【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ東部ソレダールで激しい攻防

ウクライナ東部ドネツク州にあるソレダールでは、ウクライナ側の拠点・バフムトの掌握を目指すロシア軍とウクライナ軍の間で激しい攻防が続いています。

ロイター通信はソレダールを上空から撮影した映像を配信しました。

映像では数人の兵士が壁や屋根が破壊された建物からけが人を運び出し、赤十字マークがつけられた軍用車両に乗せる様子が撮影されています。戦車はその後、多くの建物が破壊された街なかを走り抜けていて、途中、軍用車両の行く手で爆発が起きる様子も写っています。

ロイター通信はこの映像について撮影日は確認できていないとしています。

ソレダールを巡っては、ロシア側が民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員を多数投入して突破を図り親ロシア派の指導者が掌握を主張しています。

ウクライナのマリャル国防次官は12日の記者会見で「厳しい状況だがウクライナ軍は必死に戦っている。敵は多くの犠牲者を出している。ソレダール郊外ではロシア側の遺体があちこちにある。ロシアは自国民を何千人も殺りくに追いやっているがわれわれは持ちこたえている」と述べ、依然として激しい攻防が続いているとしています。

ロシア有力紙「大規模な攻撃の前夜を意味する」

ロシアの新聞各紙は、軍事侵攻の指揮を執る新たな総司令官にゲラシモフ参謀総長が任命されたことを大きく取り上げていて、このうち有力紙の「独立新聞」は陸軍や航空宇宙軍のトップなど3人がウクライナでの軍事作戦の副司令官に就いたことも指摘しながら「全軍が作戦に深く関与することになり、ウクライナへの大規模な攻撃の前夜を意味するだろう」という見方を伝えています。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ロシア軍の指揮統制を改善し作戦を強化する必要に迫られたものだ。プーチン政権が長期戦に臨む考えがあることを示すねらいもあるだろう」と分析しています。

ロシア 軍事侵攻の新たな総司令官にゲラシモフ参謀総長を任命

ロシア国防省はショイグ国防相が、軍事侵攻の指揮を執る新たな総司令官にゲラシモフ参謀総長を任命したと11日、発表しました。

去年10月から総司令官だったスロビキン氏は、副司令官になるとともに、別の2人も副司令官に任命されました。

ロシアで軍の制服組トップの参謀総長がみずから指揮を執るのは異例で、国防省は「遂行すべき任務の範囲が拡大したことに対応し、部隊間の緊密な協力や補給物資の質の向上などを進めるためだ」と説明しています。

軍事侵攻をめぐり、ロシア軍と民間軍事会社「ワグネル」などとの間であつれきが伝えられる中、プーチン政権としては、指揮命令系統を明確にして部隊の統制を図るねらいもあるとみられます。

またウクライナ側は、ロシア軍が態勢を整え、ことしの早い時期に首都 キーウなどへ再び大規模な攻撃を仕掛けてくるのではないかと警戒を強めています。

英国防省「ロシアが直面している状況の深刻さが増している」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を指揮する新たな総司令官に、軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長が任命されたことについて、イギリス国防省は11日の分析で「ロシアが直面している状況の深刻さが増していることを表している。作戦がロシアにとっての戦略的な目標に至っていないことを明確に認めたものだ」という見方を示しました。

また「ロシアの軍事ジャーナリストなどは、軍事侵攻におけるロシア軍の遂行能力の低さをゲラシモフ参謀総長の責任だと非難してきた」と指摘したうえで「今回の動きはこうした人たちに極めて不愉快な思いで迎えられるだろう」として、軍幹部への新たな批判が生じる可能性を示唆しています。

日米「2プラス2」 ウクライナへの支援継続で一致

日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」がアメリカ・ワシントンでおこなわれました。
このなかで、ロシアによるウクライナへの侵攻については、国際秩序の根幹を揺るがすものだという認識を改めて共有し、ウクライナへの強力な支援を継続していくことで一致しました。

会議後に発表された成果文書ではロシアによるウクライナ侵攻をめぐって「残虐でいわれのない不当な戦争だ」と強く非難した上で、日本周辺でのロシアと中国による合同軍事演習などへの懸念を示しています。

東部ソレダールをロシア軍が攻撃

ロシア軍は、ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ側の拠点の一つ、バフムトを掌握しようと、近郊の町ソレダールに多くの戦闘員を投入して突破を図り、地元の親ロシア派はロシアメディアに町全体を掌握したと主張しました。

これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は11日「テロ国家は、ほぼ破壊した町の一部をもって戦果のように装っている」とロシアを非難した上で、依然として激しい攻防が続いているという認識を示しました。

プーチン大統領 政府の会議で副首相を強く叱責

ロシアのプーチン大統領は11日、ことし最初となる政府の会議で軍用機を含む航空機関連の調達が遅れているとして、産業貿易相を兼務するマントゥロフ副首相を強く叱責する一幕がありました。

プーチン大統領は、作業は予定どおりだなどと繰り返すマントゥロフ副首相に対して「時間がかかりすぎだ」と語気を強め「ことしの受注すらない企業もある。何をふざけたことを言っているのか」と不満をあらわにしました。

さらにマントゥロフ副首相が、3か月以内に完了すると答えると「われわれが置かれている状況を理解していないのではないか。1か月以内に終わらせよ」と指示し、「できるかぎりではなく、やり遂げなさい」とたたみかけました。

ゼレンスキー大統領 ベラルーシとの国境防衛に備える考え強調

ウクライナのゼレンスキー大統領は、11日、西部リビウ州で、ウクライナの北側で隣接するベラルーシとの国境の治安情勢などについての会議を開き、国境防衛に備える考えを強調しました。

ウクライナ大統領府が公開した写真では、会議には軍や国境警備の関係者が参加したとみられ、ゼレンスキー大統領は、国境の防衛強化や周辺地域の治安対策について報告を受けたということです。

ロシア軍は、去年2月のウクライナへの侵攻当初、同盟関係にあるベラルーシからも地上部隊を進軍させ、ウクライナなどは、ことし、再びロシア軍がベラルーシから首都キーウなどへ大規模な攻撃を仕掛けてくるのではないかと警戒を強めています。

またベラルーシの国防省によりますとロシアとベラルーシの空軍は今月16日から来月1日まで合同演習を実施するということです。

ゼレンスキー大統領は、会議の中でベラルーシの国境では、強力な部隊は確認できないとした上で「準備しなければならない」と述べ、国境防衛に備える考えを強調しました。