新型コロナ インフル同時感染の人も 専門家“重症化しやすい”

元日に41.7度まで発熱したという7歳の男の子。新型コロナウイルスとインフルエンザに同時に感染していたことが判明しました。
年が明けて新型コロナの感染者数は各地で過去最多、全国の死者数も過去最多が報告されています。
コロナとインフルエンザ、同時流行の懸念が高まっている中、専門家はまれなケースとしながらも、仮に同時感染した場合には重症化しやすいと指摘しています。

コロナとインフル 同時感染が判明

東京 北区にあるクリニックでは年明けも連日、発熱などを訴える多くの人が診察に訪れています。
患者の6歳の男の子は前日からの発熱や「頭がガンガンする」と激しい頭痛を訴えました。

クリニックでは、インフルエンザの検査も同時に行っています。

その結果、この男の子は新型コロナは陰性。一方、インフルエンザは陽性でした。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は「全体の比率に対するインフル患者が年末に比べて増えている。年明けからせきを切ったように増え始めて、いまインフルの伸び率のほうがコロナの増加率よりも高い気がする」と年明け以降、インフルエンザの患者が顕著に増えていると言います。

伊藤院長は年末年始に家庭内で感染が広がったとみています。

さらに、インフルエンザの患者が増える中、新型コロナと同時感染するケースもありました。
診察に訪れた7歳の男の子は、元日に41.7度まで発熱したといいます。

抗原検査の結果、インフルエンザは陽性、後日のPCR検査で新型コロナも陽性と同時感染が判明しました。

伊藤院長は「家庭内の中で、ある人がコロナに感染する、ある人がインフルエンザに感染する、家庭内で2つが混じり合ったときに一定の確率で同時感染ということが起きている」と話していました。

インフルエンザ患者数 全国で流行期入りの目安超

全国のインフルエンザの患者数は流行期入りの目安を超えています。

厚生労働省によりますと今月1日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より3665人多い9768人でした。
インフルエンザは、1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされ、今回は2.05人と1.24人だった前の週より0.81ポイント高くなり、引き続きこの目安を超えています。

地域別では▽沖縄県が9.89人と最も高く、次いで、▽富山県が5.96人、▽福岡県が4.19人、▽大阪府が3.73人、▽神奈川県が3.70人、▽宮崎県が3.29人などと30の都道府県で「1人」を上回っています。

感染が拡大する中 3学期はじまる

こうした中、冬休みは終わり、子どもたちは学校が始まりました。

大阪では10日、市立のおよそ350の小中学校で3学期の始業式が行われ、このうち淀川区にある野中小学校では、児童たちが、地域の見守りの人たちや正門の前に立った教職員に元気にあいさつして登校していました。

始業式は、換気をしたり間隔を空けたりして感染対策をしたうえで講堂に集合して行われました。

同時流行見据えドライブスルー形式の発熱外来設置

一方、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた動きも出ています。
茨城県は10日から、一日当たり最大300人に対応できるドライブスルー方式の臨時の発熱外来をつくば市に設置し、運用が始まりました。

臨時の発熱外来ではPCR検査に対応できるほか、希望すれば有料で同時にインフルエンザの検査も受けることができます。

検査結果は受診からおよそ3時間後にメールで届き、新型コロナへの感染が確認された場合は専用のアプリからオンラインで医師の診察や薬の処方を受けることができます。
受診には茨城県のホームページから予約が必要で、初日は300人分の予約枠がすべて埋まっているということです。

茨城県は、新型コロナやインフルエンザの感染状況を見ながら、今後2か月間ほど臨時の発熱外来の運用を続けていくことにしています。

専門家に聞く コロナとインフル同時感染

年明けのこの時期に心配される「新型コロナとインフルエンザの同時感染」「死者数の増加」「新たな変異株」の3点について大阪大学の忽那賢志教授に聞きました。

Q.同時感染について

A.忽那教授は、まれなケースとしながらも、仮に感染した場合には重症化しやすいといいます。
「重症化する可能性が新型コロナのみに感染するのに比べて4倍ぐらいになるとかですね、亡くなる頻度も2倍ぐらい高くなるというふうに言われていますので、やっぱりどちらもワクチン打ってあらかじめ予防できるところはしっかり予防しておくということが重要だと思います」

Q.止まらない新型コロナの感染拡大について

7日には全国の死者数が463人とこれまでで最多に。感染者数が第7波より少ないにもかかわらずなぜ死者数が増えたのか。
A.忽那教授は、全数把握の方法が変わったため、実際の感染者数は第7波のピークを超えている可能性があると指摘し、さらなる増加への警戒を呼びかけています。
「年末年始を挟んでやっぱり人が増えて人流が増えて感染が広がりやすい状況ということでもありますので、そういう意味ではまだこれから感染者が、なかなかピークアウトすることを期待しにくい状況ではある。これから学校再開によってその若い世代に広がってしまうということはこれは起こりうることだろうとは思います」

Q.新たな変異株について

A.忽那教授はアメリカで急速に拡大しているオミクロン株の1つ、「XBB.1.5」の流入を懸念しています。
「今までのオミクロンの系統と比べると、さらにワクチンとか過去の感染による免疫が通用しにくいという免疫逃避という性質がさらに強くなっている。それが今の日本のウイルスの中で置き換わっていくとますます感染者が増えやすい状況になるだろうと思います」
第8波の収束は見えず新たな変異株の出現。
その感染力は強いということですが、忽那教授は重症化という点では今あるワクチンでも防ぐ効果はあるとして改めて接種を呼びかけています。
また、新型コロナもインフルエンザも呼吸器の感染症で感染経路は似ていて、とるべき対策は大きく変わりません。

▽発熱などの症状がある場合は学校や仕事には行かず、ほかの人との接触を極力避ける。休養が重要。
▽手指の消毒、屋内で人と近い距離で会話する場面などではマスクを着用する。飲食店などでは換気を徹底することが大事になります。