【動画】キーウ 市民が戦時下で異例の年越し 連日の空襲警報

ロシアが始めたウクライナへの軍事侵攻は、終結しないまま年を越しました。年末年始もロシア軍による攻撃が繰り返されたウクライナ。首都キーウでも連日の空襲警報によって、市民は地下のシェルターなどへの避難を余儀なくされ、厳しい日常を強いられていました。

わずか5日の妻との再会

ウクライナでは侵攻開始以来、成人男性は原則、国外に出ることができません。
報道の仕事を続けているミハイロさんは、ポーランドに避難していた妻と8か月ぶりにキーウで再会しました。
しかし一緒に過ごせたのはわずか5日でした。
「大切な人を抱きしめるとき、ずっと離れたくない」「また会えるのを笑顔で待ちたいです」。

「妻のボルシチがベストだね」

キーウに住み軍需工場で働くビクトルさんです。ポーランドに避難していている妻と娘は、安全への懸念のため、年末年始も帰国しませんでした。   
この10か月ほど、慣れない手つきで自炊を続けています。
新年2日の夕食は、缶詰を使ったパスタでした。
「妻の作る料理はぜんぶおいしいよ」「ボルシチがベストだね」。

日課のビデオ通話。年末年始ともに食事できない寂しさは拭えませんでした。
「新年にボルシチを作ったけどあなたにも送ることができればいいのに」。

仮設住宅で年越し

激しい戦闘が続く東部や南部の住民は、自宅で新年を迎えることさえできませんでした。仮設住宅で年越しを余儀なくされたマティウシェンコさん。
キーウ近郊のブチャに避難しています。
夫は、軍事侵攻が始まる前の7年前から親ロシア派の勢力にとらわれの身になったままです。

年末年始も避難先の仮設住宅では、停電が日常化。
1日に電気が使えるのは数時間程度で、数日間電気が使えなかった日もあるといいます。マイナス10度を下回ることのある厳しい冬を乗り切れるのか。マティウシェンコさんは、大きな不安を抱えています。

「1つの発電機でもあれば、とてもありがたいです。ここにいる人たちは家をなくした人か、占領された地域から避難した人です。どこにも行くあてがありません」。

調査で85%の人が「領土を譲歩すべきでない」と回答

侵攻開始から10か月あまり。
ゼレンスキー大統領は新年のあいさつで「無人機、ミサイル、ほかのどんなものもロシア軍の助けにはならない。彼らはウクライナの独立を奪えない」と述べ、改めて国民に徹底抗戦を呼びかけました。

ウクライナの調査会社が発表した最新の調査でも、85%の人が「領土を譲歩すべきでない」と答えていて、ウクライナの市民の多くが領土奪還を支持する姿勢を示していると分析しています。

一方で政治的な解決に向けた糸口を見いだそうとする外交的な動きも出ています。クレバ外相は国連の協力も得て和平会議を2月開催したいという意向を示しています。

ゼレンスキー大統領も和平に向けて「ウクライナの領土保全の回復」や「ロシア軍の撤退」を含む、10の項目を掲げています。そこからはできる限り戦況を優位に進めながら、国際社会を巻き込んで和平への道を見いだそうという思惑もうかがえます。
キーウでは、この数日は比較的気温の高い日が続きましたが、5日からはまた冷え込み、マイナス10度という厳しい寒さも予想されています。
明確な見通しが見いだせない中、電力不足は深刻なままで、市民は我慢の日々が続く厳しい1年の始まりとなっています。

(動画は10分30秒。データ放送ではご覧になれません)