新型コロナ 感染で心臓や血管の病気のリスク高まる 名古屋工大

新型コロナウイルスに感染した人は、心臓や血管の病気などで医療機関の受診に至るリスクが大幅に高まることが名古屋工業大学などの研究で分かりました。感染後に心臓などの病気のリスクが高まっていることが、国内でも明らかになったとしています。

名古屋工業大学の平田晃正教授らの研究グループは、およそ125万人分のレセプト=診療報酬明細書の記録をもとに、新型コロナに感染した人と感染していない人で、心臓や血管の病気などで医療機関を受診する人の割合がどの程度異なるか調べました。

その結果、これらの病気での受診歴が過去1年間なく、年間の医療費が20万円未満の、重い持病がないとみられる人でリスクを比較すると、おおむね感染の第1波から第3波に当たる去年春までの1年間では
▽0.14%の人がコロナ感染後2か月の間に心筋梗塞で受診していて、感染していない人の16.2倍
▽心不全は0.79%で9.1倍
▽静脈血栓症は0.62%で26.1倍、
▽糖尿病は2.5%で7.7倍になっていました。

その後も傾向は変わらず、
▽心筋梗塞のリスクは去年春以降の第4波で10.7倍、去年夏の第5波で24.6倍、
▽心不全はそれぞれ10.4倍と6.6倍、
▽静脈血栓症は53.1倍と43.4倍、
▽糖尿病は8.4倍と6.3倍となっていました。

一方、オミクロン株が拡大したことし初め以降の第6波では、リスクの差はほとんどみられませんでした。

平田教授は「海外でもコロナにかかった人で心臓や血管の病気のリスクの上昇が報告されていたが、日本でも同様の結果となった。第6波ではワクチン接種の普及などで重症化の割合が低下したことで、リスクが大幅に下がった可能性がある」と分析しています。