ロシア外相 “ウクライナが降伏するまで侵攻続ける”

ウクライナへの軍事侵攻について、ロシアのラブロフ外相は国営メディアに対し「ウクライナが提案を受け入れない場合、ロシア軍が問題を解決する」と一方的に主張し、ゼレンスキー政権が事実上、降伏するまでウクライナの領土の掌握をねらい、軍事侵攻を続ける強硬な姿勢を示しました。

ロシアのラブロフ外相は、27日に公開された国営のタス通信のインタビューの中で、ウクライナへの軍事侵攻について「アメリカとNATO=北大西洋条約機構の戦略的な目標は、ロシアを著しく弱体化させ、戦場でロシアを打ち負かすことだ」と述べ、対立するアメリカなどに問題があるとする主張を展開しました。

そして「ウクライナ政府の非軍事化と非ナチ化や、ウクライナの4つの州とロシアの安全保障への脅威を排除するという、われわれの提案を敵国はよく分かっている。ウクライナがこれらの提案を受け入れない場合、ロシア軍が問題を解決する」と述べました。

ラブロフ外相の発言について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日「ウクライナ政府がロシアの要求に屈するまで、クレムリンは戦争による軍事行動で問題を解決するとしている。ロシアに抵抗するウクライナの能力を排除し、ゼレンスキー政権の転覆を要求している」と指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまで和平に向けて、ロシア軍のウクライナからの撤退や、ウクライナの領土保全の回復など10のポイントを提言していますが、ラブロフ外相の主張は侵攻を続けるプーチン政権の強硬姿勢を改めて示したものです。

一方、ロシアと欧米などとの対立が深まる中、ロシア国防省は、今月21日から27日にかけて東シナ海でロシアと中国の合同軍事演習が行われたと発表しました。

演習では、敵と想定した潜水艦に対する訓練などが行われたとしたうえで「合計10回以上の訓練が共同で行われた」として、両軍の部隊の連携を強調しています。

ロシアと中国は、先月にも日本海や東シナ海などの上空で合同パトロールを行い、軍事分野での連携を深めていて、対立するアメリカなどへのけん制を繰り返しています。

ウクライナ市民 “奪われた日常 来年こそ取り戻したい”

年の瀬を迎えたウクライナの首都キーウでは、軍事侵攻によって奪われた日常を、来年こそは取り戻したいという市民の切実な声が聞かれました。

防空警報が出た際、避難場所としても使われる地下鉄の駅を利用していた42歳の男性は、東部ドネツク州から避難してきたということで「暖房や電気、それに水も足りない状態で苦しんでいる。私たちは必ず勝って、この状況を終わらせなければならない」と話していました。

また、キーウの大学に通う女子大学生は「戦争が始まってから、私の精神状態も悪化しました。戦争が終われば仕事が探しやすくなるので、早く終わってほしい」と話していました。

ことし10月、ミサイルが着弾したこともある中心部の公園では28日、散歩する市民や遊具で遊ぶ子どもたちの姿が見られました。

出勤途中の48歳の男性は「ことし1年は困難で悲劇的で、実にひどい1年でした。しかし、われわれの政府と国民、それに軍を信じ、来年は必ず状況がよくなると考えています」と話していました。