先月31日の未明、山形県鶴岡市西目で発生した土砂災害では、2人が死亡、およそ10棟の建物が倒壊しました。
5日は地形学が専門の山形大学の八木浩司 名誉教授が県の担当者などとともに緊急の現地調査を行い、崩れた斜面の様子や土の状況などを確認しました。
調査のあと八木名誉教授は取材に応じ、崩れた裏山では岩盤の風化が進んでもろくなり、粘土状になっていたと説明しました。
山形 2人死亡の土砂災害 “雪どけ水や雨水がしみこみ発生か”
山形県鶴岡市で先月31日に住宅の裏山が崩れて2人が死亡した土砂災害で、県や専門家などが5日に緊急の現地調査を行い、専門家は「風化してもろくなった地層に雪どけ水や雨水がしみこみ、発生した可能性が高い」と指摘しました。


そのうえで先月半ばの大雪が雨などで急激にとけ、雪どけ水と雨水が地下にしみこんで地層に大量にたまり、水圧が高まったことが原因ではないかとの見方を示しました。
そして、現場では斜面が今も動いている上、来月中旬までは雪の量が増えることから、再び土砂災害が起きるおそれがあるとして避難指示の扱いは、さらに調査を進めた上で、慎重に判断する必要があるとしています。
そして、現場では斜面が今も動いている上、来月中旬までは雪の量が増えることから、再び土砂災害が起きるおそれがあるとして避難指示の扱いは、さらに調査を進めた上で、慎重に判断する必要があるとしています。

八木名誉教授は「住民の皆さんは、安心して帰ることができない状況だ。雪どけを考えると春先まで注意深く見守らなければいけない」と話していました。
鶴岡市は住民に出している避難指示について、八木名誉教授の見解を踏まえたうえで、今後方針を示したいとしています。
鶴岡市は住民に出している避難指示について、八木名誉教授の見解を踏まえたうえで、今後方針を示したいとしています。
現在も斜面に動きが 現場には計測装置設置へ
現地調査のあと、山形県庄内総合支庁建設部の五十公野光博 河川砂防課長が取材に応じ、現場に、斜面の動きを観測する装置を設置すると明らかにしました。
五十公野課長は「調査に同行した専門家から『斜面の一部が現在も動いており、今後も注意深く観察していく必要がある』と報告を受けたので、現在避難している住民が一時帰宅できるかどうかを判断するため、斜面の動きを計測する装置を設置する。今後、具体的なスケジュールなどを検討し、できるだけスピード感をもって対応していく」と述べました。
五十公野課長は「調査に同行した専門家から『斜面の一部が現在も動いており、今後も注意深く観察していく必要がある』と報告を受けたので、現在避難している住民が一時帰宅できるかどうかを判断するため、斜面の動きを計測する装置を設置する。今後、具体的なスケジュールなどを検討し、できるだけスピード感をもって対応していく」と述べました。
土砂災害発生までの現地の気象状況は

気象庁によりますと土砂崩れの現場からおよそ10キロ離れた山形県鶴岡市中心部にある観測点では、先月1日から30日までの降水量が500.5ミリに達し12月としては観測史上、最も多くなりました。
また、土砂崩れの現場から15キロほど離れた鶴岡市桂荒俣では先月20日時点で88センチの積雪を観測し、さらに先月23日には34センチの雪が降りました。
その後は一転して雨となり、鶴岡市では23日には1日の雨量が46.5ミリの雨が降ったほか、28日には最高気温が9.8度と平年の6.1度を4度近く上回るなど、この時期としては気温の高い日が続きました。
また、土砂崩れの現場から15キロほど離れた鶴岡市桂荒俣では先月20日時点で88センチの積雪を観測し、さらに先月23日には34センチの雪が降りました。
その後は一転して雨となり、鶴岡市では23日には1日の雨量が46.5ミリの雨が降ったほか、28日には最高気温が9.8度と平年の6.1度を4度近く上回るなど、この時期としては気温の高い日が続きました。

桂荒俣の積雪は土砂災害が発生した先月31日の未明時点で34センチと、20日と比べ54センチ少なくなっていて、山形地方気象台は鶴岡市内では高い気温と雨水によって急速に雪どけが進んだとみています。
相次ぐ雪どけや積雪が原因の土砂災害 おととしは年間30件

