ウクライナ侵攻10か月 市民6800人超死亡 長期化で犠牲者増懸念

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で10か月となります。国連人権高等弁務官事務所は、これまでにウクライナで少なくとも6800人を超える市民が死亡したと発表し、侵攻の長期化で犠牲者がさらに増えることが懸念されています。

ウクライナへ侵攻を続けるロシア軍は、ことし10月からウクライナ各地の発電所などインフラ施設を標的にしたミサイルや無人機による大規模な攻撃を繰り返し、停戦につながる兆しは見えません。

こうしたなか、国連人権高等弁務官事務所は軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月18日までに、ウクライナで少なくとも6826人の市民がミサイル攻撃などで死亡したと発表しました。

このうち428人は子どもで、けがをした市民は1万769人に上るとしています。

国連人権高等弁務官事務所は激しい戦闘が続いた東部マリウポリなどでの死傷者の数についてはまだ正確に確認がとれていないとして、実際は発表された人数を大きく上回るという見方を示し、軍事侵攻の長期化で犠牲者がさらに増えることが懸念されています。
そのマリウポリでは23日、市の幹部が市のシンボルだった劇場でロシア側が重機を入れてがれきの撤去作業を始めたとする動画をSNSに投稿しました。

劇場では、ことし3月にロシア軍の爆撃で避難していた女性や子どもなど少なくとも300人以上が死亡した可能性があると伝えられています。

ロシアのメディアはマリウポリなどの支配地域でロシア側が港のインフラ整備を進める計画だと伝えていますが、ウクライナ側は都市の再開発を名目に、ロシア側が住民の殺害などの戦争犯罪を覆い隠そうとしていると批判しています。