「かかりつけ医」の役割 法律明記へ 通常国会に改正案 厚労省

新型コロナウイルスの感染が疑われる患者が地域の医療機関から診療を断られるケースが相次いだことを受けて、厚生労働省は「かかりつけ医」に求められる役割について、「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う」と法律に明記する方針を決めました。

「かかりつけ医」をめぐっては、これまで法律上の定義がなく、新型コロナの患者が診療を断られるケースが相次いだことを受け、厚生労働省は、かかりつけ医の役割を明確化できないか検討してきました。

その結果、23日の部会で、その役割について、「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う」と定義し、法律に明記する方針を決めました。

そのうえで、各医療機関は、
▽在籍する医師が受講した、かかりつけ医についての研修の内容や、
▽在宅医療や介護との連携の具体的な内容などを、
都道府県に報告し公表されることになりました。

また、生活習慣病などで継続的に診療が必要な患者は、希望に応じてかかりつけ医と書面を交わし、互いの関係を確認できる仕組みを新たに設ける方針も決めました。

厚生労働省は、来年の通常国会に関連する法律の改正案を提出する方針です。

専門家 “より実効性あり国民のためになる仕組みを”

日本プライマリ・ケア連合学会の草場鉄周理事長は、かかりつけ医の役割が法律に明記されることについて「これまでは明確な定義がなく、新型コロナの感染が疑われる患者がかかりつけ医だと思っていた医療機関に受診を断られてしまうといった『受診難民』が相次いだので、今回、法律で役割が裏付けされることは大きなことで評価できる」としています。

一方、継続的な診療が必要な患者が希望に応じてかかりつけ医と書面を交わし、関係を確認できるようにする仕組みについては「健康な人で健康増進などのために、かかりつけ医にかかりたいといった期待に応えられないことが課題だ。また、この仕組みだけでは今後、新型コロナのような感染の流行が起きた場合、国民のニーズに応えきれないので、より実効性があり国民のためになる仕組みになるよう引き続き検討してほしい」と指摘しています。