イラン 元高官の死刑執行 “英のスパイとして機密情報漏えい”
イラン政府は、イギリスのスパイとして機密情報を漏らしたとして元高官の死刑を執行しました。これに対し、イギリス側は強く非難していて、両国の関係悪化が顕著になっています。
イラン司法府は14日、国防軍需省の元次官アリレザ・アクバリ氏の死刑を執行したと発表しました。
アクバリ氏はイギリスの対外情報機関「MI6」のスパイとして活動し国の安全を脅かしたとして逮捕され、死刑判決を言い渡されていました。
司法府の声明では、アクバリ氏はイギリス国籍や巨額の報酬などと引き換えに、イランの内政や外交、それに国防に関する機密情報を漏らしたとしています。
さらに、その中には、核開発で中心的な役割を担ったとされ、2020年に何者かに暗殺された科学者ファクリザデ氏に関する情報も含まれていたとしています。
死刑の執行に対し、イギリスのクレバリー外相は「最も強いことばで非難すべき野蛮な行為だ。この政治的な動機に基づいた行為を通じて、イラン政府は人の命を非情なまでに軽視する姿勢をまたも明らかにした。許されることではない」という声明を出しました。
そしてイランの検事総長に制裁を科すとともに、臨時代理大使を呼び出し、さらにイランに駐在するイギリス大使を一時的に呼び戻したことを明らかにしました。
両国の関係をめぐっては、イラン側が国内の反政府デモをイギリスが扇動していると主張しているのに対し、イギリス側はデモ参加者に対する死刑判決が相次いでいることを非難するなど、関係悪化が顕著になっています。