ダボス会議 ウクライナ政府高官らインフラ施設復旧へ支援訴え

世界の政財界のリーダーが集まる通称「ダボス会議」ではウクライナ政府の高官らが現地を訪れ、ロシア軍に破壊されたインフラ施設の復旧などに向けてさらなる支援を国際社会に訴えました。

スイス東部、ダボスで開かれている世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」は17日、ウクライナ情勢をテーマに多くのセッションが行われました。

このなかで、ゼレンスキー大統領の妻、オレーナ氏は、「ウクライナが焼かれていくことさえ止められないのに、どのように気候変動対策を進められるのか。ロシアが負けなければ危機は広範囲にわたる」と述べ、ロシアの侵攻を止めるため国際社会の団結を呼びかけました。

また、別のセッションでは、ウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相が登壇し、「国外に逃れた国民の帰還のため、戦時中においても復旧のための投資が必要だ」と述べ、破壊されたインフラ施設の復旧などに向けて、各国のさらなる支援が必要だと訴えました。

スビリデンコ第1副首相兼経済相は現地でNHKの取材に応じ、「今後、日本企業とも会合を開く予定で戦時中でも安全を確保しながらウクライナに投資できるメカニズムを探っている。日本にも主導的な役割を期待している」と話していました。

ウクライナの現状を伝える施設設置

「ダボス会議」の会場近くにはロシアの侵攻が続くウクライナの現状を伝えようと、「ウクライナ・ハウス」と名付けられた施設が設けられています。

この施設は、ウクライナ国内外の民間企業などからの支援で作られたということです。

内部には高さ2メートル余りの大きなモニターが設置され、▽軍事侵攻によって破壊された住居の様子や、▽ロシア側に占領されていた街を歩く子どもたちの映像が映し出されています。

また17日には、ウクライナ軍や準軍事組織の「アゾフ大隊」に所属する兵士らが参加したパネルディスカッションも行われ、過酷な戦闘の実態を知ろうと多くの人が訪れていました。

この施設の責任者の女性は「会議の参加者に向け、多くの人々が今も戦闘の最前線に置かれていることや、ウクライナへの支援を続けることが大事であることを伝えたい」と話していました。