カザフスタン外相「対ロシア制裁で経済悪影響 外交的解決を」

旧ソビエトで中央アジアのカザフスタンのトレウベルディ外相が24日、東京都内でNHKのインタビューに応じました。

ウクライナ侵攻が始まって24日で10か月となる中、トレウベルディ外相は「ロシアに対する制裁でカザフスタンの経済にも悪影響が出ている」としたうえで、「カザフスタンのトカエフ大統領はロシア、ウクライナ双方の大統領とも定期的に連絡をとっていて、外交的解決に向けた和平交渉を呼びかけている」と強調しました。

そのうえでトレウベルディ外相は「カザフスタンは多面的でバランスのとれた外交政策をとっている。われわれはロシアや中国、中央アジアの隣国のほか、日本、アメリカやEUなど、世界の大国との互恵的で平等な関係を発展させようとしている」と述べ、ロシアに限らず、中国やトルコ、ヨーロッパなどと多面的な外交を進めていく方針を示しました。

インタビューでのやりとり

Q.ロシアのウクライナへの軍事侵攻による影響は。

A.ウクライナでの紛争を心配しています。ロシアもウクライナも歴史的にカザフスタンの友好国だからです。カザフスタンのトカエフ大統領は両国の大統領と定期的に連絡していて、双方に対して交渉のテーブルにつき、この紛争を解決するための平和的、外交的な方法を見いだすように呼びかけています。

経済的にロシアとカザフスタンの関係は深く、実際にカザフスタン経済はロシアへの制裁による悪影響を受けています。カザフスタンは対ロシア制裁には加わっていませんが、制裁をう回する目的で、さまざまな企業に利用されないという原則を守っています。今のカザフスタンとロシアの関係を今後も継続していきます。

Q.ヨーロッパや中国などとの関係強化について。

A.確かに、カザフスタンは多面的なバランス外交を行っています。われわれはロシアや中国、中央アジアの隣国のほか、世界の大国、例えばアメリカ、日本、EU各国、イギリスなどと互恵的で平等な関係を発展させようとしています。それにより各国と協力し、あらゆる国から投資を呼び込むことができるのです。

特に重視しているのはカザフスタンが交通や物流の経由地として発展する可能性です。外国からの投資を誘致し、ヨーロッパとアジアを結ぶ中心地になれると思います。

Q.日本との関係の今後の展望について。

A.ことしはカザフスタンと日本の外交関係樹立30周年です。この30年間で高いレベルの相互関係を達成し、いまや日本との関係を戦略的なパートナーシップと位置づけていますし、両国の間には友好議員連盟やビジネスのための協議会もあります。

また、ロシアでは制裁によって多くの外国企業が活動を停止したり事務所を閉鎖したりしているため、これらの企業に対してカザフスタンへの移転や事務所の開設も提案していますし、市場へのアクセスは開かれています。

カザフスタンを含む中央アジアの国々は、日本などのパートナーとの互恵的で実用的な関係構築に前向きです。