岸田首相 あす日米首脳会談へ 日米同盟の強化示す考え

岸田総理大臣は、一連の歴訪で最後の訪問先となるアメリカ・ワシントンに移動し、日本時間の14日未明からバイデン大統領との首脳会談に臨む予定です。

会談で両首脳は、ウクライナ情勢や食料・エネルギー問題などに世界が直面する中、サミット成功に向けてG7の結束を確認する見通しです。

また、岸田総理大臣は、先月、新たな国家安全保障戦略に敵の発射基地などをたたく「反撃能力」の保有や防衛費の大幅な増額を明記し、日本の安全保障政策を大きく転換したことを説明する方針です。

そして覇権主義的な動きを強める中国の動向も踏まえ、日米の安全保障戦略の方向性が一致していることを確認し、日米同盟の抑止力と対処力の強化を内外に示したい考えです。

このほか、半導体や量子、バイオといった最先端技術の開発を含めた経済安全保障分野などでも、日米2国間の協力の強化を確認するものとみられます。

米専門家 “中国に対する強いけん制になる”

アメリカのシンクタンクCSIS=戦略国際問題研究所の日本部長で、去年春までホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の東アジア部長を務めたクリストファー・ジョンストン氏は、NHKのインタビューで、今回の日米首脳会談は中国に対する強いけん制になるとの見方を示しました。

インタビューのなかで、ジョンストン氏は「日米関係が、戦後これほどまでに強力であったことはなく、バイデン大統領は岸田総理大臣の訪問を強く歓迎するだろう」と述べました。

その背景として日本が先月決定した国家安全保障戦略など3つの文書をバイデン政権が高く評価していることを挙げたうえで「日本がみずからの防衛力への一段の投資と、日米同盟の強化を決意したこと、とりわけ、反撃能力の保有やサイバー分野の能力の強化、それに、宇宙や無人化システムなどへの新たな投資を決めたことが重要だ」と指摘しました。
このうち、日本が「反撃能力」を保有することについてジョンストン氏は「つい数年前まで、ワシントンの一部では快く思わない空気があったが、それが変わり、歓迎するようになった」と述べ、その理由としては▽アメリカが日本に対する信頼を非常に深めたことと、▽中国が軍事的な活動を活発化させるなか、東アジアの安定を保つために日本が重要な役割を果たすと見ていることがあると分析しました。

そして、ジョンストン氏は「日本が反撃能力やサイバー分野を強化するためには、日米の間で一段と深いレベルでの協力や調整、統合が必要になる。その結果、同盟関係の質が変わってくる」と述べて、日本の決定は、日米同盟のあり方そのものに変化を及ぼしうるとの認識を示しました。

そのうえで、ジョンストン氏は「今回の日米首脳会談は『日米両国の結束』という強力なメッセージを発することになる」と述べ、中国に対する強いけん制になるとの見方を示しました。