“攻撃で89人死亡” ロシアは兵士の携帯電話使用が原因と発表

ロシア国防省は、ウクライナ東部の支配地域で部隊の兵舎がウクライナ軍の攻撃を受けた結果、生じた死者の数が89人に増えたと発表しました。現場の兵士が規則に反して携帯電話を使用し、ウクライナ側に居場所を特定されたのが原因だと断定していて、軍の指導部に対する批判をかわしたいねらいがあるとみられます。

ロシア国防省は、ウクライナ東部ドネツク州の州都に隣接するマキイウカで、部隊の兵舎が、高機動ロケット砲システム=ハイマースによるウクライナ軍の攻撃を受けたことについて、4日新たな声明を発表しました。

この中で、攻撃があったのは今月1日の新年が明けてすぐだとしたうえで、死者数は89人に増え、部隊の副司令官も含まれていたとしています。

そのうえで「禁止事項に違反して携帯電話を頻繁に使用したことが主な原因であることは明らかだ。敵は兵士の位置を追跡して座標を割り出した」として、携帯電話の位置情報から居場所を特定されたと断定し、関係者の責任を追及する方針を示しました。

今回の攻撃をめぐってイギリス国防省は4日、「被害の大きさから、兵舎の近くに弾薬が保管されていた可能性が高く、それが2次爆発を起こしたと考えられる」と分析しています。

兵舎には当時およそ600人がいたという情報も伝えられる中で、ロシアの軍事専門家や議員の間では、大勢を1か所に集めていたことが被害の拡大につながったなどとして軍の指導部への批判が相次いでいます。

声明は、軍の指導にあたる軍政治総局の高官が読み上げるかたちで現地時間の未明に発表されていて、ロシア国防省としては、規則に反する現場の行動で多くの人的被害が出たと断定することで、指導部への批判をかわしたいねらいがあるとみられます。

これに関連して、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は2日、「ロシア国防省は、安全確保の不備の責任を現地の部隊や親ロシア派に転嫁しようとしているようだ」という見方を示しています。