【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

岸田首相 “ウクライナ支援を全力 キーウ訪問を検討”

ロシアの軍事侵攻をめぐって、岸田総理大臣はウクライナのゼレンスキー大統領と、6日午後6時すぎからおよそ30分間、電話会談を行ったあと記者団の取材に応じました。

この中で、岸田総理大臣は「私からはG7=主要7か国の議長国としての積極的な役割を果たしていくことを申し上げた上で、ロシアが攻撃を継続していることについて強く非難し、ウクライナの人たちの命を守るために越冬支援を全力で進める旨を伝えた」と述べました。

その上で「ゼレンスキー大統領からは日本の立場に深い謝意が表明されたほか、戦況の説明があった。私からはG7議長国としてウクライナとの連携を強化したいと申し上げ、両者で一致した」と述べました。

また「ウクライナ政府は、主要国の政府要人にキーウ訪問を招請しており、私に対しても招待があった。現時点ではなんら決まっていないが諸般の状況を踏まえ検討していきたい」と述べました。

岸田首相 ゼレンスキー大統領と電話会談

ロシアの軍事侵攻をめぐって、岸田総理大臣は、6日午後6時すぎから、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。

会談で、岸田総理大臣は、ロシアの軍事侵攻を断じて容認しない立場を重ねて示すとともに、G7=主要7か国の議長国として、国際社会と連携して対ロ制裁やウクライナ支援を継続していく考えを伝えているものとみられます。

また、先にウクライナ側から日本側に岸田総理大臣のウクライナ訪問の要請が行われたことを踏まえ、首脳間で訪問に関するやりとりが交わされているものとみられます。

キーウの市民 “一時停戦うそだと思います”

ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領がロシア正教のクリスマスにあわせて日本時間の6日夜から一時、停戦するよう国防相に命じたことに対して、ウクライナの首都キーウの市民からは一様に疑いの声が聞かれました。

40代の男性は「一時停戦などうそだと思います。この週末もミサイル攻撃には気をつけたいと思います」と話していました。

また、30代の男性も「歴史的に見てもロシアが平和的な提案をするときはいつも裏があります。私たちは占領された東部の奪還を進めているし、市民や政府も一時停戦は実現しないと考えていると思います。あすはいつも通り家族や友人と過ごす予定ですが、ミサイル攻撃があり得るので、防空警報には気をつけます」と話していました。

さらに、17歳の女性は「一時停戦は信じられないし、たとえ実現したとしてもその後、さらに強い攻撃を仕掛けてくることもありえると思います。私たちの政府は一時停戦すべきではありません」と話していました。

親ロシア派指導者 “敵が前進する機会与えてはならない”

ロシアのプーチン大統領は5日、ロシア正教のクリスマスにあたる今月7日にあわせて、日本時間の6日午後6時から8日午前6時までの36時間は停戦するようショイグ国防相に命じました。ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相は、前線の部隊にこの時間帯での停戦を指示したということです。

ただ、ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派の指導者、プシリン氏は「大統領の決定は敵の挑発に応じないということではない。この時間帯に敵が前進する機会を与えてはならない」とSNSに投稿し、東部で反転攻勢を強めるウクライナ側に停戦違反の試みがあれば即座に対抗するとけん制しました。

ウクライナ外相 “『一方的な停戦』 真剣に受け止められない”

ウクライナのクレバ外相はSNSで「新年に大量のミサイルと無人機による攻撃を行ったロシアによる『一方的な停戦』は真剣に受け止められない」と懐疑的な見方を示していて、停戦が成立するかは不透明です。

バイデン大統領 “懸念は停戦を攻撃に利用すること”

アメリカのバイデン大統領は、ロシア正教のクリスマスにあわせて一時的な停戦を命じたロシアのプーチン大統領について、5日、記者団に対し「クリスマスの12月25日や新年を迎えた日にも病院や保育所、教会などを爆撃しようとしていた」と述べ停戦に懐疑的な見方を示しました。

