来年度予算案の主な歳出の項目です。
「防衛費」は、6兆7880億円となっています。
政府が5年以内に防衛力の抜本的強化を目指す中、今年度の当初予算より1兆4192億円増えて過去最大となりました。
さらに「防衛力強化資金」という新たな枠組みを設け、外国為替資金特別会計の繰入金などで3兆3806億円を計上していて、これを合わせると防衛関係の予算は10兆円を超える規模となります。
また、全体の3分の1を占める「社会保障費」は、高齢化の進展などに伴って今年度の当初予算より6154億円多い、過去最大の36兆8889億円となりました。
過去に発行した国債の償還や利払いに充てる「国債費」は、9111億円増えて25兆2503億円。
国債の発行残高の増加に伴って、こちらも過去最大となりました。
地方自治体に配分する「地方交付税交付金」は、5166億円増えて16兆3992億円。
「文化、教育、科学技術関連予算」は、257億円増えて5兆4158億円となりました。
一方で、「公共事業費」は、今年度とほぼ同じ6兆600億円となりました。
このほか、物価高騰対策やウクライナ情勢など国際情勢の急変に対応するため、国会の承認を得ずに機動的に使いみちを決められる「予備費」として、5兆円が盛り込まれています。
この結果、「社会保障費」と「地方交付税交付金」、それに「国債費」の3つの経費で歳出全体の68%を占めることになり、ほかの政策に自由に使える余地が小さい「財政の硬直化」と呼ばれる状況が続いています。
一方、歳入のうち、税収は69兆4400億円と。今年度の当初予算よりも4兆2050億円上回ると見込んでいます。
新型コロナで落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあり、法人税の税収の増加を見込んでいることなどが要因です。
過去最大の114兆円余の来年度予算案 閣議決定 国債は35兆円超
政府は、23日の臨時閣議で、一般会計の総額が過去最大の114兆3812億円となる来年度・令和5年度予算案を決定しました。
この財源を賄うために新たに発行する国債は35兆円を超えていて、財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続いています。
23日夕方の臨時閣議で決定された国の来年度予算案は、一般会計の総額が114兆3812億円と、今年度の当初予算を6兆7848億円上回り、初めて110兆円を超えて過去最大となりました。
歳出が大幅に膨らんだ主な要因は防衛費の増加です。
防衛力の抜本的な強化のため「防衛費」が6兆7880億円と、今年度を1兆4192億円上回って過去最大となるほか、これとは別に将来の防衛力強化に充てる「防衛力強化資金」として3兆3806億円を計上しました。
また、地方自治体に配付する「地方交付税交付金」は、今年度より5166億円増えて16兆3992億円。
社会保障費は、高齢化による伸びなどで6154億円増えて36兆8889億円となっています。
さらに、新型コロナや物価高騰対策などに備えるための「予備費」を5兆円計上しました。
一方、歳入では税収は69兆4400億円と過去最大を見込んでいます。
さらに、9兆3182億円の税外収入を見込んでいますが、それでも不足する35兆6230億円を新たな国債発行で賄います。
借金に当たる新規の国債の発行額は、今年度の当初予算より1兆3030億円減りますが、歳入の3割以上を国債に頼る構図は変わらず厳しい財政状況が続いています。
政府は、この来年度予算案を来年の通常国会に提出することにしています。
主な歳出項目と税収
税収だけで賄えず借金に大きく頼る財政運営に
今回の予算案は、一般会計の規模が当初予算として初めて110兆円を超え、過去最大となった結果、税収だけでは歳出を賄えず、借金に大きく頼る財政運営が続く形となっています。
来年度予算案では、新たな借金に当たる新規の国債発行額は、35兆6230億円となります。
コロナ禍から景気が回復しつつあることで過去最大の税収を見込んでいるため、今年度の当初予算よりも1兆3030億円減りました。
歳入全体に占める国債の割合、いわゆる公債依存度は31.1%と3割を超えて、依然として国債頼みの状況が続きます。
このうち、公共事業などに使いみちを限る「建設国債」は6兆5580億円。
今年度の当初予算より3070億円増えました。
従来の方針を改めて、防衛費の一部を建設国債の対象とし、来年度は4343億円を充てるため、増額となりました。
一方、歳入不足を補うための「赤字国債」は今年度より1兆6100億円少ない29兆650億円となっています。
国債の発行残高は、来年度末には1068兆円となる見通しです。
来年度予算案では、新たな借金に当たる新規の国債発行額は、35兆6230億円となります。
コロナ禍から景気が回復しつつあることで過去最大の税収を見込んでいるため、今年度の当初予算よりも1兆3030億円減りました。
歳入全体に占める国債の割合、いわゆる公債依存度は31.1%と3割を超えて、依然として国債頼みの状況が続きます。
このうち、公共事業などに使いみちを限る「建設国債」は6兆5580億円。
今年度の当初予算より3070億円増えました。
従来の方針を改めて、防衛費の一部を建設国債の対象とし、来年度は4343億円を充てるため、増額となりました。
一方、歳入不足を補うための「赤字国債」は今年度より1兆6100億円少ない29兆650億円となっています。
国債の発行残高は、来年度末には1068兆円となる見通しです。
基礎的財政収支は一般会計で10兆円超の赤字
政策に必要な費用を借金に頼らず、税収などでどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」は、一般会計で10兆7613億円の赤字となります。
