ロシア軍 極超音速ミサイル搭載艦を実戦配備 欧米各国けん制か

ロシア軍は4日、極超音速ミサイルを搭載したフリゲート艦を実戦配備しました。大西洋や地中海に向かい演習を実施するとしていて、ウクライナへの軍事支援を続ける欧米各国をけん制するねらいがあるとみられます。

ウクライナ東部ドンバス地域ではウクライナ軍が領土を奪還しようと反転攻勢を続けていて、3日にはルハンシク州スバトベの近郊でロシア軍の弾薬庫を爆破したとする動画をSNSに投稿しました。

また、ロシア国防省は、ドネツク州の州都に隣接するマキイウカで今月1日、部隊の兵舎が、高機動ロケット砲システム=ハイマースによるウクライナ軍の攻撃を受け、89人が死亡したと発表しました。

現場の兵士が規則に反して携帯電話を頻繁に使用したことで位置情報から居場所が特定されたことが原因だとする異例の声明を出し、軍の指導部への批判をかわしたいねらいがあるとみられます。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は4日、ショイグ国防相などとオンラインで結び、開発を続けてきた海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載したフリゲート艦を戦闘任務に就かせるよう命じました。

実戦配備を意味し、プーチン大統領は「世界のどの国にも類を見ない、このような強力な兵器は、外部の潜在的な脅威からロシアを確実に守ると確信している」と主張しました。

「ツィルコン」は音速の9倍にあたるマッハ9の速度で飛行し、射程は1000キロだとしていて、ショイグ国防相はプーチン大統領に対し、フリゲート艦が大西洋や地中海に向かい、さまざまな条件下での演習を実施すると報告しました。

プーチン大統領としては、核弾頭も搭載可能な極超音速兵器の実戦配備を誇示することでウクライナへの軍事支援を続ける欧米各国をけん制するねらいがあるとみられます。

ロシアの専門家 軍の対応を疑問視

ウクライナ東部ドネツク州のロシア軍の兵舎が攻撃を受け、多くのロシア兵が死亡したことをめぐっては、ロシアの専門家からも、軍の対応を疑問視する声が上がっています。
このうちロシアの軍事ジャーナリストで、先月プーチン大統領から表彰されたセミョン・ペゴフ氏は4日「なぜ国防省は、敵が無人機やスパイの情報によって多くのロシア兵が集まっていることを把握したと思わないのか」とSNSに投稿しました。

そしてロシア国防省が現場の兵士が携帯電話を使い、居場所を特定されたのが原因だと断定したことについては「それほど説得力がない」と懐疑的な見方を示しました。

また今後、同様の攻撃を回避するための対策として、兵士を1か所に集めるのを避け、常に分散させるよう提言したうえで「大変なことだが、これは生きるか死ぬかの問題だ」と訴えました。

ペゴフ氏は、国防省が4日、89人と発表したロシア兵の死者の数について、これからさらに増えるという見方を示しています。