また、国務省のプライス報道官は記者会見で「アメリカの懸念は、ロシアが一時的な停戦を休息や再編成、さらには、攻撃に利用しようとすることだ。もし、ウクライナの人たちに対し、さらに復しゅう心を燃やし、訓練を行う意図があるのなら、停戦とはいえない」と述べ、ロシア側が一時的な停戦を利用して、動員した予備役などへの訓練を行う可能性があるとの見方を示しました。

その上で「もし、ロシアが和平について真剣であるなら、ウクライナの領土から部隊を撤退させるだろう」と述べ、ロシアに対し、軍の部隊を撤退させるよう改めて求めました。

アメリカ・ドイツ “ウクライナに歩兵戦闘車など供与”

ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナに対し、アメリカのバイデン大統領は5日、「ロシアは手を緩める気はない」と述べ、これに対抗するため新たに機動力と火力を兼ね備えた「M2ブラッドレー歩兵戦闘車」を供与する考えを示しました。

数については言及していませんが、ロイター通信は政府関係者の話としておよそ50両になると伝えています。

バイデン大統領はこの日、ドイツのショルツ首相と電話会談を行い、会談後の共同声明で両首脳はウクライナに対して「必要なかぎり財政、人道、軍事、外交面での支援を行っていく共通の決意を示した」としています。

これを受けてドイツ政府も、ウクライナに初めて「マルダー歩兵戦闘車」と呼ばれる装甲車と地対空ミサイルシステム「パトリオット」を供与すると発表しました。

ドイツは、これまでウクライナが求める装甲車などの兵器の供与には慎重な姿勢を示してきましたが、アメリカが軍事支援を強化させる中、足並みをそろえた形です。

ゼレンスキー大統領 “一時停戦は態勢立て直しの口実”

プーチン大統領がロシア正教のクリスマスにあわせて一時、停戦するよう国防相に命じたと発表したことについて、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日夜、新たに公開した動画で「ロシアはわれわれのドンバス地域での反転攻勢を少しでも食い止め、装備や兵士を輸送するためにクリスマスを利用したいのだ」と述べ、ロシア側の主張する一時的な停戦は態勢立て直しの口実にすぎないとの見方を示しました。

ロシア 民間軍事会社 “戦闘契約終えた受刑者 自由に”

ウクライナ侵攻に関与しているロシアの民間軍事会社「ワグネル」は受刑者を戦闘員に勧誘してきたと伝えられています。

国営のロシア通信は5日、「ワグネル」の代表のプリゴジン氏が、受刑者だとするおよそ20人に対して「半年間の戦闘契約を終えた」と述べ、自由を与えたと伝えました。

プリゴジン氏はプーチン政権に近いとされ、これまでにロシア国内の刑務所に服役する受刑者に「半年間戦えば特赦を受けられる」などと言って戦闘員を募ってきたと伝えられていました。

ロシア通信が配信した映像でプリゴジン氏は「もう問題を起こすな」と呼びかけていて、前科は抹消されたとしていますが、独立系メディアは帰還兵の特赦を認める法律はないと疑問を呈しています。

トルコ大統領 ロシア・ウクライナ両首脳と電話会談

トルコ大統領府は5日、エルドアン大統領がロシアのプーチン大統領、そしてウクライナのゼレンスキー大統領と相次いで個別に電話会談したと発表しました。

プーチン大統領との電話会談でエルドアン大統領は「和平と交渉を呼びかける。いずれかの側からだけの停戦の宣言であっても、公正な解決策として支持されるべきだ」と述べ、早期の停戦を求めました。

ロシア大統領府によりますと、これに対してプーチン大統領は「新たな領土の現実を考慮することを条件に、ロシアが真剣な対話に前向きであることを改めて強調した」ということで、ウクライナ東部と南部の4つの州を併合したとする一方的な主張を繰り返した形です。

一方、ゼレンスキー大統領は自身のツイッターに「エルドアン大統領と安全保障面での協力について議論した」と投稿しました。

ウクライナ市民「ロシアは信用できない」

プーチン大統領がロシア正教のクリスマスにあわせて36時間の停戦を命じたという発表について、ウクライナの首都キーウの市民からは冷ややかな声が上がっています。

ロイター通信の取材に対し、52歳の女性は「プーチン大統領が本当に停戦するとは思えない。私たちはミサイル攻撃を受けながら新年を祝った。そのときも私と娘はどこにも行けず、平和だったのは1時間か2時間だけだった」と話し、ロシアを非難しました。

