オミクロン株「XBB.1.5」 米では感染力が強い傾向 WHO初期調査

WHO=世界保健機関は11日、アメリカで急速に感染が広がっている新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ「XBB.1.5」の特徴やリスクについて、専門家による初期調査の結果を公表しました。

それによりますと、アメリカでは比較的、感染力が強い傾向が見られたほか、過去の感染やワクチン接種で得た免疫から逃れる性質もこれまでの変異株の中で、最も強い部類に入るとみられるということです。

一方で、重症化のしやすさや、現在のワクチンによって重症化や死亡率を下げる効果については、現時点では十分なデータはないということです。

こうしたことから、「XBB.1.5」について「世界的な感染者数の拡大につながる可能性があるが、感染力の強さの推定はアメリカ1か国のみのデータに基づいているため、全体的な信頼度は低い」としていて、今後もデータの収集を続け、評価を行うことにしています。

CDC=アメリカ疾病対策センターによりますと、アメリカで今月7日までの1週間に新型コロナに新たに感染した人のうち、推計で27.6%が「XBB.1.5」で、先月3日の時点の推計2.3%から急速に広がっています。

WHOによりますと「XBB.1.5」は、去年10月22日から今月11日までの間にこれまで38か国から報告されていて、その8割以上がアメリカからだということです。

「XBB.1.5」日本国内の状況は

オミクロン株の1つ「XBB.1.5」は、複数のタイプの新型コロナウイルスが組み合わさった変異ウイルスです。

去年春ごろから日本国内でも広がったオミクロン株の「BA.2」の2つのタイプが組み合わさった変異ウイルス「XBB」に、さらに変異が加わっています。

12日に開かれた東京都のモニタリング会議では、先月1日に初めて都内で確認されて以降、これまでに15例確認されていると報告されました。

厚生労働省の専門家会合は、WHO=世界保健機関などで感染者数の増加につながっている可能性が指摘されているものの、感染性や重症度に関する疫学や臨床の知見はないとしていて、諸外国の状況などを分析するとともに、ゲノム解析による監視を続けることが必要だとしています。

「XBB.1.5」について東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「免疫から逃れる性質だけでなく感染力がさらに強まっている可能性が指摘されている。このウイルスの流入で今の第8波が長引くことも懸念される」と話しています。