新型コロナ 医療現場ひっ迫 受診遅れて症状悪化相次ぐ 神奈川

新型コロナ第8波の感染拡大で、神奈川県では、昨年末から病床の使用率が80%を超え、全国で最も高くなっています。ひっ迫する医療現場では、入院が必要な患者がすぐにできなかったり、受診が遅れて症状が悪化したりするケースが、相次いでいます。

神奈川県鎌倉市にある「湘南鎌倉総合病院」では、年末から新型コロナなどの救急搬送が急増していて、年が明けてからは、例年の2倍近くにあたる1日100件前後に上っています。

この病院では、救急搬送を断らない方針を掲げていて、医療機関のひっ迫を受けて、救急車で1時間以上かかる地域からの搬送も増えているということで、先週は、患者をストレッチャーに乗せ、廊下で治療にあたりました。

病院では、昨年末からコロナ患者用の病床を、それまでの45床から60床以上に増やしました。

しかし、感染拡大を受けて、コロナ以外の病床も含めて、満床に近い状態が続いています。
取材した15日も、夜間に救急搬送を受け入れた患者の入院先が見つからず、職員が近くの病院に電話をかけて、受け入れ先を探していました。

また、症状が重く、大量の酸素投与や複数の薬剤を使って治療にあたる患者が増えていて、高齢者を中心に死亡するケースも出ています。

発熱などの症状が出てから、自宅で様子をみているうちに症状が悪化する患者も多く、今月8日に入院した70代の男性は、先月26日から症状があったものの診察を受けておらず、救急搬送された時には、重い肺炎の症状が出ていたということです。
新型コロナの治療にあたる「急性期総合診療センター」の會田悦久センター長は、特にワクチンを打っていない人や高齢者、基礎疾患がある人といった重症化リスクが高い人は、症状が出たらすぐに受診してほしいとしたうえで、医療現場の状況について「行動制限がない状態になり、新しい時代が来たことは私たちも理解しているが、新型コロナ患者がたくさん出ている時には、ほかの病気も当然、診なければいけないので、医療機関がパンク状態になってしまう」と話していました。