また、市民の男性は「これは悪い冗談だ。私たちの国の歴史上、ロシアを信じていい結果になったことがない。彼らは信用できず、用心しないといけない」と話し、不信感をあらわにしていました。

さらに、別の33歳の男性も「ロシアは口では停戦と言えるが、実際にはイラン製の無人機などを使って攻撃を続けるのだろう」と話していました。

ウクライナ大統領府顧問「占領地から去って初めて一時停戦」

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、SNSで「ロシアが占領地から去って初めて一時停戦ができる。偽善は自身の中にとどめておくべきだ」と述べ、プーチン大統領を批判しました。

また、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官はウクライナ南部ヘルソン州で住宅がロシア軍の砲撃を受けて、12歳の男の子を含む家族3人が死亡したことをSNSで明らかにしました。

砲撃はロシア正教会の総主教が一時、停戦を呼びかけた直後だったとして、ティモシェンコ副長官は「家族は正教会のクリスマスを祝う準備をしていたのに、恥知らずのロシアの一撃で命を落とした」と書き込み、強く非難しました。

ロシア “プーチン大統領が6日から36時間停戦を命じた”と発表

ロシア大統領府は5日、プーチン大統領がロシア正教のクリスマスにあたる今月7日にあわせて、6日正午から8日午前0時まで(日本時間の6日午後6時から8日午前6時まで)の36時間は停戦するようショイグ国防相に命じたと発表しました。

そのうえで「ウクライナ側に停戦を宣言し、信者たちが礼拝に参列できるようにすることを求める」としています。

ウクライナ大統領府長官 岸田首相の訪問を要請

ウクライナのイエルマク大統領府長官は首都キーウにある日本大使館の松田邦紀大使と会談し、ゼレンスキー大統領の意向として、岸田総理大臣のウクライナ訪問を要請したことを4日、明らかにしました。

会談でイエルマク大統領府長官は、日本がことしのG7=主要7か国の議長国になったことに祝意を示し、「ゼレンスキー大統領とG7の各国の首脳との定期的な対話はロシアの侵略に対抗するための国際社会の取り組みを調整する最も効果的な仕組みの1つだ」と述べました。

訪問時期については、岸田総理大臣の「都合のよい時に」と説明しているということです。

ウクライナ 去年のGDP 前年比30.4%減の見通し

ウクライナの経済省は、ロシアによる軍事侵攻を受けて去年(2022年)のGDP=国内総生産がおととしと比べて30.4%減少するという見通しを5日、示しました。

1991年にウクライナが旧ソビエトから独立して以降、最も大きい落ち込みになるということです。

一方、経済省によりますと、軍事侵攻が始まった当初、GDPの減少幅は最大で50%にのぼるおそれもあったということで「多くの専門家の予想よりはよくなっている」としています。

これについてスビリデンコ第1副首相兼経済相は「ウクライナ軍は戦場で成果を上げ、政府と企業は整然と連携を取りあった。海外からの財政支援もあり、われわれは経済を維持しながら勝利に向かって進んでいる」とコメントしています。

ウクライナ大統領府長官「勝つために必要なもの得られる確証」

ウクライナのイエルマク大統領府長官は先月末、首都キーウでNHKの単独インタビューに応じました。

このなかでイエルマク長官は、ウクライナでの戦況について「最も重要な課題は東部ドンバス地域の状況で、特にバフムトだ」と述べ、ウクライナ側の拠点となっているバフムトで激しい戦闘が続いているとしたうえで「われわれは一歩一歩前進している。南部ヘルソンや東部ハルキウで見たような成功をおさめねばならず、そのためには冬も祝日も立ち止まらないことだ」と述べました。

そしてイエルマク長官は、先月、ゼレンスキー大統領に同行してアメリカを訪問したことに触れ、「勝つために必要なすべてのものを得られる確証を持つことができた。アメリカもわれわれの勝利についてこれまで以上に自信を持っている」と述べ、アメリカとの連携を深めながら一層の軍事支援を得て反転攻勢を続けていくことに自信を示しました。