国債の「表面利率」は、投資家が受け取る利息です。
例えば、額面金額が100万円の10年ものの国債で「表面利率」が0.5%の場合は、投資家は毎年5000円の利息を10年間、受け取ります。
そして満期を迎えると額面金額の100万円が投資家に償還されます。
この「表面利率」は、「利回り」とは違います。
いったん発行された国債は市場で銀行などが売買します。
その時の状況によって市場で取り引きされる国債の価格は額面金額よりも値上がりしたり値下がりしたりします。
例えば、値下がりした時に、安く国債を買った投資家は、
▼表面利率に応じた利息を毎年、受け取るのに加えて、
▼額面よりも安く買った差額分が、償還の際、「もうけ」になります。
そして「利息」と「もうけ」を1年当たりに換算した額を、あわせたものが「利回り」となります。
「利回り」と「表面利率」はこのような違いがあるのです。
10年もの国債 利息示す「表面利率」0.5%に これまでの2倍以上
財務省は今月発行する10年ものの国債について、利息を示す「表面利率」を、これまでの2倍以上の0.5%に引き上げると発表しました。日銀の金融緩和策の修正で、市場の利回りが上昇していることを踏まえたもので、8年1か月ぶりの水準となります。
発表によりますと、今月発行する満期10年の国債の「表面利率」は、0.5%となります。
「表面利率」は去年4月以降、0.2%となっていて2倍以上の引き上げです。
日銀が先月、金融緩和策を修正し、長期金利の変動幅の上限を0.5%程度に引き上げたことで、市場で取り引きされている国債の利回りが上昇していることを踏まえました。
10年ものの国債の「表面利率」が0.5%以上になるのは、2014年12月以来8年1か月ぶりです。
財務省は今年度の当初予算で、国債の利払い費の利率を1.1%と想定していて、今回の引き上げで直ちに国の事業などに影響を与えることはないとみられます。
ただ「表面利率」の上昇は、利払い費の増加につながることから、新年度の当初予算案でも歳入の3割以上を国債に依存する状況が続くなか、今後、利回りがさらに上昇するような事態になれば、財政に一定の影響を与えることも予想されます。
「表面利率」と「利回り」
表面利率の推移
「表面利率」は市場で取り引きされている国債の利回りをふまえて財務省の理財局が決めています。
毎月発行している10年ものの国債の表面利率は、バブル景気のころの1990年10月には7.9%まで上がりました。
その後、景気の悪化に伴って表面利率はじょじょに下がり、1998年には2%を割り込みました。
さらに、日銀の黒田総裁が2016年1月に、史上初めてとなる「マイナス金利政策」の導入に踏みきると、その年の3月に表面利率は0.1%に引き下げられ去年3月まで(2022年)6年間続きました。
そして去年4月からは0.2%の水準が続いていました。
毎月発行している10年ものの国債の表面利率は、バブル景気のころの1990年10月には7.9%まで上がりました。
その後、景気の悪化に伴って表面利率はじょじょに下がり、1998年には2%を割り込みました。
さらに、日銀の黒田総裁が2016年1月に、史上初めてとなる「マイナス金利政策」の導入に踏みきると、その年の3月に表面利率は0.1%に引き下げられ去年3月まで(2022年)6年間続きました。
そして去年4月からは0.2%の水準が続いていました。