食料安全保障強化に向け大綱決定 農産物など国産化図る 政府

ロシアのウクライナ侵攻などで農産物などの価格が高騰する中、政府は27日、食料安全保障の強化に向けた新たな大綱を決定しました。小麦や大豆の生産面積を拡大させるなどの目標を定めて農産物の国産化を図り、必要な法改正も進めることにしています。

政府は27日、総理大臣官邸で岸田総理大臣や野村農林水産大臣などが出席して「食料安定供給・農林水産基盤強化本部」を開き、食料安全保障の強化に向けた新たな大綱を決定しました。

それによりますと、農産物や肥料などを海外に過度に依存することを改め、国内の供給力を高める必要があるとしています。

そのうえで、2030年までの目標として、小麦の生産面積を去年と比べて9%、大豆は16%、それぞれ拡大させるため、水田の畑への転換や生産施設の整備を支援するとしています。

また、原料の大半を海外から輸入する化学肥料についても、使用量を2016年と比べて20%削減する方針で、代わりにたい肥などの活用を進めることにしています。

このほか、企業などによる「食品ロス」の削減も重要だとして、2030年度の廃棄量を2000年度に比べて半減させるとしています。

政府は、この大綱で定めた目標に沿って農産物や肥料の国産化を図り、今後、必要な法改正なども進めることにしています。

岸田首相 来年度中に改正案提出を視野

岸田総理大臣は総理大臣官邸で開かれた「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の会合で「現下のウクライナ情勢を受け、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題の一つだ」と述べました。

そのうえで「世界的な食料情勢や気候変動、海外の食市場の拡大など、わが国の食料農業を取り巻く課題の変化を踏まえ、野村農林水産大臣を中心に関係閣僚の協力を得て来年度中に『食料・農業・農村基本法』の改正案を国会に提出することを視野に、来年6月をめどに政策の展開の方向性を取りまとめてほしい」と指示しました。