ロシア国防省と民間軍事会社「ワグネル」の対立浮き彫りに

ウクライナに侵攻するロシアの国防省は東部のソレダールを掌握したと発表しましたが、ウクライナ側はこの地域で防衛が続いていると主張しています。一方で、ソレダールを巡ってはロシア国防省と、戦闘に参加しているロシアの民間軍事会社「ワグネル」との間の対立が浮き彫りになっています。

ロシア国防省は13日、激しい戦闘が続く東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点の一つバフムトの近郊の町ソレダールを12日夜に掌握したと発表しました。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は今もこの地域で防衛を続けていると主張しています。

ロシア軍としては、ウクライナ側の反転攻勢に対して軍部への批判が続く中、重要な戦果だと誇示したい思惑もあるとみられます。
一方でソレダールをめぐってはロシアの民間軍事会社「ワグネル」が多くの戦闘員を投入していたとされ、ワグネルの代表で強硬派とされるプリゴジン氏はロシア国防省の発表に先立ってロシア軍の部隊ではなく、ワグネルの戦闘員によってソレダールを掌握したと主張していました。

ロシア国防省が13日に行った当初の発表ではロシア軍の部隊による功績だと強調していましたが、およそ6時間後に声明を改めて出し「戦闘はロシアの多様な部隊によって行われた。ワグネルの志願兵の勇敢な行動によっても達成された」などとしています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は13日「ロシア国防省がソレダールの掌握をめぐりワグネルを参加している部隊として認めなかったため、ロシア国内で大きな反発を引き起こした」として軍部に批判的な強硬派勢力から圧力があったと指摘しました。

そのうえで「今回の発表はワグネルと国防省との間の対立を浮き彫りにしている」としたうえで、ウクライナへの軍事侵攻でワグネルの代表プリゴジン氏の存在感が増していると分析しています。