大阪 淀川河口のクジラ 見つかった場所からほとんど動かず

大阪湾の淀川の河口付近に9日に現れたクジラは、10日も見つかった場所からほとんど動かず、海上保安庁が巡視艇を出して監視を続けています。

9日午前8時ごろ、大阪湾で「河口付近にクジラが迷い込んでいる」と海上保安庁に通報があり、淀川の河口付近の海面でクジラが泳いでいるのが見つかりました。

大阪海上保安監部によりますと、クジラは体長がおよそ8メートルで、現在は近くの岸壁から南におよそ400メートル、水深2メートルほどの場所の海面を漂っています。

ここは、9日に見つかった場所より100メートルほど沖合で、クジラは時折、潮を吹いていますが、大きな動きはなく、9日から変わった様子もないということです。

大阪海上保安監部は、クジラが11日も河口付近にいた場合は監視を続け、航行する船舶に注意を呼びかけることにしています。

また、大阪湾を管理する大阪港湾局によりますと、今のところ、クジラが橋などの構造物に接触していないことから、救助は行わず、状況を見守るということです。

SNSでは「淀ちゃん」と呼ぶ投稿も

大阪湾をのぞむ大阪 此花区の防波堤沿いでは、突然現れたクジラをひと目見ようと数十人が集まっていました。

集まった人たちは、スマートフォンのカメラを使ってクジラを撮影しようとしていたほか、なかには双眼鏡や望遠レンズを付けたカメラを持参した人もいました。

小学生の娘とともに大阪 泉佐野市から訪れた男性は「娘がクジラを見たいと言ったのできました」と話し、娘は「大きくてすごかったです」と話していました。

大阪 東淀川区から訪れた40代の男性は「クジラははっきりは見えないけれど、同じところにずっといるので、かわいそうな感じがします。沖の方に連れて行ってあげれたらと思います」と話していました。

また、SNS上では淀川の河口付近に迷い込んだクジラを「淀ちゃん」と呼ぶ投稿も見られます。

大阪 東淀川区から訪れた20代の男性は「淀川にいるからネット上で『淀ちゃん』と言われているのは知っています。もう少し近くで見ることができたら親しみを持てたかもしれません」と話していました。

専門家「現状では様子を見守るしかない」

大阪湾の淀川の河口付近に現れたクジラについて、和歌山県太地町にある「くじらの博物館」名誉館長で、東京海洋大学の加藤秀弘名誉教授は、「大阪湾の浅いところまでクジラが迷い込むことは非常に珍しい」と話しています。

加藤名誉教授は、迷い込んだクジラはマッコウクジラだとした上で「高知県の室戸岬の沖あたりで群れからはぐれ、何らかの理由で方向感覚を失って迷い込んだとみられる」と指摘しました。

また、クジラの健康状態については「衰弱すると体を横にして泳ぐが、しっかり潮を吹いていることから、弱っているわけでない。しかし、川には餌となるイカやエビがおらず、水深の浅いところでストレスがたまり、今後、衰弱する可能性はあるので厳しい状況だ」と述べました。

その上で、「ロープで沖合に出すなどの方法は、クジラが暴れ、けがをして衰弱したり事故が起きたりする可能性が高いので、現状では様子を見守るしかない」と話しています。