【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(31日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる31日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍 ミサイル枯渇で無人機攻撃増か

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は30日、イラン製の無人機が攻撃に使われたと指摘した上で、12月に入り、ロシア軍がこの無人機による攻撃を大幅に増やしていると分析しました。

そのうえで「ロシア軍は精密ミサイルの在庫が枯渇する中、ウクライナの重要なインフラ施設に対する攻撃を維持するため無人機による攻撃のペースを速めている可能性がある」と指摘しています。

一方、ウクライナ国防省の情報総局トップ、ブダノフ局長は29日、来年1月上旬にもロシアが新たな動員に踏み切る可能性があるという見方を海外メディアのインタビューで示しました。

また、ウクライナのレズニコフ国防相は30日、ロシア語で動画を公開し、「新年を前に、ロシア国民に伝えたい。1月上旬にロシア当局は戒厳令を宣言し、新たな動員を開始する」と主張しました。

動員を巡ってはプーチン政権はことし10月、30万人の予備役の動員を完了したと発表していて、プーチン大統領は12月7日に追加の動員の計画はないと強調しています。

ただ、ロシアの独立系メディアが12月に入って「来年1月、公式な発表をしないまま動員の新たな波が始まる」と伝えるなど、臆測が広がっています。

ザポリージャ原発 予備の電源系統が砲撃で切断

IAEA=国際原子力機関は、30日に声明を発表し、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所に電力を供給する予備の電源系統が砲撃によって切断されたと明らかにしました。

外部からの電力供給は続いていて原発の冷却などに支障は出ていないということです。

砲撃がロシアとウクライナのどちらのものだったかは触れていません。

IAEAのグロッシ事務局長は声明で「ウクライナの原発と、その安全を危険にさらしうる一切の軍事行動はただちに停止されるべきだ」と指摘し、重大な事故を防ぐため原発の周辺に安全な区域を設定する必要性を重ねて訴えました。

ゼレンスキー大統領 徹底対抗の姿勢を強調

東部の戦況について、ゼレンスキー大統領は30日に公開した動画で「少しずつだが前進している」と述べ、領土の奪還に向け一部で戦果を上げつつあるという認識を示しました。

そのうえで「ことしウクライナはかつてなく防空体制を強化した。来年は防空体制はもっと強力に効率的になるだろう」と述べ、欧米側の軍事支援も踏まえ、ロシア側の攻撃に徹底して対抗する姿勢を重ねて強調しました。

ドネツクの野戦病院 兵士の治療が続く

ウクライナ東部のドネツク州で激しい戦闘が続く中、ウクライナ軍の野戦病院では、けがをした兵士の治療が続けられています。

30日に撮影された映像では、足などにけがをした兵士が病院に簡易な担架で運び込まれ、医療関係者が痛み止めなどを注射して治療を行っていました。

運び込まれた兵士の中には、ロシア側の兵士に足を撃たれたあと止血帯を巻くなど自分で応急処置を行い、2キロをはってウクライナ側の拠点に戻ったという人もいました。

この病院に一日に運ばれる患者の数は50人から100人とばらつきがあるということで、治療に当たっている医師は「患者がどのくらい来るかやけがの重さはさまざまで、戦況によって毎日違う」と話していました。
ドネツク州では、ウクライナ側の拠点の1つバフムトをめぐり、ロシア側が軍の部隊だけでなく民間の軍事会社ワグネルの戦闘員も投入して激しい攻撃を仕掛けるなど、双方の攻防が続いています。

「軍の信用失墜させた」5000件以上摘発 ロシア独立系メディア

ロシアの独立系メディアは、ウクライナへの侵攻開始後「ロシア軍の信用を失墜させた」として摘発された件数を司法当局のデータを基に集計し、12月19日までで5518件に上ると伝えました。

摘発された行為には、ウクライナの歌を歌う様子をSNSに投稿したことや、軍に動員された人の苦情を撮った動画の掲載、反戦を訴えることばを伏せ字にしたプラカードを掲げたことなどが含まれています。

また、ロシア人の人権活動家が、捜査当局のデータを基に集計した「ロシア軍に関するうその情報を広めた」とする刑事事件は、12月1日までに180件にのぼったということです。

このうち、野党指導者のイリヤ・ヤシン氏は、4月にロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊のブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったことを動画投稿サイトで批判したため12月、禁錮8年6か月の実刑判決を言い渡されています。

プーチン政権は3月、法律を改正し新たな罰則を設けていて、当局が徹底的な取締りを続けているとみられます。