ウクライナ ブチャ 年の瀬も停電 暖房使えず極寒の市民生活

軍事侵攻のあと、一時、ロシア軍に占拠されていた首都キーウ近郊のブチャでは、その後も電力施設への攻撃が続き、年の瀬を迎えた今も深刻な電力不足となっています。

日本が提供した大型の発電機がボイラー施設に設置

この時期、厳しい寒さとなるウクライナでは、ボイラーを使って各家庭などに暖房用のお湯を送る施設が各地にありますが、停電のため多くの施設が使えなくなっています。

こうした中で、今月、日本が提供した大型の発電機がブチャにある2か所のボイラー施設に設置されました。停電中も発電機を使ってボイラーを動かし、市民が暖房を使えるようになったということです。
ブチャの副市長は「発電機があれば、冬に凍える人を救うことができ、本当に感謝しています。これからさらに寒くなると気温がマイナス10度から20度まで下がることが想定され、迅速に発電機を送ってくれた日本政府や日本の人々に感謝します」と話していました。
日本からの発電機の稼働が始まったあと、自宅で暖房が使えるようになったという85歳の女性は、暖房がつかない日は、これまで、室内でもコートを着るなど重ね着をしてなんとかしのいでいたということです。

女性は「きょう、家の中に入ったら、暖房で暖かくなっていました。とてもありがたく日本の支援に感謝します。私たち国民は皆とても粘り強く勤勉なので、私たちはこの戦争を必ず乗り切ります」と話していました。

この女性が暮らす地域では断続的に停電が続いていて、エレベーターが使えないなど、日常生活は依然として困難を極めているということです。

暖房稼働しない商店は

一方、同じブチャにある食品などを扱う商店では暖房が稼働していませんでした。寒さをしのぐため、店員たちが店の中でもダウンジャケットなどを着込んで客への対応に当たっていました。

店では電力不足から、精肉など保存のきかない生鮮品の取り扱いができなくなっているということです。

53歳の店員の女性は「電気もないし、お客さんも来ません、とても大変な状況です。家の中は寒いのでいろいろ着込む必要がありますが、祖母はまもなく91歳で寒さに震えています。水と暖房さえあれば、なんとか耐えられるのですが」などと目に涙を浮かべながら話していました。