ウクライナ東部のドンバス地域での戦闘について、軍事評論家で現在はウクライナ軍の部隊に所属しているタラス・ベレゾベツ氏がNHKのオンライン取材に答えました。
この中でベレゾベツ氏は、ドネツク州でウクライナ側の拠点となっているバフムトの近郊での攻防について「ロシア側は以前はバフムトを正面から攻撃してきたが、それによって数千人の兵士を失った。このため、今回は周辺からウクライナ軍を包囲しようという作戦に変えている。こうしたことからロシア側は、バフムト近くのソレダールを掌握しようとしているのだ」とロシア側の戦略を分析しました。

【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
「ロシア側 ソレダール掌握しようとしている」


そのうえで「ロシア側は、4人から15人程度の少数部隊に分かれて攻撃を仕掛けてくるため撃破するのが難しくなっている。民間軍事会社『ワグネル』の戦闘員などが昼夜を問わず攻撃を仕掛けてくるようになっている。15分おきに攻撃が行われているところもある」と述べ、ロシア側は激しい市街戦を展開していると指摘しました。
そして「ウクライナ側にとってこれから数日間はソレダール周辺で厳しい戦いになる」という見通しを示しました。
一方でベレゾベツ氏は「ロシア軍がバフムトやソレダール周辺での戦闘に集中している間にウクライナ軍は、別の作戦も準備している。ヘルソンを解放したような作戦は起こりえる」と述べ、ウクライナが去年11月に南部の要衝ヘルソンを奪還したことを引き合いに出し、戦略に基づいて着実に戦果を収めていきたいという考えを示しました。
そして「ウクライナ側にとってこれから数日間はソレダール周辺で厳しい戦いになる」という見通しを示しました。
一方でベレゾベツ氏は「ロシア軍がバフムトやソレダール周辺での戦闘に集中している間にウクライナ軍は、別の作戦も準備している。ヘルソンを解放したような作戦は起こりえる」と述べ、ウクライナが去年11月に南部の要衝ヘルソンを奪還したことを引き合いに出し、戦略に基づいて着実に戦果を収めていきたいという考えを示しました。
アメリカ「パトリオット」供与へ ウクライナ兵訓練

アメリカ国防総省のライダー報道官は10日の記者会見で、ウクライナに供与する地対空ミサイルシステム「パトリオット」について、早ければ来週からアメリカ国内でウクライナ兵の訓練を始めると発表しました。
アメリカ製の移動式の地対空ミサイルシステム「パトリオット」は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、それに航空機などの迎撃に使われるもので、先月21日、バイデン大統領が首都ワシントンでゼレンスキー大統領と首脳会談を行ったあとウクライナに供与することを明らかにしていました。
ライダー報道官によりますと、およそ100人のウクライナ兵が早ければ来週から数か月間にわたって南部オクラホマ州のアメリカ陸軍の基地でパトリオットの運用などの訓練を受けるということで「ロシアによる空からの攻撃から守るための新たな能力をウクライナに提供する」と強調しました。
またライダー報道官は、来週、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地でオースティン国防長官らおよそ50か国の関係者が参加してウクライナへの軍事支援を協議する国際会合を開催すると明らかにしました。
アメリカ製の移動式の地対空ミサイルシステム「パトリオット」は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、それに航空機などの迎撃に使われるもので、先月21日、バイデン大統領が首都ワシントンでゼレンスキー大統領と首脳会談を行ったあとウクライナに供与することを明らかにしていました。
ライダー報道官によりますと、およそ100人のウクライナ兵が早ければ来週から数か月間にわたって南部オクラホマ州のアメリカ陸軍の基地でパトリオットの運用などの訓練を受けるということで「ロシアによる空からの攻撃から守るための新たな能力をウクライナに提供する」と強調しました。
またライダー報道官は、来週、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地でオースティン国防長官らおよそ50か国の関係者が参加してウクライナへの軍事支援を協議する国際会合を開催すると明らかにしました。
病院など1192件の被害 7割弱は修復できず ウクライナ保健相

