“コロナ病床 ほぼ満床” 現場の医師に危機感 神奈川 川崎

新型コロナウイルスの患者を受け入れている神奈川県川崎市の病院では、コロナの患者用のベッドがほぼ満床の状況が続いています。現場の医師は「適切な治療のタイミングが遅れてしまう人も出てきかねない」と危機感を募らせています。

神奈川県の病床の使用率は、先月下旬の時点で全国で最も高い81%で、中等症のコロナ患者用に32床を確保している川崎市の新百合ヶ丘総合病院では、先月半ば以降、新型コロナに感染して基礎疾患が悪化した高齢者などでほぼ満床の状態が続いています。

病院によると、コロナの患者が県内のほかの病院に転院する際も病床の調整が難しくなっていて、中には、通常は使用していない救急外来の簡易ベッドで患者が1日ほど待機することもあるということです。

一方、休日は地域の診療所が休んでいるため、救急外来を訪れる患者がいつもの倍以上に増え、中には発熱後にコロナやインフルエンザの検査に訪れる人もいて、9日は50代のがん患者の男性がコロナの検査で陽性と診断されていました。

また、冬のこの時期は脳卒中などの病気や転倒によるけがなどで救急車で運ばれる患者も増えますが、新型コロナの患者に病床を確保している分、一般の病床が少なくなっているため、9日は骨折で治療が必要な患者の受け入れを断らざるをえないケースもありました。
新百合ヶ丘総合病院の伊藤敏孝救急センター長は「高齢者で基礎疾患のある人が悪化して亡くなっている人が多いが、ベッドがひっ迫しているので全員を入院させられずに、高齢者でもなるべく自宅や施設で診てもらっている状態だ。このまま感染が収まらなければ、適切な治療のタイミングが遅れてしまう人も出てくきかねない」と訴えていました。