痴漢被害防止 都営大江戸線 朝のラッシュ時に女性専用車導入

電車内の痴漢被害を防ごうと都営大江戸線で18日から、朝のラッシュ時間帯に女性専用車が導入されました。

女性専用車が導入されたのは、平日朝の通勤・通学のラッシュ時間帯に運行される都営大江戸線です。

具体的には、
▽六本木・大門方面が、朝7時から8時半までの間に光が丘駅を発車する電車、
▽飯田橋・両国方面は、朝7時15分から8時10分までの間に都庁前駅を発車する電車で、8両編成のうち4号車が女性専用の車両となります。

18日朝、都庁前駅では早速、女性の通勤客らが乗り降りしていたほか、駅員が乗客に案内していました。

都交通局によりますと、4つある都営地下鉄のうち、これまで女性専用車が導入されているのは新宿線だけでしたが、コロナ禍で車内の混雑率が緩和されたことなどから、最も利用客の多い大江戸線での導入を決めたということです。

まだ導入されていない浅草線と三田線は、相互乗り入れしている鉄道会社との協議を続けるということです。

要望してきた団体 「社会全体で痴漢対策を」

都営地下鉄大江戸線に女性専用車が導入されたことについて、都や都議会に導入を要望してきた団体でつくるメンバーからは、これをきっかけに、社会全体で痴漢対策を進めてほしいといった声が聞かれました。

高校生や大学生などがメンバーになっている一般社団法人「日本若者協議会」は、オンライン署名を集めて、内閣府などに対し痴漢対策の強化を要望してきました。

さらに、去年6月には、女性が安心して公共交通機関を利用できるように、都営地下鉄のすべての路線に女性専用車を導入するよう求める陳情を都議会に提出していました。

陳情は去年10月、都議会で全会一致で趣旨採択され、その後、都は都営大江戸線に女性専用車を導入することを発表していました。

大江戸線で導入が始まったことについて、要望に関わったメンバーで、都内の大学に通う芹ヶ野瑠奈さん(20)は「電車が怖い場所になって使えなくなると生活に大きな支障が出てしまう。女性専用車の導入で、安心安全な交通移動の権利が守られることは大きな進歩だと思います」と話しています。

その一方で、痴漢被害を根絶するには、加害者への再発防止の指導など抜本的な対策が必要だとして、今回の導入をきっかけに痴漢被害をなくすためにどうしたらいいのか、社会全体で真剣に向き合ってほしいと訴えています。

芹ヶ野さんは「日常の空間で性被害にあう今の現状は、本当におかしいと思う。みんなの意識が変わらないと現状は変わらない。都が姿勢を見せることで、他の鉄道会社や社会も変わっていくと思う。陳情によって声を聴いてくれるのが分かったので、これからも陳情を続けていきたい」と話していました。

専門家 「女性専用車はシェルター 痴漢なくす対策を」

痴漢対策に取り組んでいる大阪の一般社団法人、痴漢抑止活動センターの代表理事 松永弥生さんは、ほかの路線や時間帯にも女性専用車を増やす必要があると指摘しています。

松永さんは「高校生から、夕方の時間に女性専用車がなく困っているという声が届いているので、平日の朝のラッシュ時間帯だけでなく帰宅ラッシュの時間帯にも導入してほしい。すべての電車にあるのが理想なので、他の路線にも増やしていく必要がある」と話しています。

一方で、女性専用車の導入には男性差別だなどと反対する声もあります。

こうした意見について、「女性優遇だとか男性差別だという声も一部にあるが、そういうことではなく、本当に痴漢で困っていて、日常生活の中で性暴力にさらされている人がいることに目を向けて、理解していただきたい」と呼びかけています。

そのうえで、鉄道会社に対しては、「女性専用車はシェルターとして機能し、痴漢抑止の一定の効果はあると思うが、根本的な解決にはならない。鉄道会社は防犯カメラの導入など、いろいろな対処をしているが、痴漢被害をもっと真摯(しんし)に受け止めて、積極的に痴漢をなくしていく対策を一緒に考えてほしい」と話しています。