ウクライナのビクトル・リャシュコ保健相は10日、NHKの単独インタビューに応じ、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、病院や診療所などの被害がおよそ1200件に上り、医療に深刻な影響が出ていると明らかにしました。
リャシュコ保健相は、今月6日の時点でロシア軍の攻撃による病院や診療所の被害は1192件に上っていて、このうち67%は修復ができておらず、23%は全く機能していないと強調しました。
その上で「医療施設に対する攻撃はジュネーブ条約で明確に禁止されている。第2次世界大戦後、今回のロシアによる攻撃ほど医療施設への被害が出たことはなく、ロシアはその責任を問われることになる」と述べ、強く非難しました。
また「最前線に近いところでは、心臓発作や脳卒中などの病気があっても、残念ながら救急車が行けない」と述べ、ロシアが道路や橋などのインフラへの攻撃を繰り返し、医療へのアクセスも困難になっていると指摘しました。
リャシュコ保健相は、今月6日の時点でロシア軍の攻撃による病院や診療所の被害は1192件に上っていて、このうち67%は修復ができておらず、23%は全く機能していないと強調しました。
その上で「医療施設に対する攻撃はジュネーブ条約で明確に禁止されている。第2次世界大戦後、今回のロシアによる攻撃ほど医療施設への被害が出たことはなく、ロシアはその責任を問われることになる」と述べ、強く非難しました。
また「最前線に近いところでは、心臓発作や脳卒中などの病気があっても、残念ながら救急車が行けない」と述べ、ロシアが道路や橋などのインフラへの攻撃を繰り返し、医療へのアクセスも困難になっていると指摘しました。
厳しい寒さで体調崩す人増加 ロシアによるインフラ施設攻撃で

ロシア軍によるインフラ施設への攻撃で電力不足に陥っているウクライナでは、厳しい寒さで体調を崩す人が少なくありません。
首都キーウ近郊にある診療所では、発電機を使いながら地域の医療を守ろうと奮闘を続けています。
キーウ近郊のホストメリにある診療所は、去年2月のロシア軍による侵攻の直後から1か月余りにわたって占拠され大きく損傷したものの、去年4月から修復しながら診療を続けています。
診療所には連日、およそ100人の住民が診察に訪れますが、厳しい寒さで体調を崩し、かぜなどの症状を訴える人が増えているということです。
10日は、昼間でも気温がマイナス3度ほどに冷え込む中、周辺の停電が続いていて、診療所では発電機を使って最低限の明かりをともしながら住民たちの診療を行っていました。
診療所を訪れる住民の数は日に日に増えているということで、院長のメルニックさんは「寒さの影響で呼吸器系疾患の患者の数が4割ほど増えています。診療中も停電が1日に2回はありますが、発電機を使いながらなんとか対応しています」と話していました。
首都キーウ近郊にある診療所では、発電機を使いながら地域の医療を守ろうと奮闘を続けています。
キーウ近郊のホストメリにある診療所は、去年2月のロシア軍による侵攻の直後から1か月余りにわたって占拠され大きく損傷したものの、去年4月から修復しながら診療を続けています。
診療所には連日、およそ100人の住民が診察に訪れますが、厳しい寒さで体調を崩し、かぜなどの症状を訴える人が増えているということです。
10日は、昼間でも気温がマイナス3度ほどに冷え込む中、周辺の停電が続いていて、診療所では発電機を使って最低限の明かりをともしながら住民たちの診療を行っていました。
診療所を訪れる住民の数は日に日に増えているということで、院長のメルニックさんは「寒さの影響で呼吸器系疾患の患者の数が4割ほど増えています。診療中も停電が1日に2回はありますが、発電機を使いながらなんとか対応しています」と話していました。
ゼレンスキー大統領「最新装備によってのみ対抗できる」

ウクライナのゼレンスキー大統領は10日に公開した動画で、東部のウクライナ側の拠点バフムトの近郊ソレダールで激しい攻防が続いていることについて「防衛にあたっている勇敢な戦士たちに特別な敬意を表したい」と述べて、前線部隊の兵士たちをねぎらいました。
またゼレンスキー大統領は、ベルギーやエストニアなどヨーロッパの首脳らと相次いで会談し、東部ドネツク州の困難な状況や絶えず続くロシア軍の攻撃など戦況について説明したと明らかにしました。
その上で「パートナーたちから受け取れる最新装備によってのみ対抗することができる」と述べ、さらなる軍事支援を呼びかけました。
またゼレンスキー大統領は、ベルギーやエストニアなどヨーロッパの首脳らと相次いで会談し、東部ドネツク州の困難な状況や絶えず続くロシア軍の攻撃など戦況について説明したと明らかにしました。
その上で「パートナーたちから受け取れる最新装備によってのみ対抗することができる」と述べ、さらなる軍事支援を呼びかけました。
ドイツ外相 東部ハルキウ視察「ロシアの残忍な侵略戦争」

