中国を訪れる日本人へのビザ発給を一時停止 東京の中国大使館

東京にある中国大使館は、中国を訪れる日本人へのビザの発給を10日から一時的に停止したと発表しました。
ビザの発給停止の理由については明らかにしていませんが、日本政府による水際措置の強化への対抗措置とみられます。

東京にある中国大使館は、中国を訪れる日本人へのビザの発給を10日から一時的に停止したとホームページ上で発表しました。

ビザの発給を一時的に停止する理由については明らかにしていませんが中国外務省の汪文斌報道官は10日の記者会見で「少数の国は、科学的な事実や自国の感染状況を考慮せず、中国に対して差別的な入国制限をとっており、われわれは断固として反対し、対等な措置をとる」と強調していて、日本政府による水際措置の強化への対抗措置とみられます。

日本政府は、中国での新型コロナの感染状況を受けて、先月30日から臨時の水際措置を始め、8日からは、中国本土からの直行便で入国する人に出国前72時間以内の陰性証明の提出を求めるなど対策を強化しています。

これに加えて政府は、今月12日からは中国本土だけでなく、マカオからの直行便で入国する人に対しても出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提出を求めるとともに、入国時にPCR検査などを実施することになっています。

林外相「極めて遺憾」 中国に抗議 措置の撤廃求める

林外務大臣は、訪問先のアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで記者団に「わが国が新型コロナ対策を目的として、国際的な人の往来を止めるものとならないよう可能なかぎりの配慮を行って水際措置を実施している一方で、中国が新型コロナ対策とは別の理由でビザの発給の制限を行うということは極めて遺憾で、中国側に対して外交ルートで抗議するとともに措置の撤廃を求めたところだ」と述べました。

そのうえで、日本としては中国の感染状況や情報開示のあり方などを見極めながら、適切に対応していく考えを示しました。

大手商社や自動車メーカー 影響は今のところ限定的

国内の旅行業関係者によりますと、10日から人道目的以外の中国へのビザの申請はできなくなっていたということです。

日本の大手商社の間では、中国で「ゼロコロナ」政策が終了したことを受けて現地への訪問を検討する動きが出始めていましたが、実際の出張者は多くなかったということです。

このため日本人に対するビザの発給が一時停止されることの影響は今のところ限定的だとしていますが、状況を注視することにしています。

また、中国に工場がある日本の自動車メーカーの間でも、中国で感染拡大が続いていることから現地への出張はすでに減らしている企業が多く、今回の措置による影響は限定的だとしています。

日本政府関係者「今回の対応は少しやりすぎでは」

東京にある中国大使館が中国を訪れる日本人へのビザの発給を一時的に停止したと発表したことについて、日本政府関係者の1人は「ある程度は想定していたが、日本側は水際措置で入国を禁止したわけではないので、今回の対応は少しやりすぎではないか」と述べました。