新潟県糸魚川市ではおととし3月、気温の上昇に伴って雪が一気にとけて地盤が緩み幅およそ100メートル、長さおよそ1キロの地すべりが発生しました。
住宅など13棟が被害を受け、いまも2世帯6人に対し避難指示が出ていて、住民の避難生活が続いています。
おととし1年間に発生した雪どけや積雪が原因の土砂災害の件数を地域別にみますと、新潟県で18件、石川県で4件、山形県と長野県、それに福井県でそれぞれ2件などとなっています。
国土交通省は地盤がもろく斜面の状態が不安定なところで雪が大量にとけることにより、土砂災害が発生する可能性が高くなるとしています。
また、おととし1年間の発生件数を月別で見ますと、3月から5月にかけて、全体の7割近くにあたる20件が起きていて、雪どけが進む春に多くなる傾向があります。
住宅など13棟が被害を受け、いまも2世帯6人に対し避難指示が出ていて、住民の避難生活が続いています。
おととし1年間に発生した雪どけや積雪が原因の土砂災害の件数を地域別にみますと、新潟県で18件、石川県で4件、山形県と長野県、それに福井県でそれぞれ2件などとなっています。
国土交通省は地盤がもろく斜面の状態が不安定なところで雪が大量にとけることにより、土砂災害が発生する可能性が高くなるとしています。
また、おととし1年間の発生件数を月別で見ますと、3月から5月にかけて、全体の7割近くにあたる20件が起きていて、雪どけが進む春に多くなる傾向があります。
融雪による土砂災害 積雪多い地域は要注意
積もった雪がとけて発生する土砂災害は積雪の多い地域を中心にこれまでにも起きています。
専門家は積雪が増えた地域で気温が上がったり雨が降ったりすると、土砂災害のリスクが高まるおそれがあるとして、斜面の変化に気を配るよう指摘しています。
札幌市にある寒地土木研究所の倉橋稔幸上席研究員によりますととけた雪が原因で起こる土砂災害は、北海道や東北、北陸で毎年にように起きていて、気温が上がる時期は特に注意が必要だということです。
メカニズムについて倉橋上席研究員は「雪が溶けて土の中に水がしみこみ、地盤が緩んで崩壊が起きる。傾斜が急な斜面のほか、周囲の水が集まりやすい『谷』の地形でも発生しやすい」としています。
その上で「気温が急に高くなるときや雨が降った場合にはとけた雪と雨が一緒になって地盤にしみこむ水の量が増えるので、特に警戒が必要だ」と指摘しています。
さらに、積雪の深さだけではなく雪の密度によって地盤にしみこむ水の量が変化するほか地形や地質の影響を受けるため、いつ土砂災害が起きるのか予測することは難しいとしています。
そして雪が増えた地域では雨や気温の状況に気を配るべきだとしたうえで「斜面に亀裂や段差、ふくらみが生じたり、小石が落ちてきたりすれば地盤が動いている兆候なので、すぐに避難する必要がある。表面に雪があると通常よりも斜面の変化に気付きにくいので注意してほしい」と話しています。
専門家は積雪が増えた地域で気温が上がったり雨が降ったりすると、土砂災害のリスクが高まるおそれがあるとして、斜面の変化に気を配るよう指摘しています。
札幌市にある寒地土木研究所の倉橋稔幸上席研究員によりますととけた雪が原因で起こる土砂災害は、北海道や東北、北陸で毎年にように起きていて、気温が上がる時期は特に注意が必要だということです。
メカニズムについて倉橋上席研究員は「雪が溶けて土の中に水がしみこみ、地盤が緩んで崩壊が起きる。傾斜が急な斜面のほか、周囲の水が集まりやすい『谷』の地形でも発生しやすい」としています。
その上で「気温が急に高くなるときや雨が降った場合にはとけた雪と雨が一緒になって地盤にしみこむ水の量が増えるので、特に警戒が必要だ」と指摘しています。
さらに、積雪の深さだけではなく雪の密度によって地盤にしみこむ水の量が変化するほか地形や地質の影響を受けるため、いつ土砂災害が起きるのか予測することは難しいとしています。
そして雪が増えた地域では雨や気温の状況に気を配るべきだとしたうえで「斜面に亀裂や段差、ふくらみが生じたり、小石が落ちてきたりすれば地盤が動いている兆候なので、すぐに避難する必要がある。表面に雪があると通常よりも斜面の変化に気付きにくいので注意してほしい」と話しています。