新型コロナ 新規感染者数の1週間平均 増加傾向もペース下がる

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では1.12倍と増加傾向が続いていますが、感染者数が増えたすべての地域で増加のペースは前の週よりも下がっています。

NHKは、厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国

全国では
▽先月24日までの1週間では前の週に比べて1.08倍
▽今月1日は1.27倍と7週連続で増加が続いたあと
▽今月8日は1.00倍とほぼ横ばいとなりました。

その後
▽今月15日は1.26倍と再び増加に転じ
▽22日まででは1.12倍となっています。

一日当たりの全国の平均の新規感染者数は、先週よりおよそ1万7000人多い15万6000人余りで、37の都府県で前の週より多くなりましたが、増加のペースは感染者数が増えたすべての地域で下がっています。

感染が遅れて拡大した九州などでは増加の幅が比較的大きく、鹿児島県で1.52倍、福岡県で1.36倍、熊本県で1.35倍などとなっています。

また、鳥取県と島根県、岩手県では、一日当たりの平均の新規感染者数が過去最多となっています。

佐賀県

人口当たりの感染者数が最も多いのは佐賀県で
▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍
▽今月15日は1.66倍
▽22日まででは1.22倍と8週連続で増加しています。

一日当たりの新規感染者数はおよそ1610人で、人口10万当たりの感染者数は1389.26人となっています。

1都3県

【東京都】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.01倍
▽今月15日は1.22倍
▽22日まででは1.11倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ1万6487人となっています。

【神奈川県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.02倍
▽今月15日は1.23倍
▽22日まででは1.10倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ9862人となっています。

【埼玉県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.07倍
▽今月15日は1.22倍
▽22日まででは1.09倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ8512人となっています。

【千葉県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.02倍
▽今月15日は1.29倍
▽22日まででは1.10倍で
一日当たりの新規感染者数は7255人となっています。

関西

【大阪府】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.08倍
▽今月15日は1.36倍
▽22日まででは1.18倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ9247人となっています。

【京都府】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍
▽今月15日は1.34倍
▽22日まででは1.10倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ2642人となっています。

【兵庫県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.17倍
▽今月15日は1.40倍
▽22日まででは1.19倍で
一日当たりの新規感染者数は5950人となっています。

東海

【愛知県】
▽今月8日までの1週間は前の週の0.94倍
▽今月15日は1.24倍
▽22日まででは1.15倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ9866人となっています。

【岐阜県】
▽今月8日までの1週間は前の週の0.97倍
▽今月15日は1.26倍
▽22日まででは1.12倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ3135人となっています。

【三重県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍
▽今月15日は1.33倍
▽22日まででは1.27倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ2580人となっています。

その他の地域

【北海道】
▽今月8日までの1週間は前の週の0.79倍
▽今月15日は0.89倍
▽22日までは0.89倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ5046人となっています。

【宮城県】
▽今月8日までの1週間は前の週の0.93倍
▽今月15日は1.10倍
▽22日まででは0.92倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ3345人となっています。

【広島県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.08倍
▽今月15日は1.30倍
▽22日まででは1.15倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ4543人となっています。

【福岡県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.16倍
▽今月15日は1.62倍
▽22日まででは1.36倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ7858人となっています。

【沖縄県】
▽今月8日までの1週間は前の週の1.15倍
▽今月15日は1.15倍
▽22日まででは1.08倍で
一日当たりの新規感染者数はおよそ724人となっています。

東邦大 舘田教授「年末年始 さらに医療体制が厳しくなる」

新型コロナウイルス対策に当たる政府の分科会メンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、現在の感染状況について「感染者の増加ペースはやや緩やかになっているが、中国・四国や九州などでは増加が大きくなっている。行動制限がないなかで年末年始の時期を迎え、クリスマス、忘年会、帰省、新年会と接触機会が増えることなどで、感染が急増に転じないか注意が必要だ」と指摘しました。

また、亡くなる人の数の報告が全国で一日に300人を超えていることについて「まだ第8波の入り口の段階で、ことし夏の第7波のピークに近づきつつあり、これから感染が拡大し亡くなる人がさらに増える事態を懸念している。年末年始は、ただでさえ通常の疾患の患者が増え、医療体制が弱くなる時期で、事故によるけがや、心疾患などの病気の人に対応できなくなる事態もありうる。さらに3年ぶりに季節性インフルエンザの『流行期入り』となる地域が増えてきており、今後も広がっていくことが見込まれる。インフルエンザとコロナの同時流行が起これば、さらに医療体制が厳しくなる」と述べ、懸念を示しました。

そのうえで、舘田教授は「感染状況は日に日に厳しくなり、医療ひっ迫が近づく今の状況について、もう一度考えてもらう必要がある。忘年会や新年会はあまり大人数にならず、換気ができるところで短時間で楽しむことや、帰省する際はなるべくワクチンを打ち、自分の体調を事前にしっかりチェックするなど基本的な対策を一人一人に続けてもらうことが重要だ」と述べました。

岐阜県 感染拡大続き 全国初 対策レベル3に引き上げ

岐阜県は、新型コロナの感染拡大が続き、医療体制がひっ迫しているとして23日に政府の新たな方針に基づく対策のレベルを、4段階のうち2から3に引き上げました。

県によりますと「第8波」に備えた新たな対応方針に基づき、レベルを3に引き上げたのは全国で初めてだということです。

岐阜県は23日、新型コロナの対策本部会議を開き県の担当者が、病床使用率が50%前後で推移し、一般病棟や救急医療を制限している医療機関が19あるほか、救急搬送の困難事案も今月だけで60件に上り、受け入れまでに1時間以上かかるケースも出るなど、医療体制がひっ迫していると説明しました。

そして、助かる命が助からない状況になりかねないとして、政府の新たな方針に基づく対策のレベルを、4段階のうち、2に当たる「感染拡大期」から、3の「医療負荷増大期」に引き上げるとともに、22日から来月22日までの1か月間、「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」を発出することを決めました。

県によりますと「第8波」に備えた新たな対応方針に基づいてレベルを3に引き上げ、対策強化宣言を発出するのは全国で初めてだということです。

岐阜県は人の移動が増える年末年始を中心に対策を強化することにしていて、初詣などで混雑した場所への外出を控えるとともに、新年会などでの長時間の飲食を避け、大人数の会食や大規模なイベントへの参加は見合わせることも含めて、慎重に検討するよう要請するということです。

岐阜県の古田知事は、対策本部会議のあとの記者会見で「他県と比較して岐阜県の感染状況が突出しているから真っ先に手をあげたのではない。レベル3の水準に照らして宣言が必要ではないかと考え、実態とやるべき対策とをわれわれのルールに照らして判断した」と述べました。

そのうえで「残念ながら感染の勢いが止まらず、むしろ人流が盛んになる年末年始に向けてさらに拡大している。本来なら受けられるべき救急搬送が滞ってしまい、身近な医療にも問題が生じている。それぞれの立場で全力で警戒し、徹底した感染防止対策をお願いしたい」と呼びかけました。