安倍元首相銃撃事件 山上容疑者 殺人と銃刀法違反の罪で起訴へ

安倍元総理大臣が奈良市で銃で撃たれて死亡した事件で、検察は13日、山上徹也容疑者を殺人と銃刀法違反の罪で起訴する方針です。

奈良市の無職、山上徹也容疑者(42)は去年の7月8日、奈良市で演説中の安倍元総理大臣を銃で撃ったとしてその場で警察に逮捕されました。

これまでの調べに対し、山上容疑者は、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたなどと供述し、安倍元総理大臣を狙った理由については、「旧統一教会と近しい関係にあると思った」と説明しています。

奈良地方検察庁は去年7月から半年近く、「鑑定留置」をして精神鑑定を行ってきた結果、刑事責任能力を問えると判断し、勾留期限の13日、山上容疑者を殺人と手製の銃を発射するなどした銃刀法違反の罪で起訴する方針です。

捜査関係者によりますと山上容疑者は精神鑑定の際、「旧統一教会などについてもっと話を聞いてほしい」という趣旨の発言をして、旧統一教会や家族との関係などについて鑑定で話し足りない様子だったということです。

山上容疑者は裁判員裁判で審理される見通しで、社会に衝撃を与えた事件の詳しい経緯や動機が裁判でどこまで明らかになるかが今後の焦点になります。

山上容疑者「大学へ行きたい」

山上容疑者の伯父によりますと、容疑者は、今月10日まで大阪拘置所で鑑定留置されていた間、接見した妹に対し、将来、社会復帰できたときには「大学へ行きたい」などと話したということです。

山上容疑者は、母親が旧統一教会、「世界平和統一家庭連合」に入信し多額の献金をしたことなどで、家庭が困窮し大学に進学できなかったといいます。

大阪拘置所では、いつか大学に入れるよう勉強をして過ごし、親族からは英語の資格の教材や英和辞典が差し入れられ、特に英語に力を入れて学んでいたということです。

拘置所には全国から服や菓子などの差し入れが大量に送られてきました。

中には、「服役後の費用として使ってください」などとする現金書留も届けられていて、去年10月ごろには金額は100万円を超えていたということです。

一方、山上容疑者の伯父は、今回の事件で母親の献金額などが明らかになったことを受けて、旧統一教会に対して返金を求め教会側の弁護士と文書でやりとりをしていますが、母親は「旧統一教会に対して申し訳ない。お金を返してもらいたくない」などと話しているということです。