台湾 兵役を4か月から1年間に延長 中国の軍事的圧力に対抗

台湾当局は中国の軍事的な圧力が強まっていることから、18歳以上の男子に義務づけている兵役の期間を現在の4か月間から1年間に延長することを決めました。台湾の蔡英文総統は、27日、国家安全会議を招集してこの決定を行い、その後、記者会見して内容を明らかにしました。

現在、台湾では18歳以上の男子に4か月間の兵役を義務づけています。

これを再来年からは1年間に延ばし、2005年1月1日以降に生まれた男子に適用するとしています。

兵役期間を延長した理由は、中国の軍事的な圧力が近年強まっているためです。

台湾内部だけでなく、台湾防衛の最大の後ろ盾であるアメリカからも期間延長の必要性を指摘する声が上がっていました。

ロシアによるウクライナ侵攻を機に一層その機運が高まっていました。

記者会見で蔡総統は「4か月の兵役では今の軍備の必要に対処できない」としたうえで「台湾が自衛力を強化してこそ、国際社会からより多くの支持を勝ち取れる。われわれがしっかりと準備をすればするほど、中国が早まったことをする可能性は小さくなる」と述べました。

兵役の延長は若者にとっては負担が増すことになりますが、蔡総統は「台湾が十分に強くありさえすれば、戦場にはなりえず、若者も戦地に行かなくてすむ」と述べ、理解を求めました。

台湾の兵役期間の経緯

台湾では、1950年代から80年代にかけては、2年間または3年間の徴兵制が敷かれていました。

その後、国際情勢の変化、それに少子化などを背景に、90年代以降兵役期間は段階的に短縮され、2008年からは1年間になりました。

徴兵制から志願兵制への移行も進められ、2018年を最後に、1年間の兵役に服する義務のある人はいなくなり、現在は4か月間の軍事訓練が義務づけられるだけとなっています。

総統府の報道官によりますと、兵役の期間を再び延長する検討には2年余り前から取りかかったということで、ことし2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を機に、一層その機運が高まっていました。