岸田首相 イタリアで首脳会談 外務・防衛の協議枠組み立ち上げ

G7=主要7か国の議長国として欧米のメンバー国を訪問する岸田総理大臣は、イタリアでの日程を終え、日本時間の11日未明、3つめの訪問先イギリスに向けて出発しました。

G7の議長国として5月に「広島サミット」を開催するのを前に、欧米のメンバー5か国を歴訪する岸田総理大臣は日本時間の10日夜、フランスに続いて訪れたイタリアでメローニ首相と首脳会談を行いました。

会談で両首脳は、ウクライナ情勢や食料・エネルギー問題など世界的な課題に直面する中でのサミット成功に向け、結束して対応していくことを確認しました。

また、岸田総理大臣は、自由で開かれた国際秩序を守るために、新たな安全保障関連の文書を決定するなど防衛力の抜本的な強化を図っていることを説明しました。

そして、先にイギリスも加えた3か国で航空自衛隊の次期戦闘機の共同開発で合意したことも踏まえ日本、イタリア両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致しました。

そのうえで、安全保障分野での協力をいっそう深めていくため、新たに外務・防衛当局間の協議の枠組みを立ち上げることを確認しました。

イタリアでの日程を終えた岸田総理大臣は、日本時間の11日午前1時ごろ、3つめの訪問先、イギリスのロンドンに向けて政府専用機で出発しました。

岸田首相「今後、協力をいっそう強化したい」

首脳会談のあとに行われた共同記者発表で、岸田総理大臣は「日本とイタリアは基本的価値を共有するG7=主要7か国のメンバーとして国際社会をリードしていく責務を負っている。両国の関係を戦略的パートナーシップに格上げすることで一致した。今後、2国間協力や国際的な諸課題に関する協力をいっそう強化していきたい」と述べました。

また「会談では広島サミットに向けた議長としての考え方を説明し、成功に向け緊密に連携していくことを確認した。特にロシアによる侵略に対し、結束して厳しい対ロ制裁と強力なウクライナ支援を継続、強化していくことなどを説明し理解と支持を得た」と述べました。

イタリア メローニ首相「重要なステップ」

イタリアのメローニ首相は、岸田総理大臣との首脳会談のあとの共同記者発表で「両国の関係を『戦略的パートナーシップ』の地位に引き上げることで合意したことは、あらゆる分野での関係強化につながり、両国の企業や国民に新たな機会を提供する重要なステップになる」と指摘しました。

その上でメローニ首相は「今回の合意に基づく最初の具体的な成果としては、両国が世界的な問題や地域的な問題に関する情勢分析などでの連携を強化するための外務・防衛の協議の枠組みを立ち上げたことだ」と述べました。

首脳会談 主要テーマは安全保障協力など

首脳会談では、5月の広島サミットへの結束や、ウクライナ情勢の対応での連携などをめぐって意見が交わされるほか、両国の安全保障協力も主要テーマの1つとなります。

岸田総理大臣は、中国を念頭に、ウクライナ情勢はインド太平洋地域にも波及しかねないと危機感を強めています。

地域の抑止力を高めるために、日本の防衛力を抜本的に強化するとともに、G7各国ともさらに踏み込んだ安全保障協力を進めたい考えです。

日本、イタリア、そしてイギリスの3か国は、さきに、航空自衛隊の次期戦闘機の共同開発で合意しています。

これも踏まえて、今回の首脳会談では、外務・防衛当局間の協議の枠組みを新たに立ち上げるとともに、両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げして、安全保障協力を一層強化していくことを確認したい考えです。

イタリア初の女性首相とは

岸田総理大臣と会談するイタリアのメローニ首相は、去年9月に行われた議会選挙を経て、去年10月にイタリア初の女性首相に就任しました。

メローニ氏は右派政党の党首としてEU=ヨーロッパ連合に批判的な姿勢で知られ、選挙中にもそうした発言をするなど、自国第一主義的な主張を繰り返していました。

このため当初は、ロシアへの制裁などの対応でEUと足並みがそろわず、各国との結束が揺らぐのではないかといった懸念も出ていましたが、政権発足後はEUやNATO=北大西洋条約機構との関係を重視するとともに、ウクライナへの支援を継続する姿勢を打ち出していて、懸念を払拭した形となっています。

またメローニ首相は所信表明演説で「エネルギーを利用したプーチン大統領の脅迫に屈することは問題の解決にならない」と述べ、ロシアの対応を批判していました。

イタリアは航空自衛隊の次期戦闘機の開発にイギリスとともに参加するなど、日本と安全保障分野での関係強化を進めていて、今回の首脳会談でも連携の強化を改めて確認するものとみられます。