ドイツのベアボック外相は10日、ウクライナ東部のハルキウを訪れ、ロシアによる軍事侵攻の被害の状況を視察しました。
視察を終えたベアボック外相は、ウクライナのクレバ外相とともに記者団の取材に応じ「ロシアに攻撃され解放されたハルキウの被害は、ロシアの残忍な侵略戦争のすさまじさを表している」と述べて、ロシアを強く非難しました。
視察を終えたベアボック外相は、ウクライナのクレバ外相とともに記者団の取材に応じ「ロシアに攻撃され解放されたハルキウの被害は、ロシアの残忍な侵略戦争のすさまじさを表している」と述べて、ロシアを強く非難しました。

その上で、ドイツがこれまで消極的だった装甲車の供与を今月上旬に決めたことに触れて、領土の奪還を進めるウクライナへの軍事支援を強化していると強調し「今後も戦況を分析し、関係国とともに支援を続ける」と述べ、さらなる兵器の供与も検討する姿勢を示してロシアをけん制しました。
ウクライナへの軍事支援をめぐっては、アメリカやドイツなど欧米側が強力な戦車を供与するのかどうかが今後の焦点となっていて、クレバ外相は「ドイツから戦車を受け取ると信じている」として、実現に期待を示しました。
ウクライナへの軍事支援をめぐっては、アメリカやドイツなど欧米側が強力な戦車を供与するのかどうかが今後の焦点となっていて、クレバ外相は「ドイツから戦車を受け取ると信じている」として、実現に期待を示しました。
ロシア ショイグ国防相「無人機の改良進める」

ロシアのショイグ国防相は10日、軍幹部との年頭の会議をオンラインで開き、部隊の戦闘能力を高めるよう指示しました。
この中でショイグ国防相は「最新の防空システムの領域での戦闘機や爆撃機の運用の向上とともに、無人機の改良を進めていく」と発言。ウクライナや、地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与など軍事支援を強化する欧米をけん制しました。
この中でショイグ国防相は「最新の防空システムの領域での戦闘機や爆撃機の運用の向上とともに、無人機の改良を進めていく」と発言。ウクライナや、地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与など軍事支援を強化する欧米をけん制しました。
イギリス国防省「ロシアがすぐにバフムト包囲の可能性低い」
イギリス国防省は10日、ロシア側がソレダールの大部分を掌握し、バフムトへの圧力は強まっているとしながらも「ウクライナ軍が安定した防衛線を維持し補給路もおさえているため、ロシアがすぐにバフムトを包囲する可能性は低い」とする分析を明らかにしました。
ウクライナ 日ごとの戦況地図はこちらから

ソレダールからの映像は

ウクライナ東部にあるドンバス地域の町ソレダールでは、ウクライナ側の拠点バフムトの掌握を目指すロシア軍と、徹底抗戦を続けるウクライナ軍との攻防が激化しています。
ウクライナ国境警備庁が今月8日に公開した現地の映像では、屋根や壁が破壊された建物のそばの道路を、ウクライナ側の戦車が走り抜けながら砲撃を繰り返す様子が確認できます。
ウクライナ国境警備庁が今月8日に公開した現地の映像では、屋根や壁が破壊された建物のそばの道路を、ウクライナ側の戦車が走り抜けながら砲撃を繰り返す様子が確認できます。
ウクライナ側の拠点バフムト近く ソレダールで攻防激しく

ウクライナ東部のドンバス地域では、ウクライナ側の拠点バフムトの掌握を目指すロシア軍が、近郊の町ソレダールで激しい砲撃を繰り返しています。
地元の親ロシア派の指導者は10日、ロシアの国営テレビで、近くソレダールを掌握する見通しだと主張しました。
これに対し、ウクライナ国防省は、ロシアが民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員を多数投入して突破を図っているという認識を示していて、ウクライナ軍が徹底抗戦を続ける中で攻防が激化しています。
地元の親ロシア派の指導者は10日、ロシアの国営テレビで、近くソレダールを掌握する見通しだと主張しました。
これに対し、ウクライナ国防省は、ロシアが民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員を多数投入して突破を図っているという認識を示していて、ウクライナ軍が徹底抗戦を続ける中で攻防が激化しています。