中国 新型コロナ感染者数などのデータ更新されない状態続く

中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、当局がこれまで毎日発表してきた感染者数や死者数の情報について1月8日を最後にデータが更新されない状態が続いています。中国政府は「感染状況に応じて発表の頻度を調整する」としていますが、情報の共有を求める各国の懸念が強まっています。

中国で感染症対策を担う中国疾病予防センターは、ホームページで毎日、新型コロナウイルスの感染者数や死者数の情報を発表してきました。

ところが、中国政府が新型コロナウイルスへの対応を最も厳しい感染対策が求められる水準から1段階引き下げた1月8日を最後に11日までデータが更新されない状態が続いています。

中国政府は今回の引き下げに伴い「感染状況に応じて発表の頻度を調整し、最終的には月1回にする」としています。

ただ、新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、各国やWHO=世界保健機関は中国に対して感染者数や死者数に関する情報を共有するよう求めています。

中国では、旧正月の「春節」にあわせた大型連休が1月21日から始まるのを前に、出稼ぎ労働者などの帰省が本格化していて、さらなる感染拡大や新たな変異ウイルスの出現への懸念が強まっています。

WHO 中国政府の発表が実態を反映していないと改めて指摘

中国政府の当局による新型コロナウイルスの感染状況の発表について、WHO=世界保健機関で危機対応を統括するライアン氏は、11日の定例会見のなかで「中国での死者数は定義の問題で過少報告されている」と述べ、中国政府の発表が実態を反映していないと、改めて指摘しました。

また、国内の一部の地域では、感染のピークを迎えたと報じられていることについては「WHOには地域ごとの感染者数などの詳しいデータがないため、そうした実態は示せない」と述べました。

そのうえで、各国が中国からの入国者を対象に水際対策を強化していることについては「われわれは渡航制限は推奨しないが、感染についてのデータが不足するなか、予防的措置として理解できる」と述べ、理解を示しました。

WHOは、中国政府の当局者と情報交換を続けていますが、変異株のゲノム解析の結果など、変異を詳しく調べるために必要なデータについては提供されていないということで、こうした情報の開示も求め続ける方針です。

中国外務省が反論 “WHOと密接に意思疎通している”

中国政府の新型コロナウイルスの感染状況の発表をめぐって、WHO=世界保健機関が、詳しいデータが提供されていないと改めて指摘したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は12日の記者会見で「われわれはWHOと密接に意思疎通しており、この1か月だけで5回、技術面での交流を行った」と述べ、反論しました。

そのうえで「中国は一貫して、オープンで透明といった原則に基づき、関連する情報やデータを、すべての関係者と共有してきたことを改めて強調する」と述べ、これまでの主張を繰り返しました。

一方、中国当局が日本人へのビザの発給を停止したことに対し、岸田総理大臣が「極めて遺憾だ」と述べて批判したことについて、汪報道官は「関係国は科学的な態度で、互いに尊重する精神に基づき、中国国民への差別的な措置を速やかに変更するよう望む」と述べました。