A.薬の添付文書によると、性行為から72時間以内に飲むと80%以上の確率で妊娠を防げるとされています。ただし完全に妊娠を防げるわけではなく、すでに妊娠している場合も効果はありません。
また副作用として不正出血や頭痛、けん怠感などがあるとされていますが、WHO=世界保健機関によると深刻な副作用はないとしています。

緊急避妊薬、知っていますか?国が意見募集を開始
「緊急避妊薬」(アフターピル)を知っていますか?意図しない妊娠を防ぐための薬で、処方箋がなくても薬局で買えるようにするかどうか国の検討が進んでいます。
きょうから国民に広く意見を求める「パブリック・コメント」がスタート。
そもそも緊急避妊薬って?
懸念されることは?
詳しくお伝えします。
Q.どのくらい避妊できる?副作用は?

《効果や価格などをこちらの記事で詳しく紹介しています》
Q.どんなときに使う?
A.例えば、性行為の際に相手が避妊に協力しなかった、コンドームが破けるなど避妊に失敗した、性被害に遭ったなどといったケースです。
意図しない妊娠を防ぐために使用するもので、計画的な避妊には使われません。
意図しない妊娠を防ぐために使用するもので、計画的な避妊には使われません。

Q.いま何が検討されている?
A.現在は日本で入手するためには産婦人科などを受診して処方箋を出してもらう必要があります(2019年からはオンライン診療が解禁)。
これを医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかや、そうした場合の課題や対応策についても議論されています。
2017年にも国は検討を行いましたが、当時はさまざまな懸念があるとして見送られています。
これを医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかや、そうした場合の課題や対応策についても議論されています。
2017年にも国は検討を行いましたが、当時はさまざまな懸念があるとして見送られています。
《過去の検討の経緯がわかる記事はこちら》
販売方法には慎重な意見も
処方箋なしで買えるようになると聞くと、近所のドラッグストアなどで棚から自由に手に取るイメージを持つかもしれませんが、いくつか段階があります。
処方箋が必要な医療用の医薬品を市販薬として扱うようにする場合、まず「要指導医薬品」という薬剤師が対面で薬の情報提供や服薬指導を行いながら販売する薬になります。
通常はここから3年たつと誰でも手に取って買うことができる「一般用医薬品」に移行する仕組みになっていて、インターネット販売も可能となります。
ただし今回の件については「一般用医薬品」とすることに日本産婦人科医会が次のように慎重な姿勢を示しています。
日本産婦人科医会
「緊急避妊薬が一般用医薬品になり薬局やインターネットで誰でも購入できるようになると、性犯罪や性暴力に悪用されるリスクがあるほか、緊急時ではなく日常的な避妊目的で使用するなど不適切な利用が広がるおそれがあることを最も危惧している」
処方箋が必要な医療用の医薬品を市販薬として扱うようにする場合、まず「要指導医薬品」という薬剤師が対面で薬の情報提供や服薬指導を行いながら販売する薬になります。
通常はここから3年たつと誰でも手に取って買うことができる「一般用医薬品」に移行する仕組みになっていて、インターネット販売も可能となります。
ただし今回の件については「一般用医薬品」とすることに日本産婦人科医会が次のように慎重な姿勢を示しています。
日本産婦人科医会
「緊急避妊薬が一般用医薬品になり薬局やインターネットで誰でも購入できるようになると、性犯罪や性暴力に悪用されるリスクがあるほか、緊急時ではなく日常的な避妊目的で使用するなど不適切な利用が広がるおそれがあることを最も危惧している」
医師へのアンケートでは意見分かれる
去年、日本産婦人科医会が緊急で行ったアンケートでは、処方箋なしで買えるようにすることに賛成7.8%、条件付きで賛成46.9%、反対が42%となっています。(回答者 産婦人科医5571人 2021年10月7日時点)

条件付きで賛成と答えた医師の意見で多かったのは、次のような対応を求める声です。
・性教育の充実
・複数錠の販売禁止(1回服用する分だけ販売)
・研修を積んだ薬剤師による販売と服薬指導
一方で“処方箋なし”とすることに懸念があると答えた人は、反対の医師に加えて賛成の医師にも一定数いました。その割合は全体のおよそ9割に上っています。
懸念することとして多かったのは
・転売の可能性
・コンドーム使用率の低下による性感染症のリスク拡大の可能性
・避妊に協力しない男性が増える可能性
などが挙げられています。
アンケートの自由記述では、風俗店で大量に薬を用意して働く女性に飲ませているという事例や、夫が避妊に協力せず2日続けて処方を求めた事例などがあり、薬を提供するだけでは解決できない問題を見過ごすことになるのではないかといった意見も寄せられたということです。
(緊急避妊薬のOTC化に関する緊急アンケート調査より)
・性教育の充実
・複数錠の販売禁止(1回服用する分だけ販売)
・研修を積んだ薬剤師による販売と服薬指導
一方で“処方箋なし”とすることに懸念があると答えた人は、反対の医師に加えて賛成の医師にも一定数いました。その割合は全体のおよそ9割に上っています。
懸念することとして多かったのは
・転売の可能性
・コンドーム使用率の低下による性感染症のリスク拡大の可能性
・避妊に協力しない男性が増える可能性
などが挙げられています。
アンケートの自由記述では、風俗店で大量に薬を用意して働く女性に飲ませているという事例や、夫が避妊に協力せず2日続けて処方を求めた事例などがあり、薬を提供するだけでは解決できない問題を見過ごすことになるのではないかといった意見も寄せられたということです。
(緊急避妊薬のOTC化に関する緊急アンケート調査より)
ハードル高いと感じる若者たち
重要な問題が絡み合う緊急避妊薬の使用。国に積極的に提言を続けている若者グループがあります。
ことし10月には、厚生労働省を始めとする関係省庁の担当課長や超党派の議員との意見交換会で自分たちの考えを伝えました。
ことし10月には、厚生労働省を始めとする関係省庁の担当課長や超党派の議員との意見交換会で自分たちの考えを伝えました。

参加者の1人、社会人1年目の稲荷桃香さん。
意図しない妊娠の不安を抱えているケースを身近に見聞きした経験があり、若い世代にとっては切実な問題だと感じています。
意図しない妊娠の不安を抱えているケースを身近に見聞きした経験があり、若い世代にとっては切実な問題だと感じています。

(SRHRユースアライアンス/事務局ジョイセフ 稲荷さん)
「産婦人科に行って医師に事情を話すというだけでも勇気がいります。また、72時間以内に服用という時間的な制約がある中で、曜日によっては休診日だったり開いている時間帯に受診が難しかったりということにもハードルの高さを感じています。
緊急避妊薬が今すぐ必要という状況は『いつか自分の』『いつか誰かの』という話にならないとも限らない。それは後ろめたいものではなく、アクセスする権利があることを同じ世代の人たちと分かち合いたいという思いがあります」
「産婦人科に行って医師に事情を話すというだけでも勇気がいります。また、72時間以内に服用という時間的な制約がある中で、曜日によっては休診日だったり開いている時間帯に受診が難しかったりということにもハードルの高さを感じています。
緊急避妊薬が今すぐ必要という状況は『いつか自分の』『いつか誰かの』という話にならないとも限らない。それは後ろめたいものではなく、アクセスする権利があることを同じ世代の人たちと分かち合いたいという思いがあります」
自分たちで声をあげる
意見交換会のもう1人の参加者、大学院生の郡司日奈乃さん。
5年前に国が同様の検討を行った時にもパブリック・コメントに意見を出しました。この時は「時期尚早」として見送られましたが、郡司さんは、今回も意見を出すつもりだといいます。

(SRHRユースアライアンス/事務局ジョイセフ 郡司さん)
「前回の結果を見て、やっぱりすぐには変わらないんだなとは感じました。でもそこで諦めたらもったいない。自分が必要だと思うことは誰かに与えてもらうものではないと思うんです。いわゆる意識高いと言われるかもしれませんが、自分たちの声を届けていくことが重要だと思っています」
意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」。
処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかについてのパブリック・コメントは2023年1月31日まで実施されます。
「前回の結果を見て、やっぱりすぐには変わらないんだなとは感じました。でもそこで諦めたらもったいない。自分が必要だと思うことは誰かに与えてもらうものではないと思うんです。いわゆる意識高いと言われるかもしれませんが、自分たちの声を届けていくことが重要だと思っています」
意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」。
処方箋がなくても薬局で購入できるようにするかどうかについてのパブリック・コメントは2023年1月31日まで実施されます。
緊急避妊薬についてのパブリック・コメントのサイトはこちら
※NHKサイトを離れます