は28.3%にのぼりました。
調査に関わった兵庫県立大学の竹内准教授はコロナ禍も大きく影響していると言います。

兵庫県立大学竹内和雄准教授
「給食時間もしゃべれない。学校で会えない。遊べない。授業のなかでも隣と話ができない。そういうなかでやっぱりコミュニケーションをとれるとしたら、今はもうスマホしかない」

「スマホは子どもたちにとって体の一部のように、空気のような存在になってると子どもたちは言っています」

子どもの言い分しっかり聞いて

親に対してのアドバイスを尋ねると…
兵庫県立大学 竹内和雄 准教授
「大きいトラブルになったときに親に相談できない子に、どうして相談しなかったのか聞いたら『お母ちゃんに言ったらとりあげられるもん。また怒られるもん。話聞いてくれへん』て言うんです」

「まず子どもたちの言い分をしっかり聞いて。しっかり受け止めて、子どもの言い分と大人の言い分をすりあわせていく作業が必要なんだと思います」

こんな方法もあります

子どもにこれからスマホを持たせるかどうか迷っている皆さん。

竹内准教授によりますと、子どもが自分のスマホを持ち始める前から、親子で一緒に機能や使い方を学ぶことが大切だそうで、ぜひ話し合ってみてください。

また、すでにお子さんがスマホを持っているという方にはこんな方法も。

兵庫県などが行っている「オフラインキャンプ」です。
4泊5日で、子どもがスマートフォンに触れる時間を制限し、代わりに仲間とカヌーやキャンプファイヤーなどスマホ以外の「リアルな体験」の大切さを実感してもらいます。

ここまで大がかりなイベントではなくても、スマホ画面から目を離す時間を親子で一緒に共有できるといいですね。