【詳細】日銀 黒田総裁会見 大規模な金融緩和策の維持を決定

日銀は18日まで開いた金融政策決定会合で、今の大規模な金融緩和策を維持することを決めました。

黒田総裁の記者会見での発言です。

会見開始

黒田総裁が着席し、午後3時30分、記者会見が始まりました。

冒頭、黒田総裁は金融政策は「現状維持とすることを全員一致で決定した」と述べました。

“景気は持ち直し”

まず説明したのは景気の現状認識。「景気は資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直している」と述べました。

物価 “2023年度半ばにプラス幅縮小”

そして消費者物価の見通しです。

18日公表した最新の物価の見通しでは、食品などの値上げが相次いでいる2022年度の物価上昇率はプラス3.0%。そして新年度・2023年度はプラス1.6%としました。

今の物価高について黒田総裁は「来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想している」と述べました。

“必要な時点まで金融緩和続ける”

今後の金融政策の方向性について、黒田総裁は「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続する」と強調しました。

冒頭発言が終わり、このあと記者からの質問が始まりました。

“物価目標達成できる状況 まだ”

黒田総裁は記者会見で、日銀がめざしている賃金上昇を伴って2%の物価上昇目標を達成する見通しについて問われました。

「それにはなお時間がかかるとみている。物価安定の目標を持続的、安定的に達成できる状況が見通せるようになったとは考えていない」と述べました。

“変動幅 拡大必要ない”

黒田総裁は「日本銀行は10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを毎営業日実施していて、経済合理性の観点からは0.5%を超える利回りでの取り引きが継続的に行われることはないと考えられる。日銀としては機動的な市場調節を行っていく方針で、長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えておりません」と述べました。

“市場機能評価 なお時間要する”

黒田総裁は、先月の金融緩和策の修正による市場機能の改善について「運用の見直しからはさほど時間がたっていないのでこれらの措置が市場機能に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要すると思うが、機動的な市場調節運営を作り続けることで、今後市場機能は改善していくとみている」と述べました。

“緩和策(YCC)は持続可能”

黒田総裁は、YCC・イールドカーブコントロールといわれる、今の金融緩和策の枠組みが持続可能なのかと問われ「市場機能の改善ということがまだはっきりする事態になっていないが、機動的な市場調節運営を行うことで今後、市場機能は改善していくと考えている。そういった意味でYCCは十分持続可能であると考えている」と述べました。

“国債買い入れ増加は問題ない”

今回の会合を前に、日銀が金融緩和をさらに修正するという思惑で市場で金利上昇圧力が高まり、日銀は巨額の国債を買い入れて金利を抑え込む対応を迫られました。

これについて黒田総裁は「金融政策については常に効果と副作用を十分に検証しつつ、適切な金融政策運営を行う必要があることはそのとおりだが、現状国債の買い入れが増えたこと自体は特に問題があるとは考えておりません」と述べました。

“物価目標 達成できておらず残念”

黒田総裁は、10年近くにわたって続けてきた大規模な金融緩和策の効果や副作用について「1998年から2012年まで続いたデフレからは脱却してデフレでない状況が作り出されたということは言えると思う。ただ、賃金上昇率が十分でなく2%の物価目標を安定的、持続的に達成できるような状況になっていないことは残念に思う。金融政策の効果は十分にあったと思う」と述べました。

“国債保有増加に特別リスクない”

黒田総裁は、日銀が国債の発行残高の半分以上を保有する状況にリスクがないかと問われたのに対し「現在の国債保有の増加が、何か特別なリスクがあるとは考えていない」と述べました。

“市場の修正期待 是正された”

今回金融政策を維持したことで、市場に広がっていた金融緩和策のさらなる修正という観測は是正できたと思うかと記者に問われ、黒田総裁は「緩和的な金融政策を維持するということをこれまでも申し上げてきたし今回もそれを申し上げている。市場が金融政策の変更を期待して動いていたということがあったとすれば、それは是正されたと思う」と述べました。

“市場と見方が違ってもいい”

市場が緩和策のさらなる修正を予想し、日銀と市場のコミュニケーションは上手くいっていたのかと問われ、黒田総裁は「経済や市場が動くときにその将来の見通しについてマーケットの人がいろいろな見方をすることは自然な話だ。金融政策当局とマーケットが全く同じ考えでないといけないということはない。私どもとして必要なことは常に金融政策についてオープンに議論し、その考え方や見通しを明らかにしてそれを踏まえて金融政策を決定していくことに尽きる」と述べました。

“ローン金利の動向や影響 今後も丹念に点検”

先月の金融緩和策の修正で長期金利の上限を引き上げたことをきっかけに一部の住宅ローン金利が上昇しました。

黒田総裁は「前回の決定会合以降、一部の金融機関で国債金利の動向を踏まえて引き上げる動きが見られる。この間、大半を占める変動金利型については適用金利に変化は生じていない。住宅ローン金利の動向や影響は今後も丹念に点検していきたいと思っている」と述べました。

“後任のためにというのはせん越”

黒田総裁は後任の総裁にスムーズにバトンを渡したいという思いはあるかと問われたのに対し「依然として2%の物価安定目標を持続的安定的に達成するまでには至ってないということは事実なので、今後とも引き続き任期まではしっかりと2%の物価安定目標の実現に向けて全力を挙げたい。後任の方に何かを申し上げたり後任の人のためにというのは大変せん越ですのでそういった考え方はない」と述べました。

“金利操作は今の形が適切”

日銀はいま短期金利と10年ものの国債金利(長期金利)を操作の対象にしています。

操作対象を2年ものや5年ものなどのより短い国債金利に切り替える考えがあるのか問われました。

黒田総裁は「短期の政策金利と最も代表的な指標である10年債の金利の2つをターゲットにして、イールドカーブ全体を適切な形にすることが最も適切ではないかと思っている。もちろん一切いかなる変更も検討しないってことではないが、今はそういった考え方にもとづいて政策を行っている」と述べました。

会見終了

黒田総裁の会見は予定の45分間をこえ1時間以上におよび、午後4時35分すぎに終了しました。

黒田総裁は4月でいまの任期が満了となります。次回3月9日、10日の金融政策決定会合が、任期中最後の会合となります。

このあと次の日銀のかじとりを担う総裁人事も本格化します。

2013年の就任時に目標にかかげた2%の物価目標。達成できないまま時間が過ぎましたが、任期の終盤になって想定していなかった歴史的な円安とエネルギー価格高騰で、あらゆるモノが値上がりし消費者物価は4%にせまる水準に上昇しています。

金利を低く抑え続けることで市場にゆがみも見え始め、先月、政策修正に踏み切りました。

黒田総裁は18日も物価高を上回る賃金上昇が確認できるまでは金融緩和を続けることを強調しましたが、総裁の任期という大きな節目も含め、日銀の金融政策は転換点にさしかかっています。