ことしの10大リスク 最大のリスクは「ならず者国家ロシア」

国際情勢を分析しているアメリカの調査会社「ユーラシア・グループ」は、恒例となっている「ことしの10大リスク」を発表しました。このなかで最大のリスクとして「ならず者国家ロシア」を挙げ、ヨーロッパやアメリカ、そして世界全体に深刻な安全保障上の脅威をもたらすだろうと指摘しました。

「ユーラシア・グループ」は3日、恒例となっている「ことしの10大リスク」を発表し、最大のリスクとして「ならず者国家ロシア」を挙げました。

この中では、屈辱を受けたロシアが「グローバルプレーヤー」から世界で最も危険な「ならず者国家」になり、ヨーロッパやアメリカ、そして世界全体に深刻な安全保障上の脅威をもたらすだろうと指摘しています。

そして、侵攻から1年近くが経過し、ロシアには戦争に勝つための軍事的な選択肢が残っておらず、去年は戦争をウクライナ国内にとどめるよう注意を払い、NATO=北大西洋条約機構との直接対決を避けてきたものの、ことしは、プーチン大統領にはそうした余裕はないとしています。

その上で、戦術核兵器をウクライナにより近いところに移動させて公表する可能性があり、ロシアによる核の威嚇はこれまで以上に強まるだろうとも指摘しています。

2番目のリスクは「権力が最大化された中国の習近平国家主席」

一方、2番目のリスクとしては「権力が最大化された中国の習近平国家主席」を挙げました。

習主席は、新たな最高指導部のメンバーを関係の深い人物で固め、政策を事実上自由に追求することができる一方、周囲も反対意見を言うことができないことなどから、大きな間違いを犯す可能性があると指摘しています。

「ことしの10大リスク」は以下

アメリカの調査会社「ユーラシア・グループ」が3日に発表した「ことしの10大リスク」は、以下のとおりです。

1.「ならず者国家ロシア」
ロシアは世界で最も危険な「ならず者国家」になり、世界全体に深刻な安全保障上の脅威をもたらす。

2.「権力が最大化された習近平国家主席」
去年、開催された共産党大会で習主席は建国の父とされる毛沢東以来の権力を掌握。

3.「テクノロジーの進歩による社会混乱」
AI=人工知能の技術的進歩は社会の信頼を損ない、ビジネスや市場を混乱させる。ポピュリストなどは政治的利益のためAIを武器化し、陰謀論や「フェイクニュース」を広める。

4.「インフレの衝撃波」
世界的な景気後退の主な要因となり、社会的不満と世界各地での政治的不安定にもつながる。

5.「追い込まれたイラン」
政権に抗議するデモが相次いでいる。政権崩壊の可能性は低いが、過去40年間のどの時点よりも高くなっている。

6.「エネルギー危機」
エネルギー価格の上昇は消費者と政府に負担をかける。

7.「阻害される世界の発展」
新型コロナウイルスの流行、ウクライナ侵攻、世界的なインフレなどが続き経済的、安全保障的、政治的な利益がさらに失われる。

8.「アメリカの分断」
アメリカは世界の先進国の中で最も政治的に偏向し、機能不全に陥っている国の1つで政治的暴力のリスクが続いている。

9.「デジタルネイティブ世代の台頭」
1990年代半ばから2010年代初めに生まれた若者を指す「Z世代」がアメリカやヨーロッパなどで新しい政治勢力になる。

10.「水不足」
水不足が世界的かつ体系的な課題となる。しかし、各国政府はこれを一時的な危機としてしか扱っていない。