政府は、国と地方を合わせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、歳出拡大が続く中で黒字化を達成する道のりは依然として険しい状況です。
目標達成に向けては、引き続き経済成長による歳入の増加に加えて、不必要な歳出を削減することが不可欠となります。
岸田政権が防衛費の増額に加えて、子育て関連予算の倍増や脱炭素関連の投資拡大といった目標を掲げるなど、歳出の膨張圧力が強まる中、歳出の項目を見直して削減につながる改革を進めることが求められます。
政府は、国と地方を合わせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げていますが、歳出拡大が続く中で黒字化を達成する道のりは依然として険しい状況です。
目標達成に向けては、引き続き経済成長による歳入の増加に加えて、不必要な歳出を削減することが不可欠となります。
岸田政権が防衛費の増額に加えて、子育て関連予算の倍増や脱炭素関連の投資拡大といった目標を掲げるなど、歳出の膨張圧力が強まる中、歳出の項目を見直して削減につながる改革を進めることが求められます。
松野官房長官「メリハリのきいた予算に」
松野官房長官は臨時閣議のあとの記者会見で「現下の重要課題に対応する一方、国債の新規発行額を対前年度で減額し、メリハリのきいた予算になった。引き続き、歳出・歳入両面で改革努力を継続し、経済再生と財政健全化の両立を図っていきたい」と述べました。
その上で、今後の財政運営について「経済あっての財政という方針に変わりはないが、日本の財政に対する市場の信認を維持する必要があり、財政健全化の旗をおろさず取り組んでいく」と述べました。
その上で、今後の財政運営について「経済あっての財政という方針に変わりはないが、日本の財政に対する市場の信認を維持する必要があり、財政健全化の旗をおろさず取り組んでいく」と述べました。
鈴木財務相 “財政健全化に取り組む姿勢”示す
鈴木財務大臣は、23日の閣議のあとの記者会見で「歴史の転換期を前に、防衛力の抜本的強化や子ども・子育て支援、脱炭素化に向けた投資など、わが国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけて、未来を切りひらく予算となった」と述べました。
一方で、財源の30%以上を新たな国債発行で賄うことについては、「国民の暮らしや命を守るために必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければならないが、同時に財政の信認を維持することも極めて重要だ。国民の方々の将来不安を解消するにも財政規律を守ることは大変重要だと認識している」と述べました。
その上で鈴木大臣は「新型コロナへの対応や補正予算で、財政事情がよりいっそう厳しさを増しているのは事実であり、それも強く認識している。厳しい状況だが、今後ともプライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標を達成すべく粘り強く取り組み、国民の理解が得られるよう努力したい」と述べ、引き続き財政健全化に取り組む姿勢を示しました。
一方で、財源の30%以上を新たな国債発行で賄うことについては、「国民の暮らしや命を守るために必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければならないが、同時に財政の信認を維持することも極めて重要だ。国民の方々の将来不安を解消するにも財政規律を守ることは大変重要だと認識している」と述べました。
その上で鈴木大臣は「新型コロナへの対応や補正予算で、財政事情がよりいっそう厳しさを増しているのは事実であり、それも強く認識している。厳しい状況だが、今後ともプライマリーバランス=基礎的財政収支の黒字化目標を達成すべく粘り強く取り組み、国民の理解が得られるよう努力したい」と述べ、引き続き財政健全化に取り組む姿勢を示しました。
浜田防衛相「防衛費増額 丁寧な説明を」
浜田防衛大臣は防衛省・自衛隊の幹部を集めた会合で「『防衛力抜本的強化元年予算』として当初予算のみで7兆円が見える相当な増額を実現した。国民に理解してもらえるよう1人1人が丁寧な説明を心がけてほしい」と指示しました。
その上で、防衛力の抜本的な強化を実現するため、みずからをトップとする「実現準備本部」を立ち上げる方針を示しました。
その上で、防衛力の抜本的な強化を実現するため、みずからをトップとする「実現準備本部」を立ち上げる方針を示しました。
共産 小池書記局長「大軍拡予算で暮らしの予算 犠牲に」
共産党の小池書記局長は、記者団に対し「戦後の安全保障政策の大転換を掲げて専守防衛をかなぐり捨てた政府の3つの文書に基づく大軍拡予算で、暮らしの予算が犠牲になっている。憲法と平和、暮らしを破壊する戦後最悪の予算案で、断固反対だ。国会審議の中で抜本的な組み替えを求めていく」と述べました。
経済同友会 櫻田代表幹事「防衛費急増 判断はあり」
来年度予算案について、経済同友会の櫻田代表幹事は、きょうの記者会見で、「予算がついたらおしまいではなく、それをしっかり執行することにもこだわり、結果についても説明する責任を持ってほしい」と述べました。
また防衛費の増額で予算案が大きく膨らんだことについて「防衛費の急増についてはいろいろな意見があるが、日本を取り巻く環境を踏まえればゆっくり進める時間はないので今回の判断はありだと思う。経済界も関心を強く持ち続けることが大事だ」と述べました。
また防衛費の増額で予算案が大きく膨らんだことについて「防衛費の急増についてはいろいろな意見があるが、日本を取り巻く環境を踏まえればゆっくり進める時間はないので今回の判断はありだと思う。経済界も関心を強く持ち続けることが大事だ